こんな本読みました。

読んで感じて書き出して、そして忘れていく。備忘録ブログ。

スポンサー広告 > 『ヒア・カムズ・ザ・サン 東京バンドワゴン』 小路幸也 著
小路幸也 > 『ヒア・カムズ・ザ・サン 東京バンドワゴン』 小路幸也 著

スポンサーサイト

--/--/--(--) --:--:-- スポンサー広告 EDIT
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Comment (-)

『ヒア・カムズ・ザ・サン 東京バンドワゴン』 小路幸也 著

2015/06/18(木) 14:44:21 小路幸也 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
ヒア・カムズ・ザ・サン 東京バンドワゴン
小路 幸也
集英社


 はー……泣きました泣きました。いろんな意味で泣きました。シリーズ10作目は、そのとおりにいろいろ節目の一冊な気がします。
 もう10冊目、ドラマ化もされて、版を重ねて、広く認知されているのでしょうが、この新作はもっともっとたくさんの人に読んでもらいたくてたまらない。
 生きていくうえで大切なことを、こんなに丁寧に楽しく読ませてくれる〈小説〉は、そうそうないです。LOVEだねぇは伊達じゃないです。
 あああもう何書いてもこのお話の良さには届かないんですが、とにかく堀田家バンザイ!!
 (今回は派手にネタばらししそうな気がしますので、できれば読了後にお付き合いください)




いやはや、まさか号泣するとは思わなかった……。

シリーズ10作目、10年間堀田家に心を寄せてきました。
ずっと、ご近所さんになりたいねー常連さんになりたいねーなどと笑ってました。

でも、10年間、堀田家と一緒に生きてきて、わたしももしかしたら堀田家の一員になれていたんではないのかなと実感しました。

シリーズ一作目からずっと一緒に生きてきた、玉三郎とノラ。
分かっていても、実際にウチの猫(女王様)を見送ったときの悲しみと淋しさを知っていても、堀田家の猫たちはみんないつまでもそこにいるものだと思っていました。

まさか、お別れする日が来ようとは。

このシリーズは一年一年、みんながひとつずつ歳をとっていきます。生きている世界です。当然、犬も猫も。でも小説ってつくりごとの世界でもあるわけで、作者の胸先三寸で猫叉だろうが妖怪だろうが不老不死だろうがいいんです。
けれども、小路さんは、玉三郎とノラを、普通の猫として天寿をまっとうさせてくれました。
この一話目、〈夏〉を読み終えて、号泣しましたよ……姫が亡くなったとき以来ですよこんなに搾り出すように泣いたの。今こうして感想書いてても涙が止まりませんよ……ほんまに泣いてて横でポコたんが心配してますよ……。淋しくて悲しくてペットロスになるかと思いました。まさか小説の中の猫さんたちの旅立ちでここまでショックを受けるとは……。

それで思いました。わたしのもうひとつの家族、もうひとつの世界の猫たち。つくりものの猫じゃなくて、玉三郎とノラは、わたしの中でリアルに生きている猫たちでした。
10年間、いつも大好きだったよ、玉三郎とノラ。たくさんの思い出をありがとう。

などとあまりのショックでしばらく放心状態になってしまって、続きを読むのに時間がかかりましたが、そしたらまあまあ、続く〈冬〉、新年早々に、七代目がやってきた!茶トラ!超かわいい!!
これからよろしくね、おそらく七代目玉三郎、おなじく七代目ノラ♪


猫バカですので、猫の話が尽きないのですが、堀田家の皆様のことも。
いやそれにしても、玉三郎とノラの旅立ちでこれなので、歳の順から言って考えたくないけど勘一さんがいよいよ……ってなったらどうなるんでしょうわたし。マジで考えたくないけど。

しかーし。
勘一さんはまだ当分は大丈夫ですよね!お元気で何よりですw

こんなふうに、この『東京バンドワゴン』は生きています。フィクションならではの部分と、普遍的な部分が見事に溶け合って、理想的な生き方をしているなぁとつくづく思います。なんて幸せな世界。

生きていれば、人はみんな歳をとっていく。いつまでも若々しく元気だと思ってた人も等しく老いていくし、生まれたての赤ちゃんだって言葉を覚えて生意気になってたくさん食べてたくさん泣きます。

堀田家とご近所さん、愉快な仲間たち、どんどんと人は増えていく一方で、世代交代も確実に起こってますね。
シリーズ一作目では「おじいちゃん」という言葉がまだ似合わないと思ってた我南人さんも、すっかりロックンローラーなおじいちゃんです。
そして、我南人さんの遺伝子を色濃く受け継いだ研人くんが、インディーズデビューもできそうなくらいのロックンローラーに成長してます。
堀田家だけじゃなくて、藤島くんと三鷹くんもなんだか中堅の域に入り、彼らの下で働く若い世代の成長が眩しくておばちゃん目がしぱしぱするよ(苦笑)
もちろん、大きな思惑の絡んだ事件や案件では勘一さんや我南人さん、藤島くん、木島さんのような大人の世界のベテランがまだまだ欠かせないんですが、あたたかくて懐深くて筋の通った堀田家に影響を受けた若い人たちがこれからどんなふうに生きていくのか。

わたし達読者の年齢は関係なく、この「堀田家に影響された若い人たち」だと思うんですよね。堀田家の物語を読んで、自分の生き方をどう見つめるか。愉しむか。

堀田家の皆さんは、わたし達に、丁寧に生きること、真っ当に生きていくこと、そして何より笑って楽しく生きていこうや、と、手を差し伸べてくれています。
その手を取って、わたしも一緒に、丁寧に歳を重ねて生きたい。どうせなら楽しく生きたい。

若い人たちに社会の椅子をひとつずつ譲りながら、そのときそのときの自分ができることを精一杯。

シリーズを重ねていくにつれて、一話ずつの締めの部分、紺ちゃんと(もう紺ちゃんというのも失礼かな)サチさんの語らいのあとの、サチさんからのメッセージが、どんどんと深くあたたかく慈愛に満ちて、わたしはこのサチさんからのメッセージをぜんぶ書き出していつでも目に入るように部屋中に貼り出したいくらいです。
正座して神妙な顔して聞くものじゃなくて、それこそ猫を撫でながら、日の当たる場所でサチさんと一緒に並んで座るの。そしてサチさんと同じ方向を見てにニコニコしながら聴くの。サチさんの言葉。

さっきも書いた世代交代。
研人くんをはじめ青春真っ只中の男子達も、大人の世界にだいぶ近づいた花陽ちゃんや元々大人びた芽利衣ちゃんも、夏樹くん玲井奈ちゃんと裕太くんたち若者も、もちろんかんなちゃん鈴花ちゃんと小夜ちゃんの子ども達も。
みんな生き生きしています。そしても両親やじいちゃんや、まわりの大人達の見守る目が本当に優しくて厳しくて素敵。

東京バンドワゴンは、逆三角形じゃなくて綺麗な正三角形。若い世代がどんどん上の世代を押し上げてるこの未来ある世界。このシリーズを読んでとにかく元気になれるのは、どんな厳しい状況に直面しても、前を向いて希望を持って時には妥協もして、絶望なんかしないこと、助け合うこと、未来の可能性を常に選び取ることを自然にこなしているからかな。勘一さんや祐円さんが元気だからって、お達者クラブのような小説ではないのは、若い人を助けて叱って見守ってくれるからでしょう。

子どもを生み育てるのって、福祉とか社会制度も大事ですが、何よりシニア世代がちゃんと若い世代を応援してくれる、見守ってくれるという安心感があるかどうかなんだと思う。行政のやり方にいちいち文句つけるより前に、自分のまわりが世代交代を認めてくれるか。

今の社会や世界は、世代交代を認めてくれない、許してくれないシニア世代が多すぎるんだと思います。生涯現役というのは、若い人が育たないということでもあるんでしょうね。
社会としての理不尽な負荷や人間の尊厳を破壊するようなストレスはもってのほかですが、家族という一単位で見ればある程度の負荷や挫折やストレスが、成長のためのエネルギーになる。負荷によって世の中がまわることもある。

若い人がその負荷やストレスに立ち向かうには、シニアが「自分達を信じてくれる」という寛容さが欲しいのです。若いやつらはなっとらん!では若い人は世の中に息苦しさしか感じません。
勘一さんは、若い世代の人たちが大好きです。こんなじいちゃんが居てくれたら、若い人も頑張れます。
シニア世代は、難しいこと考えないで、ただ若い人を好きになってほしい。ある程度の失敗や挫折を許してほしい。

この『東京バンドワゴン』は老若男女すべての人に通じる普遍性をもつ、ホームドラマです。つくりものだとバカにしないで、堀田家の一員として、一緒に生きていきましょう。楽しく生きていきましょう。

最後に。
花陽ちゃん、かっけぇ!!(爆笑)
堀田家の女性達はすばらしい!
そして、堀田家の男性陣は、みんな素敵すぎです!

(2015.4.24 読了)
スポンサーサイト
Comment (-)

ページの最初に戻る

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。