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『私がデビューしたころ (ミステリ作家51人の始まり)』

2014/09/12(金) 00:08:07 エッセイ・ノンフィクション THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
私がデビューしたころ (ミステリ作家51人の始まり)私がデビューしたころ (ミステリ作家51人の始まり)
(2014/06/28)
東京創元社編集部

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 はい、もちろん有栖川先生お目当てです。それが何故今ごろ読了なのかは、お察しください……。
 51名もの作家さんの、1ページや2ページではない読み応えのあるエッセイ集。読み終わるのにさぞ時間がかかるだろうと踏んでたら、いやこれめっちゃ面白い!あっという間に読み終えてました。本当、読み終えてた、気がついたら。
 ミステリ作家を目指すかたにはもちろん×100ほどお勧めなのは当然ですが(日本語おかしくない?これも一種のトートロジーって言っていいのかな?)、将来を漠然と不安視する人にも、現在に十分満足してる人にも、なんというか、……、



そう、夢。
夢が詰まってるんですよね。

もちろん、現実的な悩みや不安、打算的なところや、破れかぶれっぽいエッセイが多いですが、その根っこは、「夢」なんですよね。

そして、改めて思いました。

わたし、作家さんになりたいと思わなくてよかったなあって。
自己嫌悪をさらに拗らせて、人格崩壊してたかもしれん。
それくらい、作家になる、というのは自分の体も精神もガリガリと削っていくんだなあって。もがいてもがいて苦しんで、なんとかデビューできてもそれがスタートなんて、強靭な精神力がないと無理ですよね……。

というわたしの自己分析は、大半の一般読者も似たようなもんだろうと思うからこうして書いたんですが。

この51人の作家さんの中で、一番興味深い対比はたぶん太田先生と近藤先生だと思います。
読むことと書くこと、に対するスタンスが正反対。

最近は作家志望の人の多くは講座や文章教室に通ってプロの指導を受けて公募に挑戦するというのがスタンダードなのかな、と思うんですけど、有栖川先生の創作塾しかり。
でもその有栖川先生を始めとする「新本格第一世代」のかたがた、もっと前にデビューされてる大御所となると、ほぼツテや持ち込みなんですよね。
勇気あるとかないとかいう話じゃないですよ、もう無邪気としか。ただミステリが大好きで書かずにいられないんだ!というその熱意だけが、道を開いてたんですね。
その情熱が、いまも冷めないで第一線で執筆されている。くらくらしてきましたよ。

このエッセイ集の、キーパーソンは四人。
もちろん、東京創元社の戸川さん。
そして、本格ミステリが人間の形をしたような偉大な存在の、鮎川御大。
それから、講談社の、新本格の生みの親、宇山さん。
それと、島田先生。
この51人の作家さんたちはだいたいこの四人のどなたかの導きでデビューされてますね。

初めて文章に触れた作家さんもいますし、作品は熱心に読んではいないけどエッセイは楽しいなーと思う作家さんもいますし。
ちなみに、一作品でも読んだことのあるファンとはいえないまでも知ってるよといえる作家さんも含めて、わたしが(アンソロジーじゃなく)単行本を読んだことのある作家さんはこの51人中34人、だと思う。読んだの忘れてカウントしてない可能性もあるけど、それでもプラス1~2人。

興味を持って読んでみよう、チェックしていこうと思わせてくれるのがアンソロジーのいいところなんですけど、それがエッセイ、それもデビュー前後の葛藤という一番生々しいエピソードばかりなので人間くさくてますます楽しい。

わたしが一番びっくりしたのが、今野敏先生でした。
著作が多すぎて追いきれなくて今に至るんですけど、そこじゃなくて。
作家デビューされる前、音楽業界にいらして、

TM NETWORK(というか、前身のスピードウェイ)の三人と一緒に仕事してたですってえええええええ!?

マジですか……!

ということで、わたしはこれから今野先生のたっくさんのシリーズ群、膨大な作品数を追いかけようと思います。決めました。
ていうかとっかかりがTMって、まさかそこから食いついてくる読者ってあんまりいないと思うけどすみません出戻りFANKなので多めに見てください……。

宮部センセのブレなさにもニンマリしたし(火村センセイの大ファンというあれ。『スウェーデン館』の文庫解説のあれwww)、

どの先生方のも、エッセイなので事実が元になってるはずなのにフィクションばりに面白いのはさすがに作家さんだと思ったし、

やっぱり東川さんて読者の期待を裏切らへんなあwと笑ったり、北山さんのあのイケメン度と引きこもりっぷりがラノベちっくでちょっと萌えかけたし(おい)、意外なところでは森谷さんのお母さんとしての視線とか(作品のトーンとは明らかに違うんですよね)。

51人ものミステリ作家さん、と思いますが、現実にはミステリ作家さんはもっともっとたくさんいらっしゃる。
ジャンルをSFプロパーやホラー幻想、一般、時代小説、あと児童文学とかまで広げると日本に作家さんていったいどれくらいいらっしゃるのか……。
そして今日も、作家志望の人が、こつこつ書いたり、投函してドキドキしたり、落選してしょんぼりしたりしながら、この中の一員になろうと頑張ってる。

これだけ「書くこと」にとりつかれたエッセイ集を読んでも、やっぱりわたしは書けません。根っからの読み手です。
読み落としてる名作傑作をもっと読みたいし、新人さんがこれからじゃんじゃん発表してくれるのも楽しみでしょうがない。
好きに読んで、勝手な感想を書き散らすだけですが。

これからも、書いてください。待ってます。

(2014.8.19 読了)
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