こんな本読みました。

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『杉下右京の密室』 碇 卯人 著(朝日新聞出版)

2013/09/26(木) 00:22:51 碇 卯人 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
杉下右京の密室杉下右京の密室
(2013/03/07)
碇 卯人

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 ご存知、ドラマ相棒の杉下右京さんを登場させた小説。ドラマのノベライズと違って小説オリジナル版です。
 まあ、ドラマや映画が好きなファンには右京さんとか米沢さんとか捜一トリオとかはそのまま脳内ではっちゃけさせればいいので楽しいし、ドラマは観ないけどもミステリ小説なら抵抗ないってかたにも十分愉しめると思います。
 未読のかたは飛ばし読み推奨。すみません~。


タイトルどおり、密室(不可能犯罪)もの。中篇2本。

〈大富豪の挑戦状〉
〈壁〉

どちらもかなり説明調なので、たとえばドラマを思い出してカメラワークというか右京さんの動きをトレースさせてみたら、密室の構造もキャラクタの動きも、けっこうイメージしやすいです。

一話目の大富豪の方には建物の見取り図が。館ものが好きなミステリファンには食指が動くと思いますよー(笑)

一話目も二話目も、誰が被害者なのかは事件発生より前に見当つきます、ええフラグというやつです。

ただし、密室のトリックは両方とも捻ってあるというか。

大富豪の事件は、密室トリックというよりはホワイ?の方に重点が置かれてますが、それでもこのトリックはまた凝り凝りです(苦笑)。建物に何か秘密があるような説明だったのでさもありなん、ですが、「分」についてたびたび出てきたのはそういうことかー!と。

「密室」の分類はこれまでに海外の古典ミステリから日本の新本格でも散々仕分けされていますが、この作品の密室はどれになるんだろうか……アレとアレの混合、かな?
事件を生んだ素地(被害者の性格や言動)もいけ好かないならこの建物の構造もいけ好かなくてアレなんですが、真犯人の動機の方がよっぽどエレガントに思えるのはどういうことかなw
〈相棒〉らしい、予想よりちょっと上を掠めたその動機。と、被害者ある意味自業自得な事件の様相。隠された容疑者たちの秘密の切羽詰り方。
人間の醜い部分ばかりが満ちる光輝く豪邸の中で、純粋だったのは真犯人の動機だけというアイロニー。



二話目の壁。これはもう……。
この後味の悪さったらまさしく相棒ワールド。
薫ちゃんも神戸くんもいなくなってしまった、右京さんだけの特命係の事件だったので淡々としてましたけど、もちろん薫ちゃんや神戸くんに劣らず右京さんだって逡巡はしてるんですよね、はい。
ただ、右京さんの心のなかに、情に流されない鋼鉄の扉があるだけで。
この事件も、被害者の自業自得であり、できることなら不起訴にしてほしい気持ちもあります。
けれども、法に触れた部分は確かにあって、しかしそれさえも元はといえば被害者が招いたことで……。ああもう(涙)
こちらの「密室」は、かなり専門的な技術が必要……というのがミスリーディングといえばそうで、でもそれまでに描かれてる伏線で既に真犯人の見当がつくわけで、密室トリックはイレギュラーなタイプだと思います。ていうかこの真相を知ってしまうと、なんというか、「密室」ではないような気さえする。つらい。

ところで右京さんて、自分の歩幅と歩くスピードを完全に把握してるんですねえ。ドラマでもありましたっけ?

ドラマや映画のように、警察内部の葛藤を描いた濃密なストーリーとか、シリーズを重ねたことによる続編っぽいストーリーの方をご所望の相棒ファンにはどう受け止められるのか分からないんですけど、推理小説というものをたくさん(自分比)読んでるミステリ読者さんにはドラマのキャラを使っただけで普通に「いかりうひと」さんのミステリを読む感覚だと思います(笑)
ちゃんとあの世界を壊さずに、それでいて推理小説らしい独特の読み心地を提供する、というのは、作家さんには難しいのかな書きやすいのかな、分からんけど。


どうでしょうか、なるべくぼかして書いたつもりですが、まさか未読のかたがこの感想を見たあとにこの本を読まれたとしてすぐに犯人や動機が分かってしまったらごめんなさい。

久しぶりに、日本らしい本格ミステリ、相棒らしい事件と推理を堪能しました。

(2013.7.22 読了)
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