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『Another エピソードS』 綾辻行人 著

2013/11/08(金) 01:15:07 綾辻行人 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
Another エピソード S (単行本)Another エピソード S (単行本)
(2013/07/31)
綾辻 行人

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 『Another』の続編というかスピンオフというか、やっぱり続編かな。
 相変わらず、綾辻先生の作品は読みやすい。するすると一気読みでした。
 先に情報が公開されているように、ゴーストストーリーなんですが『Another』本編のあの悲劇と連動させているので、つまり怪奇現象や幽玄の世界ではなくてちゃんとこの世界の理に落ち着きます。
 そんなわけで、できる限り前作の『Another』読了後にこの新作を読むこと推奨です。この感想もね。



さて。

感想ねえ……感想……何かを感じる間も考える間もなく、一気に読み終わったからね……感想っていうと面白かったかそうでないかくらいしか書けないかも。
はい、面白かったですよ。前作を思い起こせばますます。

前作はねえ、ああいう気の抜けない悲劇の連続で、どこまでも謎めいて、あの「災厄」の一応の解析に達するまではなんかもうお腹痛くなりそうだったんですが。
このエピソードSは……反対にすごく静か。和むところがないのはともかく、畳み掛けるような屍累々とかホラー色が強いとかそういうこともなく、ただ淡々と。
まあ、主人公(視点人物)が幽霊で、鳴ちゃんという現実の存在もこれまた歩く音さえしないような気になるくらい静かだしね。

アマゾンのこの本のページに貼り付けてある綾辻先生のインタビュー動画で、先生がおっしゃってたように、いろんな意味の「S」なんですが。
夏、海、秘密、サカキ……、で、そうかあ、このSということでもあり、あとひとつふたつの意味がありそう。

思うに、前作で鳴ちゃんの〈左目・眼帯〉について読者には強い刷り込みがあったんですよ。
で、その刷り込み、思い込みを、逆手にとったような。そしてそれで、合理的な説明として片がつくんですから、すごいです。

前作が左眼の表で、今回は左眼の裏。表・裏は概念としてね。

幽霊が、自分の死体を探す。
幽霊が、死後の世界、魂の源に思いを馳せる。
これは生者だって同じことを古代ギリシャ時代から考えてきた哲学なんでしょう。ただ、綾辻先生の事前のプロモーション(ミスリード)が巧妙なんですよう!「幽霊が自分の死体を探すんです」って言われたら、読者だって死体のありそうな場所をいくつかピックアップしながら読むし、鳴ちゃんの左眼の意味を知ってるからこそ(作中の)幽霊の存在を信じているわけで。
「さいごの言葉」についても、紛らわしく書いてあるし!(苦笑)
そこに、朧げな記憶らしい、回想のセリフに出てくる、「恋」と「キリスト教」という言葉に、惑わされたりね……。
ていうか、事故なのか殺人なのかも気を持たせるような書き方されてるし!

きっと、Sketch4での鳴ちゃんと出会うシーン、あそこをどう読むか、なんですね。
最後まで読み終えて、もう一回そのシーンに戻って脳内で「絵」にしてみると鳴ちゃんの戸惑いが大きいのがわかる。
これは……小説ならではですね。うん。

そんなわけで、真相は。

あー、なるほどねえ、そういう反転ですか!
鳴ちゃんによる謎解きでひとつひとつ明らかになっていくのは、「死の色」を見る鳴ちゃんが「生」を証明する逆説的なことと、回想の途切れ途切れのセリフをスライドさせてあることもまた反転でしょうし、そしてラストのラスト、あの住所がまた怖い。このスピンオフは、恒一くんと鳴ちゃんにとっては過去のことであり本編終了後よりも後なので、あのラストってことはもしかしたらまだ終わってないんだきっと……。

幽霊だからできることできないこと、そこに生の常識を当てはめて、残ったものが魂とか心とかいうのかもしれないですね……。
賢木さんは、魂になってちゃんと繋がれたのだろうか……

死の色を見る鳴ちゃんはオカルティックな存在であり説明のつかないこともアリだと思わせるようなキャラクタ造形なのに、綾辻先生は彼女をリアリストで合理的解釈に基づく言動をとらせておいて、その上でAnother世界には何か説明のできないことで覆われているんだよ(館シリーズの、“中村青司”という存在自体のようなもの?)という、謎が解かれたときの爽快感とどうにもならない不合理感を混ぜたような。
つまり、後を引くってやつです。
もうシリーズ化ってことにして、続編希望☆


(2013.8.5 読了)
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