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『守友恒探偵小説選』 論創ミステリ叢書51

2014/01/04(土) 20:21:37 論創ミステリ叢書 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
守友恒探偵小説選 (論創ミステリ叢書)守友恒探偵小説選 (論創ミステリ叢書)
(2012/05)
守友 恒

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 鳥肌たちました……面白い!
 これ、3600円もするんです……この叢書はどれも高額でファン泣かせなんですけど、この本はまた更に上をいって、買おうとすると何かと何かと何かを諦めないといけないくらいです。が、たぶんコレは買いだと思う!ミステリ好き、探偵小説ファンなら必読!
 そんなわけで、図書館でいそいそと借りたんですが、自腹切って買いたくてその費用をどこから捻出すればいいのか、途方にくれております……。


 

実は。
知りませんでした、この探偵小説家さんのお名前。
叢書をざーっと流しチェックしてて、あれまだこれ読んでないなあ読んでみようかな、と軽-く借りてきたんです。

大当たりでした。
トリッキーなミステリもいいけど好みとしてはロジカルな方がいいと思うわたしでも、このトリックと動機、そしてちょっと古めかしい探偵小説はツボすぎて食べてしまいたい!

短編がいくつかと、作者の名を今に伝えることになった(らしい)有名な長編、そして少しの随筆編。

まずは、とにかくその長編がすばらしい!さすがにミステリファンの間で名高いだけのことはあります。
〈幻想殺人事件〉
一気に読んじゃったよ。
それまでの短編でもちまちまとしたスピードだったのに。
いやこれねえ、収録順が功を奏してるのがよく分かります。
それまでの短編で、黄木さんという探偵役をしっかり自分に馴染ませたうえで、この長編を読ませるんです。
すると、黄木さんから見た事件の謎と真相が、刑事さん検事さんたちから見たそれまでのストーリーから一転ものすごく際立ってて、それでいて黄木さん自身も迷ったり見過ごしたりしてるもんだから読み手もさいごまで気が抜けないというか読み終わってもずーっと考えてしまいそうな、印象深い作品。
これが読めただけでも嬉しいし、
守友恒、という作家さんを今まで知らず、全集とかに編まれたこともなかったというのがもったいなくてしょうがない!
キャラクタも背中に縦線背負ってたり虚無だったりでもう何度もびっくりするんですけど。
殺人事件も真相も。
事件の発端というか動機も。
“怪人”のトリックも。
そしてすべての真相も。
大好きだーーーーこれ!!
この長編が収められてるだけでもう、高額でも買って、自分の本棚に並べてウットリしたくなります♪平林初之輔さんの選集を読んで以来ですよこんなこと。

短編だと、〈灰色の犯罪〉とか。
現代の推理作家さんが書いてても不思議じゃないこの衒学的なやりとり!
ほかの短編でもそうですが、フーダニットよりもハウダニットとホワイダニットに重点が置かれているので、その動機が歪んでいたり独特の世界観だったり理性的な人の世俗にまみれた感情だったりするその鮮やかさ。
この中で一風変わってるのが〈燻製シラノ〉ですが、これもまあ、黄木さんにかかると快刀乱麻というかこれが探偵の目というものかー、という探偵無双な世界で楽しい楽しい♪

さいごに少しだけ挿まれている随筆篇も合わせて、ミステリ作家を目指す人にもいいお手本だと思います。
この随筆篇、探偵小説論や犯罪というものについての洞察が深くてすばらしいのと同時に、その後のアンケートでは、今の本ミスこのミスの“今後の予定”や“隠し玉”で某先生や某先生が書いてらしゃるのとぜんぜん違わなくて笑ってしまいましたよ。
探偵作家が推理作家に呼び方を変えても、ミステリに対する姿勢やこだわりは変わらないんですね。
この随筆篇の〈たわごと〉は、有栖川先生の火村英生准教授が話しているような錯覚を覚えました☆←つまりツボすぎて守友恒さんが大好きになった

とにかく、いつか必ず買います。
これは欲しい!
ああ、楽しかったー!

(2013.8.20 読了)
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