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『ナポレオンの剃刀の冒険』エラリー・クイーン 著/飯田勇三 訳

2008/09/25(木) 01:41:11 エラリー・クイーン THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
『ナポレオンの剃刀の冒険 聴取者への挑戦Ⅰ』エラリー・クイーン著・飯田勇三 訳/
 あああやっぱりEQはいい!!
 たとえラジオドラマの脚本であっても、ミステリとして一切の緩みがない!初期国名シリーズと比べても遜色ないです。
 読み始めてすぐ、あまりの楽しさに、何か読後感の良くないものを読んだ後に仕切り直しの為に取っとこうと思ってたのに、結局我慢できずに読んでしまいました。
 なにせEQです、ガッチガチのパズラーです!
 ネタバレどころか先入観すら持ってしまうのもダメだと思うので、EQに全く興味の無いかた、これからも読まないだろうと思われるかたのみお進みくださいませ。

エラリー・クイーンの、それも長編の国名シリーズが古典というか本格ミステリにとっては至宝だと思う私。たとえ登場人物に厚みがなかろうが、小説としての奥行きがなかろうが、とにかく探偵小説・推理小説としては超一級です。ホームズのようなカリスマ、ポアロのような厚みがなくても、エラリーは探偵としてトップクラスであることは間違いないですよね。

結構前のことになりますが、CSのミステリチャンネルで、ドラマの【エラリー・クイーンの冒険】が放送され、永久保存版とばかりにDVDに録画しましたが、そしてじっくり堪能しましたが、この本はラジオドラマの脚本ですので、ドラマのテイストに近いものがあったように思います。…あー、ドラマではニッキイは出てこないか……。

そうそう、このニッキイのポジションですが、長編小説のとある作品で初登場して以来、“未来のエラリー夫人候補”としてもう1人の女性とともに必ず出てきますよね、その意味でいえば、このニッキイこそが、のちのエラリー夫人なんじゃないだろうか?
このラジオドラマの欠かせないキャラクタとして、エラリーを振り回しパパクイーンと仲が良く、死体を見ても驚かずにエラリーの指示に従い推理の手助けをする。こんな理想的なエラリー夫人はいないでしょう。
おまけにニッキイ本人がまたエラリーにぞっこん惚れ込んでいるので、デビュー作『ローマ帽子の謎』の冒頭、JJ・マックの序文を読んでいなければ、めっちゃうっとうしい存在かもしれないくらいに、その可能性は高いです。

さてさて、内容の方ですが。
終わりの飯田氏の解説によると、1時間バージョンの脚本四作と、30分バージョンの脚本三作がチョイスされています。
これがどれも素晴らしい!
「ナポレオンの剃刀の冒険」
「<暗号(ダーク・クラウド)>号の冒険」
「悪を呼ぶ少年の冒険」
「ショート氏とロング氏の冒険」
「呪われた洞窟の冒険」
「殺された蛾の冒険」
「ブラック・シークレットの冒険」
「三人マクリンの事件」
このうち最後の「三人マクリンの事件」は、原書の愛蔵版に付録として付いている小冊子からの訳だそうで、わずか十分のミニ・ミステリ。

どれも読んでいる最中はわくわくしますが、実は飯田氏の解説が一番ぐっとくるかも(笑)
と言うのも、クイーンファンはクイーンのミステリをパズラーとして認識しているので、伏線を見つけようとやっきになったり国名シリーズのお約束だった<読者への挑戦>ならぬ<聴取者への挑戦>を受けて立ったばかりに容疑者を消し込むのに没頭したりで、話の趣向とか実作者クイーン(フレデリック・ダネイとマンフレッド・リー)の思惑とか、そういうものにまで気が回らないんです(…少なくとも私は、考えながら隠された趣向に気付くなんて器用なことはできませんでした…)。
飯田氏の解説を読んで初めて、あっそーか!と気が付いた次第…いやお恥ずかしい…。

んー、私が一番好きなのは、最初の「ナポレオンの剃刀の冒険」かな。
走る列車の中という閉ざされた環境で限られた容疑者たち、そして事件の現場に残された手がかりの溶け込み方!これは多分、傑作中の傑作『エジプト十字架の謎』に出てくるアレと同じくらい、めっちゃスマートで綺麗な手がかりです。素晴らしい!
それともうひとつ、この話はある容疑者をお芝居で一時拘束するのですが…それがなんとも捻りが効いてて、いや驚いた!

「悪を呼ぶ少年の冒険」は、解説にもありますが、やはりあの名作『Yの悲劇』を彷彿とさせますね。
子どもの立ち回りがポイントで、解決を見た後には、なんとも言いようのない哀しさとかやるせなさが残ります。こういう話をミステリとして昇華するには、一切のドラマ性を排除するとかキャラクタに肉付けをしないとか、そういう手法を用いなければ書けないと思うのです。このラジオドラマは尺の制限もあってかそういう感じですけど、ということは長編『Yの悲劇』がいかに技巧を尽くされていることかと改めて実感しました。

で、多分異色作と言ってもいいと思うのが「ブラック・シークレットの冒険」。
エラリーのライバル探偵の存在を際立たせているのですが、それこそがミスリードだったとは!
三つの謎、三つの犯人のうち二つまではすぐに分かるんですよ。クイーン作品としても結構あからさまだと思うし(これはおそらく、ミステリを読まない不特定多数のリスナーという縛りからきているかと思われます)。
でも一番最後の殺人事件の犯人と、その犯人の取った行動及びパパクイーンの警視としての行動。おそらくヴェリーさんも噛んでるなあ(笑)
この趣向は、国名シリーズのとある作品と共通するものがありますが、私はこっちの方が好きかな。エラリーとライバル、そしてエラリーとパパクイーン、二組の立ち位置がいい!警視の判断がまた気が効いてるよ。
で、ラストのエラリーのお間抜けっぷり!いやもう、謎解きの要素と聴いてて楽しいというコメディーの要素が絡み合って、パズラーでありながら、初期シリーズには無かった余裕も感じられる。すごいです。

とにかくクイーンファンは読んで損はないですよね。楽しいったらもう!
ちょっとお財布の都合で延び延びになってた、論創海外ミステリの『ミステリー・リーグ傑作選 上・下』を是非とも買って読まねばなるまい!
パズラー好きのミステリ読みがこんなわくわくする読書タイムには、やっぱりエラリーの探偵譚の数々でしょう!
よしっ、頑張ろ!

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