こんな本読みました。

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『知ろうとすること。』 (新潮文庫)

2015/04/22(水) 01:03:45 エッセイ・ノンフィクション THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
知ろうとすること。 (新潮文庫)知ろうとすること。 (新潮文庫)
(2014/09/27)
早野 龍五、糸井 重里 他

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 読もう読まねばと思うばかりで今頃になってしまいました。
 東日本大震災後、放射線関係の本をいくつかフォロワーさん(物理に強い本読みさん)に薦めていただいて読みました。なんとかついていけたし、そのときそのときで理解はしたし、今でも本棚に挿してあります。
 そしてこの対談本。ツイッターでの糸井さんと早野先生の関係が良好だったし、安心して読める以上に、ド素人にも納得の内容なので、原発が不安な人怖い人は読んでみてください。430円+消費税で、知識と情報と安心が買えます。ぜひ。



で、さっき書いた放射能関係の本、わたしがこれまで読んだものはもちろん一般人にもなるべく理解しやすいように書かれていたし、福島に関してはそんなに心配しなくていい、という結論に至ったですが。

この対談本は、早野先生が福島について活動されてきた本当に大事なデータ収集、陰膳検査やホールボディカウンター、ベビースキャンといった、ツイッターで知ってる程度の内容を当事者として詳細に語られたもので、国の動きまで分かる貴重な資料でもあると思います。

関西に住むわたしは、震災後そうして何冊か初歩的な本を読むまで原子力とか放射線と放射能と放射性物質の違いとかまるで分かってなくて、なんとか基本的なことだけでも知っておきたいと本読んで、あとツイッターで物理学の先生とか原子力関係の専門家とか放射線科医の先生とか、ざくざくフォローして、「もし本当にヤバい状況だったら、この先生たちがもっと深刻になるはず。だから今は大丈夫なんだ」とものすごく安直で簡単に考えてました。でもたぶん、わたしの場合は今はまだそれでいいと思ってます。

福島のかたがたのように原発事故にモロに影響を蒙ってるとか、家が農家や漁業で風評被害に困ってるとかいう場合、もっともっといろんな意見を知りたくてたくさんフォローしてると思う。その中で、誰を信頼してどんなデータをもとに自己判断を下すのか、これは自分もしっかり勉強しないと難しいはず。

そうしてたくさんの福島のかたがたと交流されている早野先生の、震災直後から三年四年たった今までのツイートや活動の推移は、未来への指標です。

今後、福井の原発群で事故が起きた場合、わたしが個人的にどう考えて向き合えばいいのか、関電や国にしてほしいことは何か、そういうことがかなり整理できた気がする。

ツイッターで専門の先生達のツイートを見て、簡単に安心してたけど、実際はもっと深刻なケースもありえたとか、セシウムやウランのこととか。
安直に「正しく怖がる」などと言うてきましたけど、実際に放射線というものはリスクがあるんやから時と場合によってはまさしく「怖いもの」なんだよと。
改めて、「芯の部分では怖いことなんやなあ」としみじみ思った。

「怖いこと」なんやけど、同時に考えないといけない要素が「量の問題」で、もちろん理解してるつもりですが、もし自分が原発の近くに居たとして果たして不安にならないだろうかっつーと量とかなんとかすっ飛ばしてひたすら不安になるでしょう。放射線や放射能って、そういう存在じゃないかな。

有事の際にオロオロしなくて済む方法は、ただただ正しい知識を自分に叩き込んで、最新のデータに常に更新して、イメトレするよりないと思う。
で、東日本大震災が発生するまで、そんな知識を持たずデータも知らなかった一般人にイメトレも何も無いからオロオロするのもしょうがない。物理や原子力の先生達はその上で、なんとか正しい知識、量の問題を知ってほしくてツイートされてるし早野先生もポケットマネーで活動されてきたんでしょう。

量の問題。そして正しく怖がること。

ぜんぜん難しくない対談だし、福島の高校生たちの未来は明るいと思えるし、早野先生には頭が下がるし、糸井さんのスタンスもよく分かる。
現在、福島の原発を廃炉に向けて高リスクのなか作業されてる人たちにも、感謝するしかないです。

この本を、舞鶴の親戚に読んでほしいと思います。まずは従弟かな。本好きやし。
舞鶴の家にも、関電から配布された原発事故が起きたときのマニュアルがあります(もし事故が起きたら避難しないといけない地域)。見せてもらった。基本的なことは書かれてたし、どこと連絡とればいいかとかも明記されてるし、それでいいんやけど、この本も添えればもっといいと思う。原発不安・放射能怖いで右往左往するのが分かってる一般人にとって、専門家や国がどういう対処をしてくれれば安心できるのか、どう考えればいいかの手引きにぴったりですもん。

そして、関電の社員も読んで欲しいの。
もし事故が起きて混乱を極めたときに、わたし達が欲しい情報が何なのか、責任企業としてどうしてほしいのか、この本から読み取って欲しい。

今、放射脳と揶揄されてる人たちにも読んで欲しいけど、素直に読める日が来るのはいつになるのか……。
不安で、安心したくて情報を集めてるはずが、不安にさせるデマばっかり信頼してしまう心理状態から抜けて、本当の意味で正しく怖がれるようになる日。
まずは、誰かを悪者にしてる人や言葉遣いの荒い人と距離を置いて、今は安心していいよと皆が普通に生活してるこっちを向いて。
わたし達こっち側の人間が楽しそうに見えたら、いいなぁと思ってほしい。

知ろうとすることが、正しい知識とデータに基づくものでないといけないことに気づいてほしい。

将来的には、こうした放射線事故の方面で世界に向けて発信できる膨大なデータを持つ国として、福島の子供達が活躍できるステージに移行できるといいなと思います。

(蛇足。『知ろうとすること。』の早野先生のあとがきを読んでハッと思ったことがあって、私のTLのミステリクラスタさんにいわゆる「放射脳」がいないのは、混沌から秩序を再構築していく推理小説に親しんでいるので、放射線についてもデータが集まれば秩序だってくるその過程に焦れないから?)

(2015.3.19 読了)
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