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『警官の騎士道』ルーパート・ペニー 著

2014/03/12(水) 01:45:58 ルーパート・ペニー THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
警官の騎士道 (論創海外ミステリ)警官の騎士道 (論創海外ミステリ)
(2013/10)
ルーパート ペニー

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 やっと読めたあぁぁぁ(涙目)。楽しかったあ!
 ペニーさんのミステリは、これで邦訳された三作とも読んだはずですが、あれーなんかビール警部さん印象違うなあ、と思ったんですよね。そしたらこれ、前二作よりも前に発表された作品だったんですか。なるほどー。
 古風というと聞こえはいいけどまあ早い話が地味な展開だと思います。でも、ミステリ好きだったら愉しめるんじゃないかな。





邦訳されたのは『甘い毒』、『警官の証言』、でこの『警官の騎士道』という順番なんですが。
『甘い毒』を読んだのはかなり前で、『証言』も…邦訳が出たの何年前でしたっけ。その時すぐに買って読んだ記憶があるから、今回のこの『騎士道』までにはなかなか深い時間の溝がありまして、細かいところはうろ覚え以下……。
けどでも面白かったわたし好きだこの人のミステリ!と喜んだのは覚えてる!じゃなかったらこうして追っかけないよ。
前二作品が、おーこれはお見事!と謎解きシーンで膝を打ったのに対して。
今回は、犯人が明かされるシーンよりも、それまでの容疑者達への聞き込みやら証拠・証言を掻き集めてる分厚い真ん中部分が一番面白かった!

ビール警部さんのシリーズデビュー作品ではないにしても初期の作品なので、動き方や考え方がまだ固まっていないというのか割と出たとこ勝負っぽいというのか、あけっぴろげな感じもしますね。トニーさんや新聞記者さんを即席の捜査会議に参加させたり調べ物をするのに使いまくったり、警察が民間人や新聞記者と捜査過程の情報を共有しているって、ファンタジーですよね。うん。
それが逆に、冗長になりがちな聞き込みや証拠・証言集めの段階をテンポよく楽しく読ませてくれるんだろうと思います。

今にして思えば、『甘い毒』や『警官の証言』でのかなりクールでスマートなビール警部の捜査・推理と、犯人の正体を暴くシーンのブラボーさはこういう風に作者もビールさんも進化してきたからだったのね、と。読み返したくなってきたよ、近いうちに再読しよう。


まわり中が、条件的にも動機的にも犯人はこの人だろうと言う中を、ビール警部さんただ一人が「直感・第一印象」でこの人とは思えないから犯人は別に居るはず、という信念で捜査すること。
それに対するビールさん自身の自分への揺らぎとか仮定のあぶなっかしさとか。
でもそれも、真犯人が分かってみれば、ビールさんがそんな風に思ってしまうのも無理ないわ、とため息が出るような考え抜かれた強固なお膳立てや、事件発生後の供述や証言のブレなさに繋がってて、犯人がビール警部と喋ってるシーンを全部読み返したくてねえ。
いくつかの伏線(真犯人にとってのミス)はすぐに分かったけど。
決め手のひとつになった凶器のアレ、えええええ!そんな描写あったっけ?!と思ったけど、……供述書の中にあったよありましたよまさかココのコレが伏線なんて気がつかなかったよう★

動機が、普通の人には納得しかねるくらいには弱いことを作者のペニーさんは自覚してたんでしょうね。
だから何度も出てきたのよね、心理学とか精神分析とか。
で、その狂気の動機を、トリックとアリバイ崩しの両面から支えて、なおかつ埋め込んだ伏線はぜんぶ回収してね。
タイトルの“騎士道”っていうのも、ビール警部の主観100%で、誰もが犯人じゃないかと疑ってた人に対してだけじゃなくて、真犯人への気持ちも含んでるのがラストのあのくだり。
こんな風に思うビールさん、たぶん初めて読んだ。

ていうか、前にも書いたような気がするけど、珍しくないですか?三人称で書かれていて、刑事さんが名探偵ポジションなので、捜査によって掴んだ事実をすべて読者に明かすだけじゃなくて、名探偵ビールさんの思考や心の声まで読ませてくれる親切設計のフーダニット。たいてい、名探偵の考えてることは読者にはさいごまで秘密なんですから。
犯人が特定できて、ある程度以上の証拠や証言で覆らないことが確信できるまで、語り手のワトソン君にも読者にも一切話してくれないじゃないですか普通。
376ページの「幕間」、これがまあ読者への挑戦で、その直前にビールさんが閃いて犯人特定の決め手になったあれやこれはさすがに伏せてあるけど、それまでに出てきた手がかりでも注意深く読んでる読者ならわかるはず、と。
ええ注意深くないわたしは、なんとなーくの印象でしか名前を挙げられませんでしたよちっともエレガントじゃなかったですよ……。

見取り図も出てくるけど、容疑者達のタイムテーブルがゾクゾクしましたわw
王道のフーダニットってこうよねー!
でもこれは捜査段階の初期で作られたものなので、その後に判明するあれこれでこのタイムテーブルのどこが穴なのかとか、そもそも信頼できるのかとか。
読者にとっては、この宝物のようなタイムテーブルの一覧表を、どこで手放すか。そのタイミングですよね、犯人が分かるとしたら。

なんにしても、こうして地味というべきかオーソドックスというべきか、大仰なサプライズもどんでん返しもなく、ただただ犯人当てを愉しむミステリは、わたしが一番好きなタイプ。
ビール警部のシリーズで未訳がまだあるので、どんどん出してくださいお願いします☆
満足満足www


(2013.11.24 読了)
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