こんな本読みました。

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『英国一家、日本を食べる』マイケル・ブース 著

2013/07/29(月) 08:07:52 エッセイ・ノンフィクション THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
英国一家、日本を食べる英国一家、日本を食べる
(2013/04/09)
マイケル・ブース

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 いつもお世話になってる本屋さんの店長さんが、わたしの顔を見るなり「良いノンフィクションの本がありますよ~♪」と持ってきてくださったのがこの本です。いつもありがとうございます店長さん!
 で、この店長さんのオススメ本はマジでハズレなし!どれもめっちゃ面白いので、今回も期待できそうwといささか高額にもかかわらず衝動買い。
 いやー、「お高いですけど…」と言いつつも面白いですからと薦めてくれた店長さんを信じてよかった!面白かったですよーwww


この著者、マイケル・ブースさんという人は、イギリスのトラベルジャーナリストでフードジャーナリストなんだそうです。
で、なぜ「一家」で「日本を食べる」ことになったのか、という経緯が序盤に書かれてるんですけど、そっかー、旅と食のジャーナリストって職業になると、家族は世界のどこに行こうがそれが仕事なんだから何か月も帰ってこなくてもOKで、金銭面に問題がなければ家族一緒に旅に出たって帰国後にちゃんと仕事(文章書き)をすればいいわけか。と妙なところでびっくり。

で、確かに家族みんな一緒に日本に来たことで、ものすごく楽しい旅行記にもなってるんです。一家で何か月も旅行に出るの、初めてじゃないよねきっと。もっとも、子供さんたちが就学前だからできることではありますよね。

そりゃ、金髪の可愛い男の子の兄弟がとてとて歩いてたら目を引くよねえ。
横にいるパパは大食漢らしく巨漢で。目立つわー。うん。

この本は、八割がた日本を褒め倒してますけど(笑)、それはもう食べ物だけじゃなくて羽田空港からデパ地下からとにかくヨーロッパとはぜんぜん違う、日本の機能性効率性、戦後に整えられた超現代的なものが多いなーと思う。
たとえば北海道のアイヌの人たちのこと、たとえば鯨のこと、たとえば京都の閉鎖性のこと、大昔から連綿と続いてきた日本文化や日本の考え方については、結構シビアでシニカルに見てる。子供たちの目線にも、そういうのがはっきりわかる。

日本が世界からどう見られているか、というのではなくて、日本の文化や考え方やそういうものを欧米人はどういう風に体験して咀嚼し、日本という国のデータを更新して自国に伝えるのか、その解釈を知った感じ。
思うに、日本に出稼ぎに来てるお隣の半島の芸能人や大陸の留学生たちが、自国に帰って日本をこういう風に紹介してくれたのなら、ここまで感情的に拗れなかったのに。ここまで手放しで褒めなくていいから、日本で生活して稼いでいる分くらいは日本の歴史と文化を理解しようとしないことが反発を受けるのに。

それくらい、この著者のマイケルさんは、日本をできるだけ深く理解しようとしていました。さいごのほうなんて、日本の精神性、哲学的なことまでしっかり会得してた。わたし達日本人が忘れかけてたことまで、ちゃんと調べて学んで体験して。それくらい、日本を知ろうとしてくれた。西洋の価値観を押し付けたり型に嵌めようとゆがめたりしないで、フラットな目と心と舌で日本を紹介してくれた。そんな嬉しくもありがたい一冊です。

それにはやっぱり、奥さんと子供さんたち家族の存在がいつも近くにあったからなんでしょうね。
大人にとっての日本、子供にとっての日本、家族で暮らす日本の町。
ウイークリーマンションや町家を借りて生活する、一週間程度の旅行では組めないゆったりしたスケジュール。
日本人が英語を苦手としているように、ヨーロッパの人たちだって日本文化や日本語は奇妙なものなんですよ、うん。

東京、北海道、京都、大阪、福岡、沖縄、そしてさいごにもう一度東京。
その土地その土地で人脈を活かしてガイドしてもらいながらも一流の料理人と話したり屋台に飛び込んだり、この度胸のよさはシャイな日本人ももっと見習った方がいいかも。
「無礼な外国人という立場」を利用して見たいものを見ようとする押しの強さ。
日本人は、海外旅行しても、外国人にどう見られるか恥ずかしくないかをすごく気にするのでね……。

東京では最高峰の日本の料理を。
北海道では海の幸とラーメンを満喫し。
京都で保守と革新を続ける京料理や風情を楽しみ。
大阪で粉もんワールドにどっぷり嵌まり(笑)
福岡でもラーメンの価値を高め、
沖縄で長寿と健康の秘訣を探る。
日本の調味料やお豆腐とか昆布とかそういうものを、データとしての知識と味覚の両方でインプットし続け、昆布だし鰹だしの繊細な味まで判別して記憶する。
日本の料理の真髄を体験する。

普通の日本人でもできませんよこんなこと(笑)
人脈とか職業柄とかが最大限に活かされた、幸せなイギリス人ジャーナリストさんのジャパニーズ・ガイドブック。
帯によれば、かのガーディアン紙が絶賛したのだそうな。
もうこの本をそのまま信じて日本に夢を見ててください(実際、こんな食い倒れ旅行なんてできないと思いますよー…という)

中には、おいおいおいそれ違うから!それはおかしいから!と読みながら首を横にぶるんぶるん振っていたところもあったんですがね…(たこ焼きのタコの代わりにエビ入れるのはアリ、とか書いてあるけどそれナシ!とか…)

逆に、日本人として申し訳なくなったところもあったり(京都の北の方のお店の接客態度が良くないのは昔から言われてることなんですが、まさか今も変わってないとは情けない…ごめんなさいごめんなさい)。

食材のデータとしてもしっかり把握されてるので無茶な物言いや見方もしてないし、たとえ相容れなくても日本に敬意を払ってくれて、欧米人としては珍しいと思うんですが「謙虚な姿勢」を高く評価してくれて、目と心をオープンにしている姿は日本人も見習うべきで。

読みやすくてお腹がすいてきて目からウロコで、楽しい本です。
ぜひ!

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