こんな本読みました。

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『ノックス・マシン』 法月綸太郎 著 

2013/06/30(日) 12:46:24 法月綸太郎 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
ノックス・マシンノックス・マシン
(2013/03/27)
法月 綸太郎

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 …………読む人をひじょーーーに選ぶ本です……。万人が面白いと言うかというと、それはないと思う。
 ただ、古典ミステリが好きな人、SFをよく読む人、量子物理学に明るい人なら、愉しめると思う。
 ……古典ミステリは大好きですし、SFも数は少ないですが傑作と聞けば読みます、が、物理とは一生分かり合えないとはるか昔に悟ったわたし、半分は涙目で読んでたことをご報告いたします……。




そんなわけで、分かったようなことも書けないし、なんとか理解ができたと自分では思ってても実はちっとも理解してないよコイツ、という玄人さんからの嘲笑が聞こえてくるので書けることといったらミステリ部分だけです。とほほ。

〈ノックス・マシン〉
〈引き立て役倶楽部の陰謀〉
〈バベルの牢獄〉
〈論理蒸発-ノックス・マシン2〉

の中編4編。

うち、〈バベルの牢獄〉は、アンソロジー『NOVA2』の初出を読んでました。改めて読んでみて、これだけ浮いてるといえば浮いてるけど、実は続く〈論理蒸発〉への布石になってて、〈牢獄〉を読んでいれば最終話のアレがうっすらとイメージできますよ、って感じ。
この一編だけでも、相当に技巧的です。
物語の途中で、ぴったり重なり合う一点があって、それが読者の頭と心にちゃんと分かるようになってるなんて、どれだけのテクニックが必要とされるのか、素人には分かりません。階段のあっちとこっちから歩いて近づいていく、あの騙し絵のような、それでいてちゃんと物語が終わるあの快感とでもいおうか。

ノックスといえば、ミステリ読みには周知のあの「ノックスの十戒」。
わたしでも確かに、どうよと思うあの項目を、こんな風に捻ってみようなんて、法月先生にしかできないかも。
このアイデアのために、設定がSFになって、SFにするために量子物理学がベースになる。

ミステリとSFと量子物理学が、メビウスというより鎖っぽいなあと思うんですが、その鎖が私には知恵の輪でどーしても解けないですはい。
で、最終輪の〈論理蒸発〉に繋がってるのは分かるとして、間の二編がちゃんと活きているのがまた凄い。

二話目・三話目、ちゃんとそれぞれ独立してるのに、それらを踏まえて最終話を読むと、ミステリでありSFであることも量子物理学が必要だったことも全部納得。

ミステリ読みとしては、二話目の〈引き立て役倶楽部の陰謀〉にはもうニヤニヤさせられっぱなしでw
ベースはクリスティです。
で、古典ミステリを読んでいれば知ってる名前がわっさわっさ登場します。
…これねー、最後に(フィクションとして)編者の解題があってそれでちゃんと種明かしされてますが、そこにたどり着くまでは、あのキャラのファンやこのキャラのファンはかなり腹立つんじゃなかろうか(笑)
セイヤーズ以外の人が書くバンターさんってどうかなと思ったんですが、いやー、バンターさんだった!いっそピーター卿も出てきてほしかったくらいw

クリスティに関するあの事件の謎を、読み解くんじゃなくて、こんな風に想像してフィクション仕立てにするなんて、法月先生天才かもしれん。

で、もうひとつ法月先生らしいかも、と感じたのが、このお話、クリスティが軸なのに、本当に書きたかったのはEQだったような。
クイーンに対する見解というか、クイーンの信奉者でなければこの、ほんのわずかにしか触れられていないにもかかわらず心に確かに引っかかりを残すような、そんな技巧は凝らせないでしょう。凄すぎです。
それがたぶん間違ってないだろうと思うのは、最終話がEQを余すところ無く使い切ってあるからで、EQをよく知らない人にも、EQの何がわたし達ミステリ好きを惹きつけてやまないのか、未だに分析や評論されるのか、クリスティとはどう違ってEQというのはどんなミステリを残したのか、そういうリスペクト以上の愛情を感じたのでした。


そんなわけで、本当にこれは、古典ミステリを一通り以上は読んでる人、SF好きな人、物理を絵空事にしても怒らないくらい物理に詳しい人向けです。

脳みそ引き千切れるかと思いました……。

でも、どうだったか?と聞かれたら、「面白かったよ!」と言える作品でした。

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