こんな本読みました。

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『ザ・万字固め』 万城目 学 著

2013/06/30(日) 12:00:00 エッセイ・ノンフィクション THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT


 すみません最初に白状してしまいますが、わたしマキメさんの小説読んでません……ホルモーの序盤で挫折したクチ…(汗)
 ドラマ化映画化直木賞候補と華々しいご活躍なんですが、わたしとはご縁がない作家さんだと思ってました。
 ところがですね、本屋さんでこの本をぱらりと立ち読みしたとき、これは面白いな読んでみたいなと。
 そんなわけで、読みました。


書き下ろし部分ってないんですね、あっちこっちの媒体に寄稿したり連載したりしてたものが、ぎゅぎゅーっと一冊に纏まったみたい。
とはいえ、系統立ててあるし、それどころかラストはこれ狙ったんじゃないのってくらい。

頭のいいかたなんやなあと思ったらそれもそのはず京大法学部卒って…。(←今まで知らなかった)
よく一緒に語られる、おそらく本当に仲良しさんだろうモリミーといい、京大出身の作家さんて、綾辻先生法月先生ほか綺羅星のようなミステリ作家さんだけじゃなくて、ノーベル賞受賞者をぎょうさん輩出してるだけじゃなくて、こういうのほほんに見えて隙の無い作家さんもいっぱい出してるんやなあ、と改めて思いましたことよ。

収録順とか関係なしに、感想書きますけど、いい?
いや、初めてまともに読んだマキメさんで、何がそんなにツボだったかというと、大阪市営地下鉄のくだり(笑)
こうくるか!って、意表つかれました。
鉄道擬人化はいいです、珍しくも無いけど、そのデフォルメの仕方が上手い。
わたしまだ乗ってない路線があって、それが中央線と四つ橋線と今里線。たぶん。御堂筋線と谷町線と堺筋線と千日前線と長堀鶴見緑地線は乗ってる。記憶ある。
戦隊ヒーローパロで大笑い。大阪の地下鉄をよくご存知のかたはぜひw

奈良のことも、主観的なんだか客観的なんだかとにかく読んでるだけであの平城宮跡の風景がはっきり思い出せるほど。でも書き込みすぎてないんですよこれが。
ここが、奈良と京都の違いかも。
京都はもう天まで届きそうなプライドでもってイヤミなほど懇切丁寧にガイドするからねえ、こうして青い空の下で京都よりも古い歴史を踏みしめてボーッと立ってるような、奈良は時間的にも気風的にも自由な風が吹き渡ってるなあ、としみじみ思う。
少し前に読み終えた『鬼女の都』(菅 浩江/著)で京都の毒気をモロに浴びた後なので、余計に奈良のこの縛られない感じがいいなあ。
もともと、日本史の中で一番好きなんですもん、平安遷都までの時代がw

ちょっとページは戻りますが、〈旅するマキメ!〉もよかったです。特にギリシャ。
ギリシャ行きたくなったよー!
ちょいと緯度経度は違いますが、昔エジプトに行ったわたしは、この「ブルー」に対する気持ち、分かる気がします。
日本でこんな青を見られる場所って、あるかなーと思ったもん。
日本語の表現のどれもしっくりこない感じ、うんうんw
口がパッカーン!とアホみたいに開きっぱなしになるくらい、吸い込まれそうなエジプトの空でした。ブラックホールならぬブルーホール。

ページをもっと戻って、日常編。
頭のいい人の思考パターンってこうなのかなーと思った。ひょうたんとか、戦国武将とか。楽しそうな脳みそやなあw
特に戦国武将のアレは笑った。そしてこの話は、後半の関西考にもつながってる気がしますよ。豊臣と家康の見方とかね。


ひとつ、毛色もトーンも違う、〈やけどのあと〉。
これは。
この視点の原発事故、東京電力の事情、わたしは初めて読みました。新鮮、と言っちゃ不謹慎なんですが、でもやっぱりそうとしかいえないわ。
新鮮。
なるほどねえ、被災地や被災者側の被害状況とか問題点とか心情とかそういうものから見た話ばっかりだったから、こういう関係者としての見方も当然あるわけで。目から鱗。
これは、もし福井の原発群が事故したら、関電でもぜったいに同じパターンになる。
とにかくこれは、読んだほうがいいです。

ラストの〈万字固め〉の、ほどけない~最後の書簡。
これって、物理学や数式を使わずに、いわゆる「文系」のロジックで宇宙を紐解いてあって、なんというか圧巻でした。
文章で、フィクション(寓話っぽい)で、ここまで物理に近づけるなんて……!
スタンディング・オベーション!すごい!
最後の余白ページまで、ちゃんと意味づけしてある。(余談ですがこれは有栖川先生のあの長編と同じ趣向♪)


硬軟取り混ぜた、愉快なエッセイ集でした。
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