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『首無の如き祟るもの』 三津田信三 著

2008/09/03(水) 10:29:09 三津田信三 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
刀城言耶シリーズ第三弾。
ホラー色の濃いと言われる前二作に比べ、これは完全に本格ミステリとして楽しむことが出来ます。また、そのカテゴリの中でも傑作です。

奥多摩の旧家・秘守一族の頭領家の長男・長寿郎にお見合い話が持ち上がる。相手の女性三人はいずれも秘守一族の中から選ばれるが、これには、いずれ自家を頭領である一守家として盛り立てたい悲願を持つ、それぞれの思惑が絡んでいた。
長寿郎の側近くで彼の世話をする少年・斧高(よきたか)は、以前から自分に優しい長寿郎を慕っていたが、最近、ざわつく感情に“自分は男なのに同じ男の長寿郎様を好きなのかもしれない”と思い悩む。そんな中で聞かされた、長寿郎の見合い話。斧高は複雑な心境でその日を迎えるが、好奇心に勝てずに<婚舎の集い>と呼ばれる儀式を覗き見する。暗闇のなか、首無の幻に怯える斧高が目撃したのは、候補者の一人と思われる、首の無い死体だった……。



いやもう、ほんとうーに面白い!!
首の無い死体という、古くからあるテーマが、これほど際立った作品は最近無かったんじゃないかな。あ、それと、双子であるということ。これもよくある話ですが、この二つが結びつくと、解決の部分のカタルシスが一層引き立つんですね。
この物語は、奥多摩の媛首村の駐在巡査であった高屋敷元の妻・妙子が、一守家を襲った事件を小説として書き起こし、検証するという趣向です。なので、最初は妙子の目線で、媛首村の成り立ち、秘守家の歴史、夫の立場を解説しながら進みます。その上で“検証する小説”として、亡き夫のパートと、一守家の使用人で高屋敷夫妻と仲の良かった少年・斧高の目線を主軸にしたパートの二本柱で、探偵小説雑誌に“連載”していくことが宣言されます。これにより、この未解決事件を中と外から見てみよう、この連載中に事件の真相に気づいた読者がいたなら、なにとぞ犯人を教えて欲しい、そう前置きされるのです。
この読者とは、つまり私たちのこと。こんな挑戦をされたら、ますます気合が入りますよね(笑)。

次々と起こる、首の無い惨殺事件。ひとつひとつの事件の概要も、隠さずに書いてあります。それぞれの死体が、徹底的に身元が分からないように、数々の伏線が張り巡らされているので、最後まで飽きることも陰惨さに辟易することもなく、ぐいぐい読めます。中盤で、長寿郎と思われる首無し死体が見つかってからはもう、何が何だかわかりませんでしたよ私。

でも、この物語の一番のポイントは、高屋敷妙子が宣言した、この“連載”の形にありました。
亡夫・元の目線、斧高の目線、そしてそれをつなぐ妙子の視点。
“連載”ですから、途中途中で読者からの投稿が届くだけのインターバルがあります。また、第二十二章/迷宮入り、そして幕間のあと、読者投稿による推理、続く刀城言耶による推理、が事件をあらかた解決したように思われます。
ところが。
全く気が付きませんでしたよ。途中で叙述ものに取って代わっていたなんて!
私は実は、叙述ものはともかくその延長上にある倒叙トリックといわれるミステリが大の苦手で(刑事コロンボや古畑任三郎のタイプの進み方)、そういうのは避けていたのですが、そんなアレルギーを感じさせることもないのです。再読したとき、ああ言われてみればこの時点で彼女が彼女に入れ替わったんだ、とわかります。でも初読では全く自然でした。
これがこの物語の素晴らしいところです。

これからのミステリを語る上で外せない作品だと思います。
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