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『オーリエラントの魔道師たち』 乾石智子 著

2014/01/04(土) 20:06:10 乾石智子 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
オーリエラントの魔道師たちオーリエラントの魔道師たち
(2013/06/28)
乾石 智子

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 乾石さんの初短編集。
 東京創元社から出てる長編三作品と同じ世界で、それぞれの歴史を踏まえて、「魔道師」を活写しています。
 面白いと同時に、短編だからこそ際立つテーマ、世界のトーン、じっくり味わいました。おすすめ。




【紐結びの魔道師】
【闇を抱く】
【黒蓮華】
【魔道写本師】

の4編。

主人公につながりはなく、それぞれ国も歴史も独立した物語。

でも、魔道師、という存在を描くその動機と筆致はブレずに。

これまで、東京創元社からの長編、『夜の写本師』、『魔道師の月』、『太陽の石』において、読者にとって魔道師はすでに魔道師で、しかも初っ端から命がけで何かと誰かと戦ってたりするもので、その導入部分の勢いで長編を読ませる力量もすごいと思いますが。

この短編集は、魔道師って?というそもそもの部分、魔法なんて使えないただの人間との境目、そういう明らかに線引きされた両者の境界線に立つ者、そんな彼ら彼女らの生き様を描いてありました。

軽快でコントのような魔法、ホラーのような道具立てとともに呪文が行き交う凄惨な魔法、人間の心を染める闇、闇を取り込む心。
いろんな魔法があって、飽きないし、また哀しい。

理不尽や暴力から身を守るため、復讐のため、魔道師としてのちからを身につけて生き延びた人もいる一方、生まれながらに魔道師としての能力を持つ人もいる。
世界はこんなに広い。

そして、世界の大多数は普通の人間。
人間にとって、国も歴史も法律も、為政者に都合のいいものばかりなので、翻弄される人々は何に助けを見出すのかとなると、魔道師が存在するなら魔法にすがっても不思議じゃない。

そのうえで、人間としての在り方を問うのです。
魔法は、法か?
法律で、心は縛れるか?

心は自由。生き方も人それぞれ。
ただし、人として恥ずべきこと、卑しさや裏切りや無関心や殺戮や盗みや暴力や……そんなキリがないほどの闇を、魔法に肩代わりさせることで、誰が救われるのか。闇を受け止め飼い馴らし、己の一部とできるなら、人は誰でも魔道師となるんだと思います。
最終話のラストに、深いモノローグがありました。
魔道写本師が、人間に向けたメッセージ。
この言葉が、これまでの長編三作品を支えてきたのかと思った。

この世界は、魔法が歴史であり法律の一面もあわせ持ち、またカウンセリングというかセラピーの役割も果たしてるのかな。
つまり、人間だろうが魔道師だろうが変わりなく、人は心に闇を抱えて生きている。生きていく。
闇を光に変えるのか、闇に染まることも光に溶けることもなく平穏な人生を生きていくのか、魔道師として誰かの役に立ちたいと人間の心で思うのか。
自分を過信せず、逆に自己評価を低くすることもない、ありのままを認め受け止められる強さ。
この短編集では、そんな強い人たちが、孤独と弱さを笑顔と光で包み込んでいました。読み心地がとてもいい。

東京創元社はやっぱり、良い本をつくるなあ、とまた改めて思いました。
「オーリエラント」の意味がまだ明かされていないということは、これからもこのサーガは続いていくんですよね?
楽しみに待ってますよう!


(2013.8.10 読了)
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