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『さよなら、シリアルキラー』バリー・ライガ 著

2015/06/18(木) 14:50:02 海外ミステリ THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
さよなら、シリアルキラー (創元推理文庫)
バリー・ライガ 著/満園真木 訳
東京創元社


 これ、刊行前のゲラ版読者モニターに応募して何故か当選しまして。募集人数30名のところに160人以上の応募があったとかで、わたしこんなところでくじ運使っていいんやろうか(苦笑)
 書店に並ぶ、装丁されたパリッとした本しか手に取ることのない一般読者は(最近の有名書店員さんにはゲラとかプルーフとか、わんさか送られてくるそうですが)ゲラって新鮮!(以前に角川の新刊のモニターしたときは、簡易版(パイロット版)が送られてきたので、一応綴られてはいた)
 わたしはゲラで4月8日に読んだものです。きっちり製本されたものは今日発売でまだ読んでないかたが多いでしょうが、この記事は本作を読んだ人でないとオススメできません。必ず読み終えてからお付き合いくださいませ。伏してお願い申し上げます。
 



 「楽しく拝読しました。
 予想以上のページ数でしたが読みやすく、先を急ぐ指が止まりませんでした。
 
 青春ミステリというには凄惨すぎる展開ですが、見方を変えれば、ジャズとハウイーそしてコニーの三人はまるで少年探偵団が少し大きくなった感じなのでその意味では確かに青春で、その大人になる直前の若さが事件の中でふっと息をつけられる清涼感でした。
 
 探偵役をシリアルキラーの息子であるジャズに負わせることを、どうやって自然に読ませるか。警察や彼の周りを固める大人たちに幾度も幾度も撥ね返され、そのたびに疲れを知らない若さと熱量でそのドアをこじ開けたジャズが、探偵ではなく殺人鬼により近いという倒錯したストーリーが面白かったです。
 
 ミステリ初心者というほどではない程度にはミステリを読んできて、中にはシリアルキラーをテーマにした作品も国内外問わずありましたし、その経験からひょっとしたらこうなるのかな、とか、ああこの人犯人っぽいけど違うよね、とかいろいろ予想しながらこの作品を読んでいましたが、終盤近くになって、これは〈ものまね師〉の正体と同じくらいにジャズ個人の真の敵との対決、というフーダニットとサスペンスが溶け合ったミステリなんだなと思いました。サプライズを愉しむよりも、ジャズの成長を読むミステリ。彼の敵は父親であり祖母であり、なにより自分の心で、エディプスコンプレックスが発現する可能性を摘みとったシリアルキラーに、真っ当な(普通の)人間の男としての成長を見せ付けることがジャズにできる唯一のことなんだろうなあ、と。
 
 また、ジャズとビリーの明らかに異常な親子関係と、ハウイーの家族やコニーの家族の普通さとの対比も、そうとは書かれていないけれどもしっかりと感じ取りました。
 主人公・ジャズの苦悩や葛藤が全体に張り巡らされているので、彼にそれらを植えつけた父親のビリーは影の主役であり、〈ものまね師〉という真犯人でさえエキストラのようで、とうとう訪れた刑務所でのシーンからラストまでの駆け引きや腹の探り合い、完全にすべてをコントロールできるビリーの感情があらわになる場面はぞくぞくしました。
 
これは続編が出るのでしょうか?ハウイーとのたわいない約束事だったタトゥーがずしんと重みを持ったジャズのこれからの人生、大事な友達と恋人と、理解あるG・ウィリアムさんを信頼する心を忘れないでいてほしいな、と思いつつも、今後の展開が楽しみです。」

……この中から、100~200字分をなんとか抽出して送信フォームにコピペしました(苦笑)
いや、このままコピペ記入しようと思ったら、フォームの記入欄の下に「なるべく100~200字で」という一文を発見してひっくり返り、ウンウン悩みながらとにかくモニターとして当たり障りのなさそうな部分を繋ぎ合わせてどうにかお仕事終了。

全体の表向きな感想としては、上の「」の中に書いたのでもういいかな。

実は。

もしこれ自費で買ってたら、感想書いたかっつーと、微妙。もしかしたら書かなかったかもしれないです。

いやあのね、最近のシリアルキラーもので言うと、もう既に日本のミステリ読みには広く知られた傑作(シリーズ)がありましてね。

主人公に深く暗い影を落とし、刑務所にいてもなお支配者のようなシリアルキラー。

あれですよ、あれ。

ジャック・カーリイの。

ね?(苦笑)

もちろん、ライダーは殺人鬼としての英才教育を受けたわけじゃないですが、人格形成に大きな影響があるのは確かで、面会に行くにも命がけ、魂を削るような思いで。
息子の彼女のことをやたらと知りたがり「これ脱獄して彼女に接近して殺してしまいそう…」と読者を不安にするのも、弟の様子を知りたがる兄と似てるなあって……。

つまり、読んでるあいだ、ずーっとカーリイ作品と比べてしまってたのです。これはこれでちゃんと面白いのに。
小説の世界で後発は損やなあ、と思いましたね、うん。そしてその先発作品が傑作名作と絶賛されて既に多くのファンがいるのに、それに似たテーマで同じジャンル(ミステリ)を書くのは逆にすごい勇気、トリックやロジックが似てるのとはわけが違う。

なんだかんだ偉そうなこと書きましたが、今回こうしてモニターに当選してご縁ができたので、続編が出たら読みますよもちろん。ジャズと親父(ビリー)がどうなるのか心配やもん(母親か!)
その「母」の死についてもこれから明かされていくのでしょうしね。

東京創元社さんとしては初の試みだったゲラ版読者モニター企画は、ミステリ読みとしては狂喜するほどうれしかったし、これからも続けて欲しいです。
わたしも、ほとぼりが冷めたらまた応募してみたいな。(角川で二度恥かいたし今回もモニターの声のページを読んで頭抱えたのに……懲りないねえw)


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