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『松谷警部と目黒の雨』 平石貴樹 著(創元推理文庫)

2014/03/11(火) 02:33:06 平石貴樹 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
松谷警部と目黒の雨 (創元推理文庫)松谷警部と目黒の雨 (創元推理文庫)
(2013/09/28)
平石 貴樹

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 超お久しぶりの、平石先生の新作!……いつ以来だか、それすら空では思い出せない……。
 とにかく、徹底的にロジカルに推理してくれる、好きな人にはたまらないミステリを読ませてくれるのでもう楽しみにしてたんです。……読むのはもちろん購入も一か月経過してからだったという自分が謎。
 で、感想。面白かったです。が。
 普通の感想とは違うと思いますこれから書くんですが。どっちかというと、………






ネタばらししないでこの新作の感想を書くのは、できるようなできないような……。
感想よりも、ええと、なんてことしてくれたんでしょうか平石先生!積読タワーが傾くほど未読の本が溜まってるというのに、平石先生の既刊をぜんぶ再読したくなって身悶えしてるんですけどっ。

わたしがこれまで読んだ平石作品は、確か、(と、FC2の方のブログを開く。作者別カテゴリって便利よねこういうとき)

あれ。二作しか感想書いてないな……
『スノーバウンド@札幌連続殺人』と『笑ってジクゾー、殺してパズル』。
今、本棚から引っ張り出してきた中には、『誰もがポオを愛していた』もあるし、確か図書館で借りて『スラム・ダンク・マーダー その後』と『サロメの夢は血の夢』も読んだ記憶があるよ。サロメの方はなんとなく書かなかった理由をいま思い出したけど……。

で!今回の新作ですよ。
この表紙カバーのイラストの向かって左側の女性。白石イアイ巡査、というんですけどね。
右側の松谷警部は、過去に、この白石巡査とよく似た女性と一緒に仕事をしたことがある、と。推理の仕方、その様子(表情)や口調なんかが、その過去の某女史を彷彿とさせるものがあるそうで。

読み終わってまず思うこと。すること。

たぶん、この作品を読まれたかたならみんな同じはず。

「ニッキと千鶴先生の、どっち?」

で、既刊を引っ張り出してパラパラパラ……。

こうして既刊をパラパラしたら、はじめから読みたくなって読みふけってしまうこと確実です。一昔以上前の刊行なので、字がびっしりなんですけどね、それがまたイイんですよーwww(変人)
最近、海外ミステリの新訳版が相次いで出てますけど、わたしは、行数びっしり詰まってて字そのものも小さくて思わず「う…っ」って声が出そうな、旧版の方が好きです。

結果、わたしは、登場回数の多い彼女の方だと思うんですけど……どうでしょう?

平石先生のミステリって男性より女性キャラの方がよりフィクション的というか……だからまあ、ニッキにしろ千鶴先生にしろ今回の白石女史も、女性が名探偵役なんでしょうが。男性キャラはみんななんとなく、自己中というか生々しいんですよね。
松谷警部がいなくて、すぐ下の山口警部補さんとサシで飲んでるときの白石女史って、砕けてるんですけどだからこそより中性的というかユニセックスが際立ってて「もしかして白石イアイって叙述トリックか何かで男の人?」って疑ったりしましたよ……いえ、わたしが愛読してるシリーズに、ありすがわありすというたいへん美少女っぽいお名前の男性キャラがいらっしゃるので(苦笑)

松谷警部が、白石女史に推理を任せて逆風から守ってあげたのはやっぱり、過去の経験からでしょう。
つながってるのよね、世界というか根っこが。
なのにタイトルは「松谷警部と~」、警察官ですが名探偵役は明らかに白石女史で、でも視点人物は警部でワトソン役(というと松谷警部に怒られるかな?)がタイトルになることで主役は警部になるんですよね。語り手がアリスでも主人公は火村先生や江神さんである、というパターンとはちょっと読者の視線をずらしてある感じ。

さて。
新作ですが。
確かに動機は後回しです。後回しすぎます(苦笑)
つまり、犯行当時のアリバイとか留守電・ビデオや手紙などの証拠、そういう情報だけで、犯人にたどり着けますよ、ということ。
見事に推理ゲームです。
だからこそでしょうが、真犯人が犯行時の詳細を語り出してからの、完全に狂気の理屈や被害者の心情がやりきれなさすぎ。平石ミステリってそういやこういう常軌を逸したキツイ動機なことが多かったわそういえば……。

現在の、小西のぞみ殺人事件を調べていくうちに、どんどん過去にさかのぼるので、現在の事件は奥へ奥へと追いやられて昔の連続不審死ばかりが表に出てきて、どこに事件の核心があるのか掴みどころが難しいんです。
つながってるのは事実で、その過去の死者のあれこれが小西のぞみちゃんが殺される羽目になってしまったことは分かるんですけど。
で、関係者(容疑者)全員が、ほぼ同じ分量で怪しい。誰かが突出して怪しくなったとしても、途中でその人が秘密を暴露しにやってくるのでまた振り出しに戻るんですよね。
こうして読者を引っ張り引っ張り。
白石女史に全面的に協力して推理に必要な情報をすべて与えて、松谷警部は焦らずに句をひねりつつ(笑)
謎解きというか推理の結果、犯人を絞り込んでいくその過程は、やっぱり気持ちいいなあ!
ここに来るまでに問題点を潰してあるから、導き出された真相にはちゃんと強度がありました。
たぶん、手がかりは全部拾ってある、と思う。ウッカリ者なのでわたしの読み落としがあるかもしれんけど。

粋だなあ、と思ったのは、タイトルの後半、『~目黒の雨』。
忘れてたよわたし★
決め手はアレか!雨とか水とか茶色いアレとか。
過去の事件を散々追いかけてきた展開なので、手がかりがいくつもあったことを忘れてしまってたんですね。お恥ずかしい。
白石女史が犯人を特定した(動機にもつながってた)あの@@@描写(ネダばらししないで表現しようとしたら、こういうのしか思いつかなかったんですすみません……)、一読後すぐに探しましたとも。綺麗さっぱり忘れてましたとも。しくしく。

いくつか、後出しっぽいかなあ、と思うところはありますけどそれは真犯人も知らなかったことだし白石女史はソレを見る前にもう真犯人をほぼ特定してたからまぁ補強する程度の意味合いだったので、動機をまったく考慮しないで推理できるよ、という白石女史の全体的なロジックにアンフェアな感じはしないです。
面白かった!
わたし個人が残念だったのは、東京の地理をぜんぜん知らないこと。東京に詳しい人ならもっとイメージしやすいはず。

今年の年末の本ミス、ランクインはすると思いますがどうでしょうか。


ところで、蛇足というか余計なお世話ですが。
読んでて気になったひとつが、この作品の時代における携帯電話の様子。
小西のぞみ殺人事件は1998年。
過去のあれやこれやの発端はその5年前、1993年。
バブルはとうに終わってるからあの当時のトレンディドラマに出てくる百科辞典みたいなデカイのじゃないにしても、どんな携帯市場だったんだか思い出せなくて、ウィキ様のお力を借りました。
日本における携帯電話
あー…はいはい、今で言うガラパゴス化の走り頃ね。写メ機能が実装される直前。
携帯にカメラ機能が付くか付かないかで、容疑者のアリバイ工作が複雑化する可能性もあるし、もっとややこしくなったでしょうね。すごい際々な時代を選んできたなあ、平石先生。

東大を退官されて、これからはこういうミステリをもっと書いてくださるんでしょうか。だったら嬉しいなあ!
期待してます☆


(2013.10.21 読了)


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