こんな本読みました。

読んで感じて書き出して、そして忘れていく。備忘録ブログ。

スポンサー広告 > 『小路幸也 少年少女小説集』 小路幸也
小路幸也 > 『小路幸也 少年少女小説集』 小路幸也

スポンサーサイト

--/--/--(--) --:--:-- スポンサー広告 EDIT
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Comment (-)

『小路幸也 少年少女小説集』 小路幸也

2014/03/11(火) 02:21:00 小路幸也 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
小路幸也 少年少女小説集 (ちくま文庫)小路幸也 少年少女小説集 (ちくま文庫)
(2013/10/09)
小路 幸也

商品詳細を見る



 小路さんといえば、なぜか長編&連作短編集(つまりまあ一冊の長編みたいな感じ)の作品がほとんど。最初は短編のつもりで書いてもシリーズ化して連作になってしまうパターンだそうです。
 短編一本きり、という作品が今までまとまったことがなかったので、この小説集はマジで貴重!
 かなり初期のものから、わたしが追いついて文芸誌買って読んだものまで。
 小路さんの世界にどっぷりはまりましたー!





なんだか、仁木悦子さんの小説集みたいなタイトルですよねw
いや、ミステリじゃないから、大井三重子さん名義の方か。

ええと、何度も書いてますが、わたしが小路さんの作品で新刊発売にリアルタイムで追いついたのは、『シー・ラブズ・ユー 東京BW』です。
あ、ここで書くタイトルと刊行年は、すべて単行本刊行時のものです。
(ていうか、わたしが小路作品を読み始めた当時は、小路作品の文庫というものがまだ一冊も出てなかった……)
初めて読んだ小路作品は『HEARTBEAT』で、残念ながら初版ではなくて二刷でした。
これに感激して。(ミステリ読みなので、初めてが「小路作品の中でも本格的なミステリ」であるこの作品だったのが良かったんでしょう)
その時点で入手できる既刊を怒涛の勢いで大人買い。
『東京BW』と『シー・ラブズ・ユー』の間に出てた『東京公園』と『キサトア』をまとめて本屋さんで取り寄せしたことを覚えてて、ここがだいたい2006年。
(『HEARTBEAT』が2005年、『東京BW』、『キサトア』(旧・理論社版)、『東京公園』が2006年、『シー・ラブズ・ユー』が2007年の春)

で、この小説集に掲載されてる一番古い作品は、初出一覧によると『リバティ』の2005年。
『HEARTBEAT』や『ホームタウン』(親本は入手困難になってるっぽい…)と同じ年です。
ところで、『Q.O.L.』は2004年。
この小説集を読んだ人ならわかりますが、収録されてる『トーストや』よりも二年前に出てます。
龍哉くんやくるみちゃんは、東京BWでも登場しますよね。
小路さんが、龍哉くんとくるみちゃんというキャラクタにどれだけ愛着があるか、また少しうかがえますね。

さてさて。
小路さんのサイトに日参して(まだツイッターなかったし)(その後、新作情報はツイッターに以降)、短編がこれこれに掲載されますよーという情報を見てそのアンソロジーや文芸誌をゲットするようになったので、既読のものもありました。
『Fishing with My Brother』、『コレッタ』シリーズ、『レンズマンの子供』、『コヨーテ、海へ』かな。
『あなたの生まれた季節』はチェックした記憶があるのに、読み落としてた(涙)

小説すばるに掲載された最初の四編はまるっきり未読未読。
最初の『リバティ』、これは巻末の小路さんによる自作解説にもあるように、確かに長編向きな感じですよね(苦笑)
2005年、『ホームタウン』や『HEARTBEAT』を思えば、このお話もきっと長編だと読み応えじゅうぶんだったはず。
でも、わたしはこれはこれで、好きです。
えっここで終わり?っていう打ち切り方も愛嬌というか★

でも、続く『ゆめのなか』『林檎ジャム』と、後々の小路さんらしさがもうじゅうぶんに感じられます。
『林檎ジャム』を読んで、『COWHOUSE』を思い浮かべた人、お友達ですねー!
解説にもあるように、『トーストや』は、『Q.O.L.』とリンクしていて、後の『DOWN TOWN』ともつながってて。
小路作品を(単行本としてまとまってるものは)すべて読んでるので、ああなるほどー、と納得です。

コレッタシリーズがもっと続くものだと思ってたので、二作で終わってしまったというのは残念(涙)
どこか違う媒体で続き(春と秋)も書いていただけないものでしょうか☆

小路さんの作品は、ご飯というか料理やお菓子がとにかく美味しそうで、猫が可愛くて、子供たちが健気すぎるくらいで、大人は優しい。
読んでて嫌な気分になる要素がない、のに。
子供たちの影になってる部分には、大人の事情とか、もやもやする薄闇が確かにあるんです。子供たちは、涙こそ見せてないけれど、傷ついてるんです。
負けるな子供たち、頑張れ子供たち、という前に、大人のひとりとしてもっともっと頑張らないと、やるべきことをしないと、と背筋が伸びる。
小路さんの作品を広く広くお勧めするのは、わたし達大人に立ち止まる時間をくれるから。

小路さんが描く子供たちは、傷つき、涙と言葉を飲み込みながら、それでも前を向いて生きていこうとする、一日も早く自立しようとする。
そんなに急いで大人にならなくていいよ、と言いたいのに、子供たちは成長スピードを緩めない。
大人がぼんやりしていたら、あっという間に追い越されるよ、追い抜かれる瞬間にせめて何か手渡すものはないのかい?という、そんなイメージです。
果たして、手渡す何かがあればいいんですけどね……何も無かったら悲しいわー(涙)
子供たちを育て見守る大人が、人間としての品格が高くて上質だったら、ゆとり教育だろうがなんだろうが未来は安心です。
大人が大人になりきれていない、大人としての余裕がない、子供に心があることを忘れがち、そんな社会が今の日本なんですが…。
今ならまだ、修正できるかもしれない。
自分達が子供と向き合うことに、間に合うかもしれない。
そう、思わせてくれる、そういうふうに生きていこうと思える、小路さんの作品は、そんな喝とエールが響き渡っているんです。

寓話やメルヘンとまではいかない、むしろ現実的すぎるくらいに現実感があるのに、それでも大人のためのファンタジー。
ラストの掌編『ライオンは草原の夢を見る』のように。
ていうか、これ、素晴らしいですよ!
サバンナの風と光を感じ、動物園の檻に囲われた姿を思い出し、子供の純粋な瞳と夢を、賢者の夢の中を、わたし達に夢を見る勇気をくれる。

心が凪いでいく。
きっと明日は、いいことがある。
そんなふうに思える、小路さんの作品。
長編でも短編でも、わたしには変わりない。
大好きです。ありがとうございます。


(2013.10.15 読了)
スポンサーサイト
Comment (-)

ページの最初に戻る

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。