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『死者の心臓』 アーロン・エルキンズ 著

2008/09/03(水) 10:26:25 アーロン・エルキンス THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
この『死者の心臓』は1996年に刊行されています。
形質人類学者のギデオン・オリヴァー教授が、ホライズン財団というNPOの理事を務めるグスタフスン夫妻の強い勧めで、エジプト・ルクソールにあるホライズン・ハウスにまつわるドキュメンタリー映画のナレーターをすることになり、妻のジュリーとともにエジプトに入ります。
あまり気乗りしないギデオンは、それでも誠実に役割をこなしつつ、ホライズン・ハウスのスタッフたちと交流をもちながら、愛妻ジュリーとエジプト観光を楽しもうとします。
ある時、ホライズン・ハウスのゴミ捨て場のような場所で人骨が見つかり、ギデオンは専門家として、この骨の分析を開始。その騒ぎの中で、研究所が盗難にあっていたことが判明。ただ、あまり値打ちのないものばかりの研究所で、真偽のほどがはっきりしません。
映画の撮影を小さなハプニングに見舞われながらも推し進め、一向は豪華客船でナイルを北上して次の目的地に向かうのですが、その途中、ナイルの真ん中で研究所所長のハドンが河に落ちて死亡してしまいます。
前夜、大酒を飲んでいた彼が、ふらつき誤って河に落ちた、と思われましたが、遺体を見たギデオンは、これが殺人であることに気づきます……。


相変わらずラブラブのギデオン&ジュリー夫妻。
このシリーズはまず、なんと言ってもこの二人の仲の良さです。
誠実で人の良いギデオンと、彼との会話を楽しみながら支え励ますジュリーは、お互いを全身全霊をかけて愛し合っています。他の作品ではギデオンが仕事で外国にいるときなど、電話の受話器が焦げそうなほどのラブラブぶり。読んでいるこちらが恥ずかしくなります(笑)。
また、ギデオンが日々取り組むのは骨であって、生々しい死体や大量の流血ではありません。河から引き上げられたハドンの遺体を、“汚らわしい”としか感じません。まあ、素直なんですかね(苦笑)。
ただ、骨の専門家としてじっくり観察し導き出した推論は、かのシャーロック・ホームズが人の手を見ただけでその人のデータをずばり言い当てる姿によく似ています。ところが、骨を見て生前の身体データを導き出し、生活環境を推測するというのは、ただそれだけであって事件の謎を解くアリバイ崩しにはなりません。その意味では、このシリーズは本格ミステリというより、アメリカ人であるエルキンズの冒険活劇の色の方が強いように思います。

この作品の舞台はエジプト。
実は私は、過去一回だけ海外旅行したことがありますが、それはエジプトでした。もちろん英語なんてからきし駄目なので、ツアー客でしたけど。
96年よりも前のことでしたが、私の記憶にあるエジプトとなにひとつ変わっていないんですね。エジプトに一度でも行ったことのある人なら、あまりにもまんまな描写に、自分がギデオンと一緒にその地に立っているような気がしてくるのではないでしょうか。
クリスティの『ナイルに死す』(ナイル殺人事件として映画化)があまりにも有名ですが、それと比べても遜色ないほどにエジプトという特殊な土地を、見事に描ききっています。

事件の終盤では、ギデオンが秘密に近付き過ぎた為に、ジュリー共々命を狙われます。こういうアクションシーンもお楽しみのひとつ。ハリウッド映画を観ているつもりで存分に楽しみました。

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