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『シャーロック・ホームズたちの冒険』 田中啓文 著(東京創元社)

2013/09/26(木) 00:26:52 田中啓文 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
シャーロック・ホームズたちの冒険シャーロック・ホームズたちの冒険
(2013/05/30)
田中 啓文

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 んーと、短編集です。でもって、ホームズやルパンのようなフィクションのキャラクタ、忠臣蔵から小泉八雲のような実在の人物や事件をパスティーシュの形にした作品。
 ええと、最初にぶっちゃけますが、やけに生首が多いです(苦笑)。あと凄惨なシーンも出てきます。苦手なかたはキツイかも…。
 でも楽しいパスティーシュ五編です。ホームズやルパンをあまり知らなくても読めますが、知っていればなお楽しい趣向を凝らした一冊。




【「スマトラの大ネズミ」事件】
【忠臣蔵の密室】
【名探偵ヒトラー】
【八雲が来た理由】
【mとd】
あとがき

というラインナップ。どれが読みたいですか?(笑)
多岐にわたりすぎというか、バラエティ豊かというか。
あ、【mとd】はルパン、そしてルブランやガニマールさんが登場します。

忠臣蔵のだけ既読。あとは初読でした。

あとがき、をつけたのは、この短編集ができるまでの一話ごとの経緯が書かれているからで、それを読むと納得できるものもあります。ホームズのパスティーシュは確かにちょっとぎこちない気がする(苦笑)
でも、怪異や怪談、ホラーと、密室もの。それらがバランスよく纏まってて読みやすい。

トリックに感心したのが、忠臣蔵と八雲さん。
もし本当に、討ち入りのときにこんなことがあったとしたら、そりゃ真相を知らずに切腹なんて死んでも死に切れんなあ、と思うのに、謎を解いてみても空しくなるだけ、というのも救いがない。田中先生の書かれたフィクションでよかった、と思うけど、歴史なんて表に出ないことのほうが圧倒的に多いことは常識で……ええとこの謎解きはフィクションでお願いします歴史の神様。やだよこれが本当にあったことだとしたら。
……と、思うくらい、面白くてですね(笑)

八雲さんのも、すごい凝ってる。
実際の小泉八雲という人物の人生を壊すことなく、そこに八雲さんらしい怪異を添えて。最後は、読者(わたしだけ?)が忘れてたあるモノについての真相がでてきてびっくり。
怪異・怪談を、ロジカルに謎解きにしてみせる。素敵w

あ、そうそう、忠臣蔵と八雲さんのエピローグ、これは(苦笑)田中先生らしいといえばらしいのかな。でもさー、蛇足すぎてなんちゅーかもう一気に田中先生の存在を思い出す良い気付け薬のようですwww「パスティーシュだからね?現実にあったことじゃないからね?」という、読者の意識を現実につれて還ってくる役割として。

ホームズとルパンのパスティーシュ、これは。
原作を散々研究されつくした今だから書ける、「こういう解釈はいかが?」のような。特にルパンのはそんな感じがしました。面白かったというより、読んでしばらくしてからじわじわ浸透してくる感じでした。

問題は。ヒトラーの。
これは読んでてつらいつらい(涙)
あとがきによると実際ヒトラーは最低最悪なやつだったらしいし、その取り巻きにしたってそんなに違いはないでしょう。
いやーこれ、ナチって人間の集団じゃなかったのね……。
こんな非道鬼畜以下のやつらが探偵ごっことかさあ、実際ヒトラーはホームズ読んでたとかさあ、……ヒトラーってぜったい無限のあらゆる地獄巡りをしてるはずで生まれ変わったりもできないと思うけども、だからあの世でドイルに会うこともないと思うけどそれでもサー・アーサー・コナン・ドイルに謝れ。ホームズを汚されたような気さえしますね……。

わたしはそれぞれ、楽しく読みました。
でも書く方は大変だったと思います。田中先生、お疲れ様でした。

こういうパスティーシュ、好きです。

(2013.7.24 読了)
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