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『スターダストパレード』 小路幸也 著

2014/09/12(金) 00:22:46 小路幸也 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
スターダストパレードスターダストパレード
(2014/09/05)
小路 幸也

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 メフィスト賞でデビューしてパルプ町シリーズを二冊、その後あの名作『空へ向かう花』を出されたのが2008年、それ以来の講談社からの作品です。おかえりなさい!というべきかなw
 とは言っても、2014年の小路先生は、あの頃とは少し違うのですよ。チッチッチ(人差し指)
 メフィスト連載ということで、メフィストらしいテイストのもの、ミステリーなもの、というオーダーだったそうですが、わたしには「小路さんらしい!」という言葉がまず浮かびました。はい。

 

初期の小路作品は、あたたかさや懐の深さは今も同じですがもうちょっとリリカルというか、せつなさややりきれなさをみんなで共有してみんなで強くなろう、時間がそれを見守るだろう、という感じのカタルシスがもっと前面に出ていたように思うんです。
それが、いつくらいかな……、たぶん、ザンテさんシリーズあたりからじゃないかなと思うんですが、すべての真実を白日の下に晒すことをしないで平穏な日常を守ろうとする人と何も知らずに生きていく人が隣り合っていたりして、読み終えると世界の影がほんの少し濃くなったような、そういう小説が増えてきた気がします。小路さんなりのハードボイルド観、というか。

それともうひとつ。
根っからの悪人が登場しなかった小路作品だったですが、最近はラスボスというか限りなく黒に近い人というか邪悪なことを平気でおこなえる歪みを抱えた人というか、そういう存在が登場するようにもなりましたよね。『蜂蜜秘密』でびっくりしたのは今でも忘れられないんですが、それからも、『札幌アンダーソング』のあの人とか。
世界には知っていてもいいことと知らなくてもいいこと、真実が誰の幸せにもならないことがたくさんあって、そういう毒を身の内に抱える役割の存在がいて、そうそう簡単に分かり合えないのはしょうがないこと。衝突して傷を負ってそしてどこまで自分なりに許せるか、そんな不条理感を組み込んで、それでいて小路さんらしい優しさと懐の深さを増して、わたし達ファンは虜になるのです。

さて。この新作、スターダストパレード。
ああ、本当に今の小路さんらしい!そう思いました。

頭のいい人。
綺麗な人。見た目がね。
機転の利く人。
懐の深い人。
笑顔の素敵な人。
正義感の強い人。
食えない人や底知れない人。
そして、
魂の無垢な子供。

これ、たくさんの登場人物のひとりひとりに割り振られた設定かと思うでしょ。
実は、マモルくんひとりですでにこの要素みんな持ってます。パーフェクト!ヒーローですよw
小路さんの作品の主人公はどこか中性的なところがあるんですけど、マモルくんはもう、極端な話、堕天使でいいのではないかと。
ストーリーよりもフィクションっぽいのは、このマモルくんというキャラクタだと思う。
そして、そんなフィクション度の高い主人公が活躍するストーリーが何故か現実ちっくという、この按配が良いです。
バリバリフィクションなキャラが小説というフィクション100%のストーリーで生きるのはたとえば異世界ファンタジー小説あたりなんですけど、リアルの匂いをのせてヒーローがかっこよく駆け抜ける、小路さんの世界。

元・暴走族のヘッドが超美少年で頭が良くて真っ直ぐな心で過去が凄惨で、もう萌えキャラ以外のなにものでもないんですが、鷹原さんの存在がどすんと重しになってるというか、下手にマモルくんにちょっかい出すと戸籍消されそう……とにかく一番怖いのは鷹原さんですから。そしてマモルくんもそんな鷹原さんに全幅の信頼を置いて、喜んで鷹原さんの役に立とうとしてる。
頭のいい人が揃うとエッジがキレッキレですわ……。

ニノンちゃんが天使、マモルくんが堕天使、鷹原さんは……閻魔大王?(苦笑)

で、小路さんの最近のもうひとつの特徴。
スタンダップダブル!のあの人とか、ビタースイートワルツのあの人とか、そして今回の「尾行する男」のあの人も。

事態を動かす不気味なキーパーソンの影が濃く、長い。

それがストーリーに緊張感を持たせて面白くしてるわけですが、この「尾行する男」はまた一段と複雑ですね。
敵か味方か、という見極めが難しくてどきどきする。
それと、これはネタばらしになってしまいますが、この男とマモルくんの見事な重ね合わせ!お互いに、鏡を見ている気になったでしょうし、運命のシンクロ率もハンパじゃない。これはもう同属嫌悪をむき出しにしそうなものなんですが。
結局、この人も鷹原さんに救われたんですよね……。

この新作も、前作の『壁と孔雀』と同じく、〈後期クイーン的問題〉のミステリだと思います。

操る存在がいて、マモルくんたちは見事に操られるわけです。

でも、「こうするしかなかった」ということなので、同情します。
そこにあるのは、愛情と後悔だったから。

クライマックスのマモルくんの推理するシーン、あのロジックはエレガントでした。
そこに鷹原さんの推測も重なって、ジョゼットさんの死の尊厳は保たれた。
鷹原さんと杏子さん、そして彼は、いつか必ず、追い詰めるでしょう。そこにマモルくんとニノンちゃんは居るのかどうか。
ただ、鷹原さんのように、それを生きがいにして生きていくのでなければいいと思います。思い出したように、ついでのように、殴りにいけばいいと。
それを最終目的にしてしまったら、そこから先の人生は虚無になってしまうから。
鷹原さんもそれを自覚してるから、余計に生き急ぐのかもしれないなあ、と、そんな風に感じました。せめてニノンちゃんと美里さんの存在が、鷹原さんを引っ張り上げてほしい。


スターダストパレードってタイトル、読み終えてみると、改めて素敵なタイトルでこれしかないなって思いました。
マモルくんも鷹原さんも、警察も公安も政治家も、男も女も、庶民もセレブも、子供もじいちゃんばあちゃんも、みんなみんな星屑で。
でもキラキラと輝きながら、がんばって生きていくのですよ。時には彗星や流星になったり、衝突して大きくなったりして、永遠に同じ宇宙の地図ではないんです。ぶつかって流れて傷ついて、キラキラはいっそう大きくなる。それもパレード。綺麗じゃないですか♪

この物語は、1980年代の設定です。
タバコに対する風潮もまだまだ自由だし、登場する車種も懐かしい(苦笑)
いま、2010年代。30年くらい経ってます。
このエンドマークのあと、30年後、マモルくんたちはどうなったかなあ。

わたし、マモルくんにはぜひ高卒の資格とって大学に行って、平凡な友達たくさんつくって、美里さんより素敵な彼女みつけて結婚してほしいんです。
マモルくんの本質が非凡なだけ、その名のとおり「守るもの」をたくさん持ってほしい。
たぶん、そういう人生を歩もうとしたのが合わせ鏡のような彼なんでしょうけど、だからたとえマモルくんがこの先そんな人生を手に入れたとしても、やっぱり破綻しそうな気はするんですが、堕天使にとっての神と女神である鷹原さんと美里さんは結局マモルくんを駒にしかできないから。
マモルくんだけの神を見つけてほしい。

そんな妄想してしまいました。

鷹原さんの一番大きな目標にも、彼の思惑にも、最終的には手が届かなかった。
一人の女性の死は、誰かの復讐の口実になるのを拒否した。
みんながすっきりしないまま、これからはその石を心の蓋にして生きていく。

笑顔って大事ね。
誰かと話すときも、一人でいるときも、生きていくことも。
前を向いて、笑って。
天使か堕天使か、どっちでもいいけど、笑顔でいれば気づいてくれるかも。そして友達になりたい。
どこに行けばマモルくんに会えますかー!

(2014.9.6 読了)
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