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『百年祭の殺人』 マックス・アフォード 著

2014/01/04(土) 20:54:26 海外ミステリ THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
百年祭の殺人 (論創海外ミステリ)百年祭の殺人 (論創海外ミステリ)
(2013/05)
マックス アフォード

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 あまり多作ではないアフォードさん、わたしが読んだのも『魔法人形』とアンソロジーに収録されたものだけですが、数学者・ジェフリー・ブラックバーンが名探偵のこのシリーズは、不可能犯罪ものでフーダニットでなかなかミステリ好きにはツボな作家さんだと思います。未訳のものがあるならぜひ続けて邦訳出してください。
 EQ好きなら特に楽しめる一冊だと思いますよー。




これはエラリー・クイーンへのオマージュか!

と思うほど、クイーンっぽいです。解説で大山さんが書かれているように、国名シリーズを読んだかのようですよ。
表立って、クイーンのパスティーシュであるとかクイーンへのオマージュであるとかいう作品紹介はなかったような気がするんですが。
あったのかな?
それくらい、犯罪の異常性、ロジックの突き詰め方、国名シリーズで『オーストラリア○○の謎』とかいう作品であっても別におかしくない。もちろんクイーンとは違うタッチであるとしてもね。
相棒の刑事(本家はパパ・クイーン警視で、こちらはリード主席警部ですが)に長広舌を疎まれながらも止めなかったりなかなか真犯人の名を明かさなかったり、推理しては叩き潰しまた推理を積み重ねていくところとかね。もうエラリアンにはたまらないですよw


不可能犯罪ものではあるけど、確かにひとつひとつは目新しくはないし、今でも、「ああこれは○○のトリックね」とすぐに分かるし(だから実を言うと段々と雑になってくる猟奇殺人事件の後半の時点で、現代のミステリに慣れた読者なら真犯人はうっすら分かるんじゃないかな。わたしでさえ分かったもん。)、この作品はとにかくその推理を積み重ねていくミステリ好きならではの愉悦、ロジックで最終的に真犯人が特定されたときの快感、これを味わうのが一番いい読み方だと思います。もちろんアラもあるんでしょうけどね、わたしは気づかなかったし気にしなかった。

特にやっぱり、真犯人を特定するに至った、遺体の矛盾。最後のね。アレはクイーンばりだと思う。国名シリーズのアレとかアレとか。

読み始めて、読み進めて、戸惑うというか頭の中にあるコレをどうしよう?と不安になるのが、プロローグの人物。
どこで本編と絡んでくるの~?といささか心配になってきたところで、はい出ましたよwって感じですね。
このシリアルキラーに医学の知識があるっていうから、そういうのもミスリードになってるし。

事件の発端も、事件が続いていくつながりも、関係者や証人の登場や退場も、犯人にとっての有利も不利も、すべてが「新聞」に関わっていて意味深長です。
だからこそ、かな、バーサおばさんがめちゃくちゃカッコイイわ(笑)

猟奇殺人にかかわりのありそうな関係者の秘密の多さ、なさそうな人たちとの意外なつながり、犯人か?と警察が目をつけた人たちが悉く安全圏に押し出されていくともう、怪しいのはあの人たちしかいないじゃないですかー。
それを計算しての、終盤のクライマックスだったんでしょうねえ。
なので、ミステリ慣れしていない読者には確かに意表をつかれた真相だと思います。もっとスレてない自分で読みたかったわ……(苦笑)

白い牡丹の使い方が、ほんのささいなことなんですがわたしは好き。トリックとしてはもっといろいろあるんですけど、印象深いのはこの花。

ただ。
もやっとするのは、この真犯人の動機と人となりの分析の兼ね合い。
時間をかけて計画して実行して、警察やジェフリーもいっときは煙に巻いて、それくらい怜悧な判断ができる人を、「精神に異常があった」とか「狂気」とか、犯罪の計画性や計算されたもの計算が狂ったものも込みで「精神異常」にしてしまったのは、あのプロローグを活かすためなんでしょうか。百年祭の開催されている街で大勢の人ごみの中に紛れる「異常者」を際立たせるためだったのかな。
なんとなく、ジェフリーが振り回されるほど頭脳明晰で心理を読むことにも長けててそんな人が「狂人」といわれてもちょっと……シンプルに「復讐」でいいと思うし「自己顕示欲のいささか強い人」くらいでも、うん。

カーというよりはロースン、だそうですが、すみませんわたしロースンはあまり読んでない……カーも全部は読んでないし。
でもやっぱり、クイーン好きなら楽しい黄金期を踏襲したオールドタイプのミステリ(日本でいう本格ミステリ)です。
今年の海外ミステリランキングには入る一冊じゃないかなあ。
わたしには、『魔法人形』よりもこちらの方が好みでした。

(2013.9.2 読了)
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