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『半導体探偵マキナの未定義な冒険』 森川智喜 著

2015/06/18(木) 14:47:00 ミステリ・その他 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
半導体探偵マキナの未定義な冒険
森川 智喜
文藝春秋


 確かわたしはお初だと思う、森川さんの作品。……白状しますが、つい最近まで円居挽さんと区別がつかなかったおばちゃんですみません……(汗)
 そして、第14回本格ミステリ大賞を受賞されたというのに、『スノーホワイト~』未読(ていうか、序盤で挫折……)で重ね重ねすみません。
 でもでも!このマキナちゃんは大丈夫でした!



しかし、今までに馴染んできた「謎解き」ミステリというにはちょっと違うのは同じかな。
わたしとしては、事件(殺人事件)が起こって探偵が臨場して(安楽椅子型の場合は、“ストーリーに登場する”とでも言えばいいのかな)、関係者に話を聞きつつ推理して真相を解き明かす、というオーソドックスなミステリが大好きなので、
『スノーホワイト』でもそうでしたけど今作のように、“事件よりもむしろ「探偵」という存在の方によりスポットを当てた”タイプのミステリは、……うーん何ていうか……新しい潮流なのかもしれないし、若い読者にはこういうのが楽しいのかもしれないし、日本の謎解きミステリのフェーズが少し上がったと見るのかもしれないし。
ただ一方で、「じゃあ、円居さんや森川さんのようなタイプの作家さんが、ごくごくオーソドックスなミステリを書いてみたらどうなんだろう?」と思ったんですよね。
まあ、その若い作家さんの一人でそういうごくごくオーソドックスな謎解きミステリを書いてくれてるのが、裏染天馬くんというヲタクな名探偵を生み出して喝采を浴びた青崎有吾さんで(森川さんよりもっと若い!)。青崎さんがいるなら、同じタイプのミステリ書かなくてもいいでしょうと言われればそれまでですが。
それに、著者紹介には「好きな探偵小説はシャーロック・ホームズ」とあるし、古典を読み漁ってたのも想像できるので、単に好みの問題なだけですね、はい。

……あぁでも、好きなのはホームズ、というのを改めて頭においてこの作品を思い返すと……、確かにこれってホームズの系譜に連なってるわ。しっかり直系にある。と思う。うん。

「探偵」とは。「犯人」とは。「依頼人」とは。
名探偵が謎解きの装置になるより前の、人間としての立ち位置。「名探偵」が「超人」まがいになる、神のごときヒーロー。ドラマの現代版シャーロックがスマホを駆使して推理の助けにしてるように、ギリギリ人間であるということ。
それを「ロボット」に置き換えたのは、アイロニーというより洒落っ気なのかな(笑)

ま、そんなわけで、この作品は、事件の推理は高性能なロボットがみんなしてくれるので、人間は安心して「探偵」の存在について思索できるのでした(いいのかこんな雑なアレで)

正行くんがまだ高校生で、自分よりはるかにしっかりしてるロボットに頼りっぱなしなのはしょうがないし(ていうか、見た目は子供頭脳は大人な高校生探偵の方がありえないw)、それでもマキナと一緒に行動することでパターンをつかみ、自分の命を賭けて考える状況におかれることでぐんぐん成長してて、マキナと冗談言い合うのを愉しんだりツッこんだりしながらロボットたちとの距離感を最適に近づけるようにしているのは人間くさくていいなと思った。記憶というデータの集積だけじゃない、そこにプラス「感情」がある。
ただこの作品は、マキナにも嘘やジョークを言わせる「機能」を実装してあって、さてこれはロボットの「感情」なのか「ただの機能のひとつ」なのかの境界線がうっすらぼやかされてる気がしました。マキナちゃん、と言って(書いて)しまうくらいには彼女も人間と変わらないと感じる部分がある。それが半導体から導かれたものだと正行くんも読者も分かってるのに、二人の掛け合いは妙に和む。マキナにもロボットとしてのメンテやあれこれの描写があったわけですけどこれもなんだか眠ってるみたいで。

事件なんてロボットがスイスイ解決してくれるから展開早いし、むしろ「探偵の推理の方向」を推理するミステリというのも新鮮で、面白かったです。一話ごとの終わりの幕間にマキナちゃんが語り手になる、他三体のロボットの探偵譚があって、ロボットが語るそっちの方がよほどミステリっぽいなと笑っちゃったし。良い趣向だと思いました。でなかったら感想書かないよ。
これを機に、もう一回『スノーホワイト』にチャレンジしてみてもいいかな……自信ないけど。いや、世界設定とキャラクタ設定がダブルでエキセントリックすぎて(早い話ちょっと疲れた)、全体のたくらみにワクワクするとかいう余裕がなかったので……。
こっくりとした、派手さはなくとも端正なミステリが至上!なワタクシには、ぶっとんだミステリはかなりの冒険なのでした。

ロボットが(ほぼ)主役なのですがSFじゃないし、0101……のページでサンドイッチになってるけど大丈夫フツーに楽しかったです。

(2015.5.5 読了)
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