こんな本読みました。

読んで感じて書き出して、そして忘れていく。備忘録ブログ。

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『郵便局と蛇:A・E・コッパード短篇集』

2014/11/30(日) 20:05:32 海外ミステリ THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
郵便局と蛇: A・E・コッパード短篇集 (ちくま文庫)郵便局と蛇: A・E・コッパード短篇集 (ちくま文庫)
(2014/09/10)
A.E. コッパード

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 こないだ、「わたし、純文はほとんど読まない」とか書いたような気がするんですけど、純文読みました(笑)
 短編集ですけどね。
 「小説好きなら、コッパードの短篇はぜひとも読むべし」みたいな煽りが国書刊行会さんや、翻訳者である西崎憲さんのツイートなどで流れてきて、おおおそれは興味あるなーと思ってグランフロントのイベントの時に一緒に買ったのに読むの遅くなってしまったなあ……面目ないです。
 いやー、確かに。面白いとか面白くないとかいう話じゃなくて、強烈に印象に残る短編集でした。



そんなわけで、わたしはコッパードという名前すら初めて知ったのですよ。てへ。

はー、凄いねえ。読み終えた人たちが次々と魂抜かれたツイートされてるのが分かる。わたしも、たぶんもうこの短編集のことはもう忘れられない。

西崎さんによるコッパードという人物の略歴や作品解説を読んでなるほどなあ、と納得したのが、読みやすさ。
十分な教育を受けていなかったそうで、ただ文学や詩が好きで好きで貪るように読んで、独学で自分のスタイルを作り上げたらしいのですが、それがよかったんだと思う。変に教育を受けていたら、もっと文章を飾りたくなっただろうし、意味深なことも埋め込みたくなっただろうし、もっとドラマチックに書こうとしただろうし。

コッパードの短篇って、シンプルで朴訥で孤独で人恋しくて、傷つけ傷つけられて誰かを羨んだり蔑んだりして、夢と現実の境界線がところどころ曖昧で、ただただ内面的な感じです。
でも、普通だったら痛々しかったり共感できたりできなかったりするような、あるあるストーリーじゃなくて、何もかもを真正面から受け止めているキャラクタの姿を訥々と読んでいるうちに、心に何かが刻まれる。それが言葉にできないのがもどかしいんです。

どの短篇にも、コッパードという人の姿と人生が投影されているようで、ファンタジーでもないし、かといってリアリティ溢れるものでもない。

storyじゃなくtaleにこだわったというコッパードさんは、自分の人生も、小説を読むように客観的なものではなく、物語として能動的にその中で生ききろうとしたのかなって。

短篇集って、連作でないと読み終わったときにタイトル見返してもすぐには思い出せないものがあったりしません?
それが一切ないんです。どのタイトルを見ても、すぐにどんな物語だったか思い出せる。
難しい言い回しなんてないし、起承転結がはっきりしたドラマチックさもない、ただ風に吹かれて流れるように生きている世界の物語ばっかりなのに、タイトルだけでまた生き生きとその世界が立ち上がる。
キャラクタが立ってるとか世界観がどうとか描写がどうとかじゃなくて、コッパードさんの気迫のようなもの。それにぐいぐいと引っ張られて引きずり込まれてのめりこんだような感じです。

世界も生命も、こんなに冷酷で無垢で喜びは少なくて哀しみが消えることはなくて、でも生き続ける。生きていくことは疑わない、その透き通った強さ。
誰かと比較して、誰かと争って、誰かと殴り合って、それでも生きる。どこかにきっと、自分の居場所がある。世界はこんなに広い。

目先の感情や欲望に、深遠な感動や涙はあっという間に置き去りにされるけど、忘れてるわけじゃないから。魂には深く刻み込まれてるから。
でも、生きていれば、いつか忘れるから。
そんなキャラクタは、コッパードさんという人の人生や姿の投影だろうと思います。
変に飾り立てないのが良いんだろうなあ。

ところで、西崎さんによる解説に戻りますが、というか、また出た宇野浩二(笑)。こないだの『大阪ラビリンス』といい。
これはもう、宇野浩二キターーーッ!よね。読まないとね。読書の神様がわたしの背中蹴っ飛ばした気がするwww

ただ幸せに生きたいともがく人々と、そんなもの知ったこっちゃない世界との、運命の綱引き。

コッパードの世界は、過不足なくて美しいなと思いました。

もっと読みたいな。うん。

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