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『オーブランの少女』 深緑野分 著

2014/07/19(土) 11:23:12 深緑野分 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
オーブランの少女 (ミステリ・フロンティア)オーブランの少女 (ミステリ・フロンティア)
(2013/10/22)
深緑 野分

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 ツイッターでお見かけしてはいたんですが、確か書店員さんだったはず……ですよね?
 なんとまあ、ミステリーズ!新人賞の佳作に入選してデビューなさったとは!
 ということで、デビュー作です。
 東京創元社デビューってことは、これからがつがつとミステリを書いてくださるってことですよね♪
 (微妙にネタばれってますので、ここから先は自己判断でお願いします)


〈オーブランの少女〉
〈仮面〉
〈大雨とトマト〉
〈片想い〉
〈氷の皇国〉
の五編。
連作短編集なのかと思ったら、「少女」を共通のテーマにした別々の短編が収録されたものでした。

まあデビュー作ですしね、一話目が入賞作であり表題作の〈オーブランの少女〉。
当然、改稿もされているでしょうけど、それでも上手いなあ!と思いました。
ミステリとしての謎解きが、そのまま小説の色付けになっていて、それまでは靄の中のように不安と期待と好奇心の白っぽい灰色のような読み口だったんですよね、それが事件の全貌が少しずつ明らかにされるにつれてどんどん絶望の黒い闇に塗り込められていくんです、その鮮やかなグラデーション。
そして、庭園に咲き乱れる花々が、少女たちの希望の色で。
破局に向かっていくお話なので、凄惨は凄惨だしサスペンス要素もたっぷりで息苦しくなるんですけど、最後は冒頭のあの事件に繋がると分かってるので逃げられないことも知ってるんですけど。
ミステリの核は、日記にあるサナトリウムで少女たちに結わえられたリボン。ですね。
サスペンスとしては誰が敵で誰が味方か?その見極めなんですけど。サナトリウムの意味が最初あいまいにされてるので、意味付けがはっきりした時点で浮かび上がってくるこの恐怖と絶望とのコントラストが印象的です。

〈仮面〉
実行犯と真の黒幕が別々で、その黒幕でさえ操られていて…という構造と、「少女」との関係性に無理を感じはしないんですが、ただこの「少女」が怖くて可哀想で、「仮面」で自分を絶対的に守るようになるまでの屈折を知りたいような知りたくないような。
あんまり書くとネタばらしになってしまうので書けないんですけど、んー……被害者は殺されるほど悪人だったわけじゃないし、加害者と黒幕は被害者に直接の恨みつらみが積もってたわけじゃない、でも読み終えて全体像を振り返ったときに、この殺人は避けられなかったような気がする……んですよねえ……やりきれない気持ちというか、なんだろう、殺人事件の駒が揃いすぎてるというのか……。
ミステリなんでしょうけど、クライムサスペンスの方が強いかな。

〈大雨とトマト〉
男ってしょーがない生き物だねえ……、となんかため息つきたくなって(苦笑)、トマト食べたくなりました。少女の正体より常連客の正体の方が主眼かな。

〈片想い〉
女の子たちが可愛い可愛いwww
岩様こと、薫子さん、ちょっと斜に構えた田辺さん、好きです。うふwww
温室で育てられた洋花から、野に咲く素朴で逞しい花まで。
探偵役は岩様で、確かに案外鋭い目を持ってるんですが、実はそれに気がついたのは読み終えてしばらく経って、女中頭を玄関先で引き返させたその機転は「折り合いが悪いと聞いていたから」よりももっと深いところにあった記憶に基づいてるんじゃなかのかな、と深読みできる余地を感じたからですね。
環さんが時折見せる違和感。
岩様の野生のカンと申せましょう。
百合好きにはたまらんお話だと思います(笑)

〈氷の皇国〉
これ、中編くらいの分量なんですけど、なんとなく米澤せんせいの『折れた竜骨』を思わせるなあ、と。
魔法はないですよ、がっつり人間の範囲内ですけど。
平和な漁村の、網に引っかかった、古い古い首のない遺体。
そして、権力の目の届かない漁村との関係。
皇女ケーキリアに振り回されるキャラクタ達と読者。
皇族しか使えない螺旋階段と、使用人しか使わない螺旋階段がどんな風に関係してくるんだろう、と思いながら読んでて、エルダとアンニのところで「コレかー」と思ったら、本当の意味は硝子のランプの灯かー!
まあ、安楽椅子探偵もの、ですが、もしかしたらユヌースクの破滅を静かに確実に待っていた綿密な計画の一部であるかもしれず、でも救いの手を差し伸べてくれたただ一人の人なので……。でもいい人です、それは確か。
これは見事にロジカルミステリ。
披露されていく推理によって誰もが真犯人に気づいているのに、ロジカルに証明されてるのに、誰もその名を言えず、犯人として処刑されたのは別の人。
その真犯人に下された罰は、「少女」にはつらくて後悔してもしきれないほど重い十字架で、自業自得ともいえるし愚かだったとも。
自分が名乗り出ていればきっと、名誉は保たれたし本人も後悔しなかったのにね。
ていうかさあ、エルダのお母さんの死ってこれ、事故じゃないよね、分かっててやった殺人よね?邪魔者ですもん。
国を傾けるのはいつも女性。


たくさんの「少女」が登場します。
可憐な花やあどけない花から、毒花や食虫花まで、いろんな花を読んだような気がします。

今度はぜひ長編で、素敵なお母さんの出てくる本格ミステリとか、読ませていただけないかなあ☆

(2014.1.7 読了)
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