こんな本読みました。

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『たまさか人形堂それから』 津原泰水 著

2013/11/08(金) 01:09:08 津原泰水 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
たまさか人形堂それからたまさか人形堂それから
(2013/05/24)
津原 泰水

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 前作『たまさか人形堂物語』が面白かったので、その続編と聞いたら読まずにいられますかっての。
 人形にはぜんぜん詳しくないんですけどね……。
 ミステリー…、かなあ、ちょっと違う気がするけど。ミステリー風味の普通に一般小説な感じです。でもこれが、ちっとも一般じゃない(どっちだ)
 キャラクタがひとりひとり立ってるし、セリフもモノローグも楽しいので読みやすいですよ。
 連作短編集ですが、前作の『たまさか人形堂物語』を踏まえての話が多いので、できればこの前作を読んでからの方がより楽しめると思います。




さて。

玉阪人形堂。
澪さん、冨永くん、師村さん。相変わらず人形三昧。
この続編は、ゲスト、準レギュラーキャラ、揃って個性強すぎ。
一番凡人なのはやっぱり澪さんですが、一番メンタル強いのも澪さんなのよね。結局。

天才肌は脆いなあ。

そんなわけで、今回は冨永くんが困ったことになります。ここまでは書いてもいいよね。

【香山リカと申します】
【髪が伸びる】
【小田巻姫】
【ピロシキ日和】
【雲を越えて】

一番凄いと思ったのは、五十埜さんのこと。
ていうか、一話目でこの五十埜さんの目線や意識や世界を、クリエイターではない澪さんがどんなふうに感じたか、それがさいごまで影響してるような。その凡人ならではの感覚に頷きつつ、誰も入り込めない唯一の世界に生きる五十埜さんに恐れおののくばかりでした。

リカちゃんかあ。

んー。わたし、確か子供の頃、リカちゃん人形って一体だけ買ってもらったことがあるような気がする。もう忘れてて人形で遊んだのかどうかすら覚えてない。
ぬいぐるみの類は、一切買ってもらったことも自分で買おうと思ったこともないです。
親戚の伯母さんに、確か、妹のと一体ずつ色違い(帽子とリボンと服のチェック柄が赤と青)の女の子のお人形をプレゼントにいただいたことはハッキリ覚えてます。

ただねえ…。
わたし、本当ーーーに子供の頃から、創造力が欠落してて、お人形をいただいてさてどんな遊び方をしたらいいのかすら分からなかった…。
自分をお人形に投影することもできず。
お人形というもの、そのものに興味をもつこともなく。
ただ、お人形はお人形として、部屋の片隅に飾ってあるだけのものでした……。

今にして思えば、あのお人形、泣いてたでしょうねきっと……。

と思えてしまうのが、このシリーズ、この本です。

読者それぞれに、この「人形」に代わる、何かの思い入れ深いものがあると思う。
それに向かって突き進む人生は、幸せなのか不幸なのか。
生きてきて、そんな風に考えたこと、ないですか?

このシリーズのキャラクタ達にとって、人形の存在は、生きるための拠りどころであり、愛憎が同じ分だけ入り混じった、人生そのものになってる。
なので、人形にそれほどこだわりも思い入れもない唯一の人である澪さんは、愛も憎しみも希薄で鈍感で、そのぶん怖いものなし。
天才肌の人たちにとって、鈍感な凡人ほど鬱陶しくて恐怖を抱かせる人はいないでしょうね。
冨永くんは、澪さんを最初からそんな風に思ってたんじゃないかなー、と、言葉や目線や笑い方のひとつひとつに感じてしまいました。

師村さんとも冨永くんとも、良好な関係で玉阪人形堂を営んでいると思ってる、澪さんの凡人ぶりがある意味イタイです。

ただ、澪さんのバランス能力や物の見方捉え方は、師村さんにも冨永くんにも到底できない、平凡な人なりの強みがあります。そのパワーが読んでいて心地いい。
もちろん、澪さんもいっぱい傷つきます。出会いのすべてに傷ついてるかもしれない。
そんな彼女の語りは、シリアスな部分とコメディで軽快な部分とがまるで螺旋階段、もしくはDNAのようだなあ、と思いました。

束前さんとのコントみたいなやりとり、師村さんとの思いやりに満ちた会話、そして冨永くんとの緊張感バリバリの応酬。
どれかひとつが欠けても、玉阪人形堂ではなくなってしまう、危うい均衡。
続編というには展開が早すぎて、シリーズ内の時間はまさしく「それから」としか言えない。玉阪人形堂はそれからどうなったの?それからどうなるの?
ぐいぐいと変化に背中を押される感じです。

そんなふうに読み進めていって、最終話です。【雲を越えて】これがいい!
玉阪人形堂には確かにたくさんの思いが詰まってて、空中分解することも自然消滅してしまうこともかろうじて回避しながら営み続けられる、その無理なくひたひたに満ちている世界。
魂が宿るのには、何が必要なんだろうね。
「思いやる気持ち」は、記憶と経験がどれくらいのバランスで混ざれば「魂のあたたかさ」にパワーアップするんだろうね。

ちょっと、ムズカシイことを考えてしまいました。

するする読めるし、いろんな「人形」についてちょびっと分かったような気になる一冊。
たくさんの八っちゃんにも、幸せな毎日と記憶が積もりますように☆

(2013.7.31 読了)
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