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『旅者の歌 始まりの地』 小路幸也 著

2014/07/19(土) 11:07:45 小路幸也 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
旅者の歌 始まりの地旅者の歌 始まりの地
(2013/12/12)
小路 幸也

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 SONY Readerで配信連載されたハイ・ファンタジーがお待ちかねの単行本になりました!連載当初のものよりも加筆されているそうです。
 三部作の第一作目。
 壮大な物語の幕が開きましたねえ……。
 でもやっぱり、小路さんの世界だなあ!としみじみ感じたのでしたー。




正直、三部作が完結してからまとめて感想書いた方がぜったいに良いと思うんですよね。
ていうか、この一作目を読み終えたそばから続きが読みたくてもう!まだ第二部の連載が始まったばかりだというのに。

でもこの一作目の『始まりの地』だけでもボリューミーで面白かったし、さらりとでも書いてしまわないと、頭と心が二作目とまだ影も形もない三作目を待ちわびて意識が切り替わらないような気がして。

この物語に出てくる創世神話に、宗教的な流れが感じられないのがまず良かったなと思います。
現実の世界を見てみると、宗教の違いから戦争になってるパターンがほとんどですよね。
日本は太古の神話からの八百万の神々(神道)と後に入ってきた仏教やら密教やらが混在して、そして現代ではクリスマスだのハロウィンだののお祭り騒ぎも一緒くたになって逆に宗教色がほとんどなくなってますけど、それでも信仰を持つ人たちの間では諍いが起こってることも知ってる。

で、「始まりの地」であるシィフルには宗教も権力も争いもなく、たぶん神話が良い方向に作用して歴史をつくってきた理想郷。ユートピア。
……ただ、このシィフルに課された宿命というか呪い、これが謎なんですよね。
その謎と、神話の謎を解くために旅立つリョシャと婚約者と兄姉。
また、シィフルを長く平穏にするために隠し続けた〈偽〉の大きさを受け止めて飲み込んできた代々の〈話者〉にも邪心はなかったことはわかるけど、シィフルの人々がそれを知らずに生きてきたことは正解だったのか。シィフルという土地と〈話者〉への信頼が揺らいだこと。たぶんニィマールは、好奇心の裏側にそういう思いを貼り付けてるんじゃないかな、と思いました。

〈話者〉の後継者候補としての才能をもったニィマール(リョシャ)とジェイラ。
豪胆で聡明な双子の兄と姉に、〈話者〉への僻みとか自己憐憫とかそういう考え方がないって、どれだけ心に影がないんだろう、と思うでしょう。
物語が進むにつれて、そして終盤でのある出会いに、わたし達にも馴染みのある感情の発露のようなものが描写されているのが本当にうまいなあと。そういう展開を匂わせることで、読者は続きが読みたくなる。その感情の揺れはファンタジーじゃないから、感情移入が簡単にできてしまう。

小路さんの小説に、根っからの悪人(邪悪な存在)はほぼ出てきませんが(だからこそ『蜂蜜秘密』のインパクトがすごかった)、ごくごく普通の人たちの心に芽生える「魔が差した」過ちとかそういうものはあります。
そんな奇禍をポジティブに再生に向かってシフトする、それが小路作品の楽しさです。
ハイ・ファンタジーなら、主人公と仲間たちの前に立ちはだかる敵キャラにそういう暗い感情を持たせてしまう方がRPGっぽくてありがち。
それを、主人公たちの心の揺れや、仲間たちに暗示される微かなざわめき感の象徴に配置したスィールとルーラの存在が利いて、読み終えてもずっとざわざわドキドキしてる。この壮大な物語は、読者をどこに連れて行くんでしょう。どこに着地するのかな。

同じファンタジーであっても、ゲームと小説の違いは、そういう「心の揺れ」を実感するかしないか、じゃないかなあ。ゲームしないから断言できないけど。

リョシャたちを迎え教え送り出す、シィフルの外の世界の人たち。
身体的特徴の違いはもちろんですが、やっぱり顕著なのが、人柄や考え方のバラエティの多さ。
思考や心の動きまでが似ているシィフルの人々とは違い、外の世界を知る人たちはシィフルの人にはない大らかさと人間くささがありますね。
猫(ジェイラ)にめろめろのケイジ翁が可愛いし、シャライさんの絶望の深さと男気にグッときたし。
登場人物がみんな、魅力的です。
リョシャとジェイラとトゥールとティアラが目的を遂げて、出会ったすべての人たちと再会できるといいな。

でも。
なんとなーく第二作目では、波乱の展開というか争いに巻き込まれたり理不尽な目に遭ったりと苦労しそうな気がします……。

そうそう、この本、この装丁は変わってますよね。
物語そのものの語り手は、わたし達の世界の側の人、という設定で、三人称なんですが。
巻頭のカラーページ、差し挟まれるイラスト、どことなくラノベっぽいです。
このままアニメにできそうw

早く続きが読みたいです小路さん!


(2013.12.17 読了)
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