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『人魚と金魚鉢』 市井 豊 著

2015/03/22(日) 20:31:04 市井 豊 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
人魚と金魚鉢 (ミステリ・フロンティア)人魚と金魚鉢 (ミステリ・フロンティア)
(2015/02/27)
市井 豊

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 前作『聴き屋の芸術学部祭』から何年経ってるのかな……梓崎さんとほぼ同期と言ってもいいと思うんやけど、梓崎さんの第二作目より一年後に市井さんの二作目が出ましたね。なのでちょっと久しぶりな感が大きいです。
 いやそれにしても、今回も相変わらずの〈ザ・フール〉の面々。ていうか先輩!そう先輩なんですよわたしの一推しキャラは!今風に言えば推しメン?どっちでもいいけどさ。
 今回の短編集に、死体がゴロンとかエグイ真相とかいうものは出てきません。(ちょっと変わった)(いやかなり変わった)大学生たちの、のほほんとしたミステリです。グロイのが苦手な人でも安心して謎解きミステリが読めますwそしてこれはぜひ春に読みましょう♪





……などとオススメしといて何ですが、わたし個人の嗜好としては、前作の黒こげ死体がゴロン!とかヘヴィな真相とか、そういうミステリの方が大好物ではあります。安心してほけほけ読めるミステリは気分転換程度。

ですが、別に腐すつもりではなくて、素直に面白かったです。

青春もの、伝奇・幻想ミステリ、社会派と謎解きが融合した重いミステリ、そしてこの市井さんの〈聴き屋〉シリーズや滝田さんの黒川鈴木さんのシリーズのようなユーモア(脱力系)ミステリもあり、ミステリ・フロンティアの守備範囲の広さにびっくりするわ(笑)

今回は本当に日常の謎系の短編五編。

それと、前作は行きがかり上かかわらざるを得なかったりした柏木君ですが、この新作では〈聴き屋〉としての柏木君というパーソナリティそのものが目的で謎が持ち込まれる。柏木君に謎解きをしてほしい、という。
それもこれも、前作での芸術学部祭で謎を解いた一件が知れ渡ったからなので、前作を未読の人は先に読んでおいた方がいいかもなー、と思いました。
その前作でのヘヴィな謎解きの数々があるから、この新作でののほほんな日常が純粋に受け取れる面もあるのかな、とも。

大体、本格ミステリ界隈では、舞台がミス研内部、探偵役その他がミス研メンバーであっても、凄惨な殺人事件に出くわして謎を解く展開にはいまだに賛否両論がありますよね。フィクションなんだからいいじゃない、という人と、現実的にそんなことはありえないんだから、という人と。
だからまあ、この〈ザ・フール〉の奇妙奇天烈な面々がコントを繰り広げながら事件の真相に近づいていくというのは、どっちから見ても「ありえない」「フィクションでしかない」わけで、巧い手だなあと思うのです。

滝田さんの黒川鈴木シリーズもすっとぼけた語り口で笑いながら読んでますが、この市井さんのユーモアはラノベに近いと思います。
主人公とそのまわりの面々は大学生だし、たぶんラノベってこういう感じじゃないのかな?というわたしの解釈。
でもがっつり謎解きしてみせて、SFやら異能者やら異世界やらを持ち込まず日常のなか……というにはちょっと変わりすぎてる気もするけどまあ奇人変人ではあっても超能力者じゃないので。

そして今回も、先輩がイイ味出してますwいいわーマジで。
外部の人、慣れてない人には飛び退るほどというか尻餅つくほどびっくりする先輩、柏木君たちのようにある程度慣れた人でもまずは驚く先輩。なんだかもう愛おしい……!(←あれ?)
川瀬君もアレだし、初登場した柏木君の家族、とくに弟の東くんも将来有望だし。
梅ちゃんの暴走も相変わらず、というか症状進んでないか?w

一話一話のあらすじは省略しますけど、わたしの好みは〈世迷い子と〉と〈人魚と金魚鉢〉かな。
柏木君の推理力と、関係者への素のツッコミ、こののバランスが良いなと。

こんな学生生活だったら、たぶんわたしは卒業したくなくなるような気がします。奇人変人という自覚があるにしても無自覚にしても、自分よりもっと奇人変人の巣窟にいれば居心地いいはず。
ただし、芸術方面に何がしかの才能が必要ですけどね……(あー)


桜舞う春にぴったりの、楽しいミステリでした♪

(2015.3.5 読了)
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