こんな本読みました。

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『電車屋赤城』 山田深夜 著

2013/09/25(水) 23:49:00 山田深夜 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
電車屋赤城 (角川文庫)電車屋赤城 (角川文庫)
(2011/08/25)
山田 深夜

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 ツイッターでフォローしてる、ルクア三省堂の書店員さん、Nさんが何度もお薦めしてらした小説。Nさんといえば、京都の三省堂で『東京BW』の堀田家の居間のジオラマ作って猛プッシュされて、わたしもその節はご迷惑おかけしました(汗)
 そんなわけで、これはきっと面白いはず!……と、電車に詳しいわけでもないのに読んでみました。
 うんうんマジで超面白かったですNさん!


いや本当に、わたしはただ電車は移動手段として乗るだけで、車両のあれこれなんてぜんぜん知らないんです。
それでも面白かったのは、ただただキャラクタ造形が上手かったのと、ストーリー全体に流れる緊張感のせい。

素人の読者に説明するために、引きこもりの純一という電車の素人を登場させてトップバッターの視点人物にしたのが上手い!
車両の整備点検や補修について、専門的な部分を説明口調にするのに不自然にならないように、まず純一、それから純一にクレームつけた佐島、佐島と酒を酌み交わした三郎…というふうに、一話の中に登場したキャラが次の一話の主人公になる。後半からは純一君も再登場して、再び純一君目線になる。

その一話一話に、赤城、それと1000形、という「主人公」が、いる。

著者略歴だと、横須賀の私鉄職員さんだったというこの山田深夜さん。どんな部署にいらしたんでしょう、ていうかこんな下請けの職人さんたちの仕事を人間描写と絡ませて上手く書けていてその才能が凄い。
電車の知識もつくし、展開は面白いしでお得感満載w

赤城さんが一度辞めて、また戻ってきて、でもそれには上からのいやらしい条件がついてて、神奈電本社の人間が下請けを侮蔑したり軽んじたりする中をエースのみんなや神奈電の心ある人たちがなんとか赤城さんを救おうとして。
古い電車に人生を重ねて、赤城さんの見ているものを、純一君たちがみんな目を凝らして見ようとする。誰が赤城さんと同じ目線に立てるのか。赤城さんが自分の人生を誰かにゆだねることが果たして出来るのか。

序盤からラストまで、ぴーんと張り詰めているそんな緊張感を、当の赤城さんの孤高と見えにくいけれどもきめ細やかな優しさが寄り添い、彼を慕う人たちが自分の人生をも一緒に切り拓いていく。
わたしでも惚れる赤城さん!

一番の肝は、加藤君かな。
彼の存在がたぶん、みんなを結びつけていってる。
憎めないどころか、イイ人やん加藤君♪ていうか、賢いんだと思う。学歴じゃなく、興味を持ったものに対するずば抜けた記憶力や本質を見抜く目、元来は真っ直ぐでコミュ力が高いらしくて面倒見のいいところ。

クライマックスは、…関西の人間としてはあの事故を思い出したりしたんですけど、事故の原因を突き止めるためにいったいどれだけの人がどれだけの時間、不眠不休で頑張ってらしたんだろうと今になってまた思います。

古い車両、古い記憶。
止められない時の流れ。
新型車両の良し悪し。でもそれは、愛情やプライドによって磨かれて良くなる可能性。
走り続けた人生と、これから走り始める人生と。

電車というものに映る、それぞれの人生が。
理不尽なことも強大な不景気にも諦めないで走る電車が。
油まみれで泥臭くて、いいもんだなあと。

電車だけじゃなく、飛行機にだって、車やバイクの一台一台にも、こういう人々のドラマが組み込まれているんでしょうね。

汗をかいて生きることの大切さを、電車に乗せて。

本当にいいもの読みました。


(2013.7.8 読了)
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