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『水族館の殺人』 青崎有吾 著

2014/03/11(火) 01:50:53 青崎有吾 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
水族館の殺人水族館の殺人
(2013/08/10)
青崎 有吾

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『水族館の殺人』 青崎有吾 著(東京創元社)
 デビュー作『体育館の殺人』に続く、柚乃ちゃんと裏染君のシリーズ第二弾。
 いやー、今回もがっつりみっちり、超ロジカルな本格ミステリでした!堪能した!
 平成のエラリー・クイーン。ブラボーです。


前作の『体育館の殺人』のときに書いたかな、著者の青崎さんて、いくつだと思います?
1991年生まれなんですって。せんきゅうひゃくきゅうじゅういちねん。ついこないだやんか!(苦笑)
ええと、22歳?
現役大学生ですってよ。
なんてこったい、才能ある若い人ってすばらしいな!
何の才能もないわたしが22歳のときって何して…………あ。………………ああいやなんでもないですすいません。

本格ミステリを構築するための緻密な才能と、現代っ子らしいユーモアのバランスがいいです。
すいすい読める。
たとえ、作中の事件がとんでもない悪夢のような情景だったとしてもね……。

まず、登場人物の紹介だけで、既に人を食ってるというか。
羽取さんかわいそうwww

その前に、水族館の見取り図があるんですけど、……『体育館』のときと同じく、この見取り図はたぶん半分は添え物。
推理するためというより、情景をイメージしやすくなる方に効いてくる。
本当に必要なのは、装丁のイラスト(笑)これも『体育館』と同じ。

殺人現場や状況からして大仰なトリックが?
刑事さんの聴取メモによるとアリバイ崩し?
もちろんそれらもありますが。
現場に残されたブツをこれでもかといじくり倒すと導かれる答え。
ちなみに前回は傘でした。

アリバイによって、容疑者が煙のように消えていなくなってしまった状況から一転、トリックが見破られたとたんに容疑者が復活、絞り込むのが大変、という展開。
絞り込むために必要なのは、アリバイ以外の伏線。

どれが伏線なのか、謎解きミステリが大好きな読者はもうそれこそ目を輝かせて注意しながら読んでます。
その伏線をひとつひとつ、全部回収して。
考えられる可能性はできる限り言及した上で潰していく。
愉悦。
このパズル。
他のジャンルのどの小説を読んでも味わえない、快感。
トリックの説明はもとより、それらを積み上げてきわめてロジカルに語られる謎解き。
楽しいったらありゃしないwww

で。
ミステリを読む人でも、中にはいるんですよ。
聞き込みとか、証拠集めとか、アリバイ崩していく過程の部分が、退屈っていう人。
もったいないよねえ。
その中から、どれだけ自分は手がかりを拾えるか。それが楽しいのに。
その点で言うと、この作品は、退屈かもしれないです。でもその分を、柚乃ちゃん香織ちゃん裏染君、そして今回初登場の裏染君の妹さん、もちろん仙堂さんと柚乃ちゃんのお兄さんの刑事さんコンビの振り回されっぷりに至るまで、ぽんぽんとコントのようにテンポのいい掛け合い漫才でお楽しみくださいって感じのサービス精神。
謎解きをメインにした本格ミステリが、新しいステージに入ったんじゃないのかな、と思うんですよね。
有栖川先生や法月先生のようにクイーンの継承者でありながら、EQ自身や新本格第一世代のこの先生がたよりももっと、楽観的で感情的でマイペース。
わたしは好きです、こういう軽やかさと冷たさの入り混じった、新しいタイプのフーダニット。

敢えてスレたことを言うなら、真犯人を絞り込んだ最後の手がかりと、ラストの真相が二重底になってること、これは有栖川先生の作家アリスシリーズ某作品と某作品によく似てます。
それでいて、全体的なノリと展開は、学生アリスシリーズ。
いや、EMCは大学生で、柚乃ちゃんたちは高校生ですが。
絶対的な名探偵がいて、サポートする友達がいて、関係者全員を集めてさてと言い、なところがね。
ガス灯電報時代のシャーロック・ホームズが21世紀版「シャーロック」としてスマホだのSNSだのを駆使した現代版になったように、携帯やパソコンすら知らない学生アリスたちが21世紀に居たとしたらこんな感じ?
なのでわたしは、青崎さんは、平成のエラリー・クイーンであり、有栖川有栖先生の後継者候補でもあると思ってます。
倉知先生が以前、2006本格ミステリベスト10のアンケートで「“有栖川さんがいれば(本格の未来は)大丈夫”と云ったのは西澤保彦さんだったろうか。まったく同感。本当に大丈夫だと思う」と書かれていたことを、魂に染み込ませ暗記できるほどの強さで記憶したわたしですが、青崎有吾さんという新人さんの存在で、「有栖川先生だけではなく青崎有吾さんという心強い本格ミステリプロパーさんが誕生したことでますます本格の未来は大丈夫!」と上書き更新しました。
繰り返しますが、青崎さんてばまだ22歳!
これからのご活躍が本当に期待大です。
(お願いですからM尾さんのコースを辿りませんように……。万人受けする「物語」よりもコアなミステリマニアが新作を待ち侘びる「パズラー」プロパーのままでいてください☆)(←本屋大賞及び大ベストセラーを諦めろと言うも同然)

早くも次回作が楽しみで楽しみで!
裏染君についてのバックボーンというか謎に触れた柚乃ちゃん。
語らない裏染君と、口を閉ざす香織ちゃん。
事件の謎解きとともに、どきどきする展開になっていくようですよーwww


(2013.9.30 読了)

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