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『超高速!参勤交代』 土橋章宏 著

2014/07/19(土) 11:37:02 その他一般 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
超高速!参勤交代 (らくらく本)超高速!参勤交代 (らくらく本)
(2013/09/27)
土橋 章宏

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 いやースカッとしたあwww
 三人称で、時折現代視点からの注釈も入るのですが、ジャンルはたぶん時代小説、なんでしょう。それにしては現代風で楽しい楽しい♪
 近々、実写化されるんでしたっけ。いやこれ、二時間ちょっとじゃ収まらんでしょうよ。
 とにかく読んだ後の爽快感がたまりません。
 あと、福島・栃木・宮城の人たちはきっと、遠いわたしよりももっともっと楽しく読めると思います。特に福島県の人たちに、ぜひ読んで欲しいです。



陸奥国湯長谷藩という小藩の藩主、内藤政醇様を中心に、江戸城でぬめぬめと蠢く下卑た老中の陰謀と、それを突破しようとする藩士たち忍びたちの闘いを描いた、五日間のカウントダウン。

この五日間ってのがすばらしい。

東北からの参勤交代では普通ならまず不可能なその五日間という期日内に江戸城に来いという命令。
金山を持っていながら幕府に隠したという疑い。
もとい、言いがかり。
その陰謀を企む老中の気持ち悪さと獣以下の暗黒さ、しかしその老中がナメてた小藩の藩主も藩士たちもこれがまた実直で剛毅で柔軟であたたかいこころの持ち主ばかり。
普通なら不可能なその五日間を、可能にできるか。果たして間に合うのか。
妨害を撥ね退けることができるのか。
絶妙の日数でした。

そう、時代劇の勧善懲悪です。
ネタばらしするなら、(してもいいと思う)、政醇様、勝ちます。老中はこてんぱんに負けます。
ただし、そうなるまでに、湯長谷藩の一行は幾度も命を狙われ、裏切られ、何度もあきらめかけます。

でも、情けは人のためならず。
それまでの行ないが何倍にもなって湯長谷藩を救いに来てくれます。
そして、殿様である政醇様はじめ藩士さんたちがみんな、とんでもない武士。天下泰平の世(八代将軍吉宗の時代です)にあって、湯長谷藩には怠け者なんて一人も居ないのかー!とびっくりします。後半の見せ場ですので詳しくは書きませんが、ひーーーかっこいいーーー!
いや江戸屋敷に住む政醇様の妹、琴姫さんからしてめちゃめちゃ強い。心もまっすぐで。

窮地に陥れば陥るほど機転が利くのも小藩だからこそでしょうし、藩主と百姓衆が顔馴染みっていうのがまた藩を救う。
青空のような藩主の下、貧しくとも笑顔で暮らす湯長谷の人々。
自分の藩の為に自分の命を賭けて治める殿様。

国がすべきことは別として、目の前に困ってるひとがいたら、ぐだぐだ言うとらんとできるかぎり助けるのが人情。人間じゃろうが!
という政醇様のシンプルさ。
日々は朝から晩まで働きづめでそれでも藩は貧しくて、でもたまに祭りごとでおなかいっぱい食べてお酒飲んで羽目をはずす。そしてまた明日も頑張ろうと思えるその幸せな気持ち。

すがすがしい小説です。

将軍とお側用人はこのすべてを見越した上で五日間で江戸に来るように命令したんだろうなあ、ということも、
参勤交代の際に、上様に献上した大根のお漬物がきっと鍵なんだろうなあ、ということも、
政醇様が以前助けた相手から今度は助けられるんだろうなあ、というのも、
早い段階で分かります。その予定調和が、時代劇・時代小説の醍醐味ですよね。

逆にひとつ、わたしが読み切れなくて膝を打ったのが、琴姫様の機転。
丸腰で江戸まで駆け抜けてきた兄と一行のために、用意させたもの。これがみんなの命を救う展開。すげー琴姫ちゃん♪

忍び同士の闘いあり、近隣の藩主との緊張と笑顔のやりとりあり、道中のらぶろまんすあり、PTSDあり。

心を開いてよく笑ってよく鍛錬してよく働く、老いも若きもだれも怠けてない、今では懐かしい日本人の姿を読んだようです。

政醇様と段蔵の会話、最後の上様との会話、どれも胸に迫って印象的でした。


でね、このお話は、湯長谷の大根が鍵なのはさっきも書きました。
美味しい食べ物を作る土。
磐城の大地と人々。
東日本大震災による津波と、その後の原発事故で、福島県はもうじき震災から三年になる今もまだ、風評被害や一部の心無い中傷にさらされています。
福島の人たち、これ読んで未来を取り戻してください。
小説ではあっても、将軍の心を捉えたくらいに美味しい大根のお漬物を作る人々の心と大地の力は、きっとリアルなんですよね。
遠い土地に住むわたしには実感が伴わないので申し訳ないんですが、だからこそ羨ましくてしょうがないくらいです。
農地としても、漁場としても、藩を救うほどの価値がある。
いつか、わたしも福島の美味しいものを食べに行きたいと思ってるので、磐城の土がまた豊饒の誉れを謳われるように、心から願っています。

超高速の参勤交代。

逆に言えば、長-い行列で庶民に迷惑をかけることなく、お金をギリギリまで節約して、人数も最小限にすれば、藩の財政にそれほど負担がかからずに参勤交代ができたってことで、それでは幕府の危惧が危惧じゃなくなるんでしょうけど、大藩ならともかく財政が厳しいと分かってる小藩は参勤交代を二年か三年に一度にするわけにはいかなかったんでしょうかねえ。藩主のためじゃくて、農民たちの平穏な暮らしのために。
藩主が名君であれば、という前提ですけど……。

ともあれ、超高速でした。湯長谷藩のご一行様には、お疲れ様でした。

(2014.1.21 読了)
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