こんな本読みました。

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『要介護探偵の事件簿』 中山七里 著

2014/07/15(火) 11:07:23 中山七里 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
要介護探偵の事件簿要介護探偵の事件簿
(2011/10/07)
中山 七里

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 中山さんの作品を全部読みたい!と言いつつもなかなか読めず。音楽系ミステリってあれシリーズでしたっけ?既にたくさん既刊があるので、どこから手をつけたらいいのやら状態。
 で、今回はこの作品を読みました。めっちゃ面白かった!
 このミス大賞受賞者のミステリって、八割以上の作品を読んでるのは海堂先生のだけ。ですが、中山さんのはなるべく全部読みたい☆

タイトルそのものずばり、要介護認定を受けた七十歳を過ぎたお爺ちゃんが探偵です。
でもってこのお爺ちゃんが破天荒すぎて拍手拍手☆☆☆
言うこともやることも滅茶苦茶ですが、なんとも気持ちいい!
玄太郎さんの喝は、おしっこちびりそうなんですが(笑)、粘着質なところもエゴもなくかといって相手のことを思ってなんて優しいものでもなく、ただ一本筋が通っているだけで。
権力も上から目線も嫌いで、ただ一代で政財界に多大な影響を与えるまでにのし上がった人独特の信念と哲学。
こんな頑固爺だったらまあ、みんな大事にするでしょうねえ。
間違っても好々爺じゃないけど(笑)

シャーロック・ホームズになぞらえて、〈冒険〉〈生還〉(〈快走〉はさすがにホームズ譚には無かったんじゃないかな……シャーロッキアンじゃないので断言できない)〈四つの署名〉〈最後の挨拶〉というタイトルの並んだ、連作短編集です。

ガチガチのロジカルでもないし、ばりばりトリッキーかというとそこまでじゃない。
ただ、ホームズと同じく、仕事と趣味を活かした設定と、人間観察が卓越している玄太郎さんなので、名探偵が自然に務まります。

トリックで見ればわたしが一番好きなのは〈冒険〉と〈最後の挨拶〉かな。どちらも不可能犯罪もので、犯人の属性をかっちり活かしたもの。
そして玄太郎さんがそれに気づくのに自然な流れ。伏線がうまいですよね。

〈快走〉は、これ小学生のお子さんがいる人が読んだらどう思うんだろう。ちょっと聞いてみたい。
玄太郎さんが体を張ってお金を使って仕掛けたこの運動会の一幕は、今の日本を覆うもやもやを吹き飛ばしてくれる気がします。
大人は、何を惜しんでるんでしょう。子供の前で恥をかきたくない、という人もいるだろうし、そんな人がこのお話を読んで何を受け止めるか。
ミステリを越えた、大切なものが編み込まれてます。

それは全編にわたってそうだし、〈四つの署名〉も甘えすぎの若者に喝を入れた背筋ビンビンものなんですがね。

わたしが一番いいなーと思ったのは、〈生還〉。
玄太郎さんが倒れて、リハビリを続けて、車椅子の生活ではあるものの食べたり話したりできるまでに回復していく過程と、事件(とも思われていなかった)が見事に一点に集約されていて、引っくり返し方の鮮やかさがエレガントでした。

収録順に書けなくて申し訳ないです。

〈最後の挨拶〉のラストシーン。
それまでかくしゃくとしすぎだった玄太郎さんが、これまでの事件を受けて揺らいでしまう小さな背中を見せて、読者はやるせなくなってしまいます。
ボケた爺ちゃんにならないでほしい。
物語はここで終わっても、これからも怒声が建物を揺るがすほどの喝を入れて、仕事や趣味の模型作りに没頭して、利害が絡んだら猪突猛進で事件を解決しまくって、お元気でいてほしい。

お年寄りにもいろいろな人がいるし、若い人も千差万別。
ただひとつ、変わらないし避けられないのは、誰もが老いていく、ということ。
老いていくというのは、衰えていくということでもあり。
体が衰えていくのはしょうがないとしても、若いうちにできることをして心を強くしておくことで、心が衰えていくのを予防することはできる。
家族や介護士さんに疎まれる嫌な老人にならないように、もっと自分を磨かないといけないね。
難儀な老人でも、光る何かを持っていればきっと、若い人も話し相手になってくれるでしょう。

車椅子生活を楽しみ、足腰の後遺症を「近眼の人の眼鏡」に例えられるくらいの気概を、みんなが持てたら超高齢化社会といわれる日本もきっと、捨てたもんじゃなくなるのかもしれない、と。
そんなことをつらつらと思った、そしてミステリとしても愉しませてもらった一冊でした。

(2013.12.16 読了)
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