こんな本読みました。

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『ルリユール』 村山早紀 著

2014/03/11(火) 02:12:11 村山早紀 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
ルリユール (一般書)ルリユール (ポプラ社)
(2013/10/11)
村山 早紀

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 わたし、この装丁を見るたびに、ヴォ○ニッチ写本のなんたらかんたらを思い出すんですよねえ。解読されていない謎の書。錬金術なのか魔法の書なのか、それともいつか全容が解明される未来が待つ書なのか。そんなどきどきするヴォイ■ッチ写本の謎。あれをね、なんとなく。
 物語というものは、どんなふうに心に染み渡るのか、どんなふうに読み解かれていくのか、それはまるで、暗号解読と同じくらいのドキドキと責任感や使命感を帯びたものであるな、と、そんなことをつらつら思いながら、気持ちよく読みました。


よく、アニメとかファンタジー映画で、テーブルの上に開いて置かれてる本が、風に煽られてページがパラパラパラ……って捲れていくシーンがあるじゃないですか。で、本から金色の光がぶわーっと飛び出してくるの。
あの、金色の光って、放射状というか扇状になってますよね。
ていうか、まばゆい光でページが立ったままなんですけど(笑)
その光の中に、藁をも掴む思いでクラウディアさんの工房に本を持ち込んだ人の、またその本にまつわるたくさんの人たちの、いろんな人生やいろんな世界が塗り込められてる。
クラウディアさんが、白い猫の姿の魔神が、その光の中の人々の物語を読んでいるような映画を観てるみたいな、まるで夢を食べるバクのような。
長い長いときを刻む存在にとって、儚い命の生き物が見た有限の世界の物語は、たとえばわたし達が本を読むような、そんな娯楽でもあるんだと思います。
でも、クラウディアさんは、ちょっと疲れていたんでしょうね。長い時に。
そこでめぐり合った瑠璃ちゃんは、クラウディアさんにとって過去の自分でもあり、自分も体験できるタイプの物語の主人公だと分かったんでしょうか。
長い時間の果ての傍観者ではなくて、本を復元するという仕事だけのかかわり方でもなくて、自分も参加できることにどれくらいワクワクしたのかな、と思うとクラウディアさんこそ良かったね、と思う。

淋しいひと、つらい思いのなかを生きるひとには、魔法とは相性抜群なんですね。
だからおばあちゃんはきっと、魔法も言い伝えや伝承も、すべてを取り込んで淋しくないように生きることにしたんじゃないかな。

製本技術、傷んだ本を直す技術はもちろん、
物語を彩る花々、風の色、そよぐ音楽、美味しそうな匂い、そんな、五感を刺激する文章も読みどころのひとつなんでしょうが、

「本」という、その価値は、物語の出来だけじゃなく、著者の願いだけでもなく、読み手の人生が乗っかってこそ生まれるわけで。
本を買うこと、本を読むこと、本を味わうこと、そういう行為のひとつひとつが、本の存在を際立たせていくんですよね。

どんな感想を持っても、それでその本の価値は損なわれない。むしろプリズムのように多種多様な色を見せる。

どんな風に読まれたとしても、著者の願いとは違う読み方をされたとしても、それがその本の運命で、本がわたし達読者に向けて伸ばす糸。
読者はその糸にぐるぐる巻きに絡めとられて(柔らかく巻かれたり、ぎゅうぎゅうにされたりするのは個人差があります)、今度はぐるぐる巻き状態の読者がその本を初めて手に取る友達に自分の色の糸を少し混ぜて繋いでいく。

そんな、繋がる、紡いでいく関係。
人間同士でも、そこに言葉を話す猫がいたり、魔法の国の王様がいたりしてもまあ、繋がるという意味では一緒。
きっと、真っ白の糸よりも、七色の虹色に輝く糸の方が、白い猫の魔神は好きなんですよたぶん。だから瑠璃ちゃんの前に姿をあらわしたんですよ。

わたし、一番ぐっときたのは、第一章の時林さんの伯父さんの手紙でした。
どれだけ瞳の澄んだひとだったんでしょう。
で、本の声を聴く瑠璃ちゃんがね、可愛い可愛いw

この物語には、淋しい気持ちの人、後悔に苛まれる人がほろほろと歩いています。
そして、そんな人間のあるく街を、鳥や蝶や蛾や、犬や猫が飛んでいます。
うつむかないで、前を見よう上を見上げてみて。そんなメッセージの象徴なのかな。


「ひとは生きている本。生きている本がひとなのです」

本を好きな人にとっては心強い言葉ですよね。
また、本を読まない人、電子書籍の方がいいという人にとっても、紙の本の神様に肯定されていると感じるポジティブな意味を持つ、いい言葉。

もっともっと、たくさんの本を読んで生きたいです。


(2013.10.12 読了)
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