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『探偵工女 富岡製糸場の密室』 翔田 寛 著

2014/11/30(日) 20:12:38 翔田 寛 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
探偵工女 富岡製糸場の密室探偵工女 富岡製糸場の密室
(2014/08/05)
翔田 寛

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 先ごろ世界文化遺産に登録された、富岡製糸場と絹産業遺産群。もちろん歴史の時間に、明治時代の重要な存在として習った記憶はありますが、実のところ近代はこれっぽっちも興味がないワタクシ、位置づけとか工場の大きさとかそういうものを一切気にしてませんでした。
 そんな実在の建物と、当時の情勢がこの作品の核であるからには、これは明治初期を舞台にした社会派ミステリなのかもしれないなあ、と思います。
 翔田さんの作品は最近かなり読みやすくなってきたので、興味のあるかたはどうぞ~。





とか言いながら、わたしは実は男ばっかり出てきて潤いの無い、湯水のように血糊がどはどば流れる凄惨極まりない、そんな翔田さんの作品の方が好きかもしれないです。
女性がこれっぽっちも入り込めないから、逆に突き放して読めるんですよね。
で、男同士、命がけで負けた方には死あるのみ、という展開だと、重苦しい緊張感がみなぎってて、ヒリヒリします。

ですがまあ、ここ最近、『幽霊が返した借金』(『神隠し 子預かり屋こはる事件帖』改題)とか、女性キャラがメインにくる作品も書かれていて、確かにソフトになりました。そしてたぶんこういうものの方が読みやすい。バランスがいいというのか。

そんな感じで今回は、富岡製糸場で働く女の子が、主人公の一人。
もう一人、視点人物がいて、それが今で言う刑事さんの、桐野警部。いまと警察機構も違うので、今の警部という階級と同じなのかは分からない。

んーとね、このお話は、キャラで動いてます。
謎ありき、ではないと思う。

深く悩んでいたある工女の、密室での死。
その事件の解決は、もちろん本格ものとして。
仲良しだった勇ちゃんが、推理し現場を調べて謎解きをする。見事な少女探偵です。リアリティがない分、探偵役としてぴったり嵌ってるということになるのかな。

一方、富岡製糸場全体を覆う陰謀と首魁、その追跡。桐野警部が追うのはこちら。
読んでる側から見るとこの陰謀は、キャラクタそれぞれがはっきりと役割分担をしていてそのセオリーどおりに展開していく。もちろん、当時の社会情勢やら、キャラの氏素性やらが絡み合って、ついでにタイムサスペンスっぽくもあって、ぐいぐい進んでいきます。

裏のありそうな人、いい人、ただの卑しいお調子者、存在が既に害になってる人、よく分からないフランス人……、たくさんのキャラクタがいますが、まったく混同しない。

正直、少女の死の真相、密室の謎やら動機やら、これとフランス人教師との関係の真相はちょっと弱いんじゃないかな…とも思います。
少女達が悩んで思い詰めていく様子と、ルイズさんの特別な繋がりというか……こういう事態は、少女三人の間だけって無理がないかなあ、もっとたくさんの工女達が同じ立場になっててもおかしくないよね。
ま、書いてないだけで他にも同じ状況だった少女達がいたのかもしれなくて、ただ悩み悩んで命を落とすことになるまでに追い詰められたのがこの三人でそれは実家の境遇が誰よりも厳しかったせい、ということなのかな。
あと、他のフランス人は通訳が必要なのにルイズ女史だけやたら日本語が流暢なのも、別の意図があったという伏線?でいいのかな。

その謎を捜査するために派遣された桐野警部と司馬巡査、こちらの陰謀は大きくて迫力あります。富岡製糸場という巨大なランドマークを思う存分使った感じ。
クライマックスに向けて怪しい人はより怪しくなってくるし、本当の味方は誰かもはっきりしてくるし、フランス人はみんな腹立つ奴ばっかりやし(苦笑)、桐野警部を押さえつける奴は下種の極みやけどそんな権威に靡いた某警官はもっと下種やし、なかなか愉快でございました。

少女が不審な死を遂げて、チラチラと怪しい挙動の人達を目の端に捕らえてた勇ちゃんがピコピコと推理して、真相を筋道立てて話せるようになって、桐野警部と協力して、そんでもって勇ちゃんピーンチ!のクライマックス、そして事件はどうなったか、流れはそんな感じですが。
ああ、今わかった!
この作品、この展開、何かに雰囲気似てると思ったら。

見た目は子供、頭脳は大人!真実はいつもひとつ!ってやってるアレ、めいたんていこなん の映画版のような展開なんですよ!

はーすっきりしたっ。

つまり、陰謀の全容はなかなか派手です(ネタばらしせずに書くとしたらこれくらいしか書けない……)
富岡製糸場全体を追い詰めるものも、社会的スケールがでかいです。

少女の死の密室と、富岡製糸場全体の密室。

巻頭の見取り図がめっちゃ役に立ちます♪

工女たちの仕事のこと、絹糸を紡ぎだす工程のこと、富岡製糸場のこと、みっちり取材や資料調べをされたんだろうなあ、と思います。いろいろ勉強になりました。


なんだかんだで翔田さんの作品はほぼ全部読んでるはずですが、最初にも書いたけど初期作品に比べて最近のは本当にソフトで読みやすくなってきてるので、幕末から明治維新あたりの情勢がお好きなかたはぜひw
特にこの時代が好きでもないわたしでさえ、面白く読んでるくらいですから。

翔田さん、あの、らいぞうさんのシリーズはもう続かないんでしょうか……?
竜巻誠十郎シリーズの第二部というか新シリーズってことじゃなかったのかな……実はひそかに待ってるんですケド……。

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