こんな本読みました。

読んで感じて書き出して、そして忘れていく。備忘録ブログ。

スポンサー広告 > 『毒杯の囀り』ポール・ドハティー 著 
ポール・ドハティ > 『毒杯の囀り』ポール・ドハティー 著 

スポンサーサイト

--/--/--(--) --:--:-- スポンサー広告 EDIT
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Comment (-)

『毒杯の囀り』ポール・ドハティー 著 

2013/04/17(水) 00:56:14 ポール・ドハティ THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
毒杯の囀り (創元推理文庫)毒杯の囀り (創元推理文庫)
(2006/09/30)
ポール・ドハティー

商品詳細を見る



 何の前情報もなく、注目してたわけでもなく、ただ本当にふっと目に留まったので読んでみた一冊。面白かった!
 初っ端から事件が起きて謎が渦巻いて名探偵が謎を解く、安定の本格ミステリ、わたしの大好物でございまする~~www
 ……ただちょっと想像力が豊かというか潔癖症というか嗅覚に敏感なかたは、なかなかにつらい時代描写なので、ソコを我慢できるかどうかなんですが、ミステリ好きなら乗り越えられますよきっと!



フーダニットです。
連続殺人事件です。
裏表紙のあらすじに書いてあるのでいいんだろうと思いますが、犯人と目された執事さんは自殺じゃありません。
関係者はみんなクセありすぎですが、秘密もありすぎです。
そして最後に、関係者(容疑者)を集めてさてと言い、という謎解きシーンにわくわくします♪

もうこれだけで、読んでみようとおもったかた、お友達になれそうですw

著者のポール・ドハティさんてカトリックの学校の校長先生だったそうで、中世(この作品の舞台は十四世紀)の聖職者の階層や精神修行やその他のボランティア活動等、知らないことも多くて勉強になりました。
キリスト教徒じゃないし、神父さんの交友関係とか日常生活とか、知ろうとしない限りは知らないままなんですよね。

老王の崩御のシーンから始まるので、クランストン検死官(ジョン卿)とアセルスタン修道士(検死官の書記としての仕事も命じられる)がとりかかる事件とどう関係するのかと思ったら。
ソコに絡めるのかー!で、この人がこう絡んでくるのかー。ほうほう。ニコラさん(フランスのミステリドラマ@AXNミステリー)に似たようなのがあったような気がする。
というのがざっくりした感想。
呑んだくれで大食漢のジョン卿の肝臓の心配で(苦笑)、アセルスタンがお世話してる猫さんが気掛かりでwww
でもねえ、関係者からの聴取と新たな事件の調査の繰り返しがいつの間にか事件の真相に近づいててワクワクしてきましたよ。
で、最後は、王家の弱みやら宮廷闘争の関係までぜんぶまとめてドーン!て感じでした(なんだそりゃ)
このちっちゃい王様、末恐ろしい……!

アセルスタンが修道士として極貧と清廉な生活を余儀なくされた過去の悲しみ、それはもちろんですが、ジョン卿がなんで始終酔っ払ってばかりいるのかというのにも理由があって、まずはそれを何も知らないアセルスタンの目から見た姿の描写でヒントとし、あとでジョン卿自身のモノローグで明かされるとね、ああそりゃ呑んだくれてもしょうがないかな…って、奥さんのモードさんの寛大な気持ちがちょっとわかる気がして。
この主役二人の内面が本当に丁寧に繊細に書かれているので、親しみがもてましたよ。

で、その主役二人。
名探偵と助手。
H・M卿のイメージがかぶるジョン卿も酔っ払って部屋中に響き渡るオナラをしながら居眠りしてるくせに関係者とアセルスタンの話はちゃんと聞いててすごいんですよ。何かおかしい、というのもわかってるし、情報屋も持ってるし、悪臭漂う事件現場や原形をとどめないほどの生首がゴロゴロする街中も酔いどれながら闊歩するし、人を見る目はばっちりあるし機転は利くしで名探偵役としてテンプレどおりなんですがね。
なんと、謎解きをするのはアセルスタン修道士。羊皮紙に事情聴取の際の速記?やら事件の詳細をせっせと書き記し、酔っ払って眠りこけてるジョン卿の代わりに事情聴取もするけど何せ「托鉢修道士」なものでほとんどの関係者からバカにされっぱなし、教会区での自分の仕事と趣味の天体観測と美人の未亡人のことで頭がいっぱいのくせに、名探偵というポジションは彼なのですよ。
天才ホームズと愚鈍なワトソンというありふれたパターンを少し変えて、二人ともに推理能力を持たせていて書記役が謎解き役を兼ねるというのは、かなり新鮮でツボでしたwww
こういう関係好きだわー!
著者がカトリックの先生だから修道士の方が勝手がわかってて動かしやすいというのはもちろんあるでしょうが、なんというか、貴族階級のジョン卿を、事件現場にスムーズに入り込ませるための「水戸のご老公の印籠」のような使い方なんですよね。ビンボーな修道士の後ろ盾としての存在。
ジョン卿自身に、アセルスタンに対して何も含むところがないというのは安心感がありますよね。探偵と助手が口喧嘩することはあっても決定的な決別には至らないとわかってるから。読者は事件の謎解きに集中してついていけます。
サスペンス要素を特に求めてないわたしのような読者にはありがたい。

中世当時の階級制度や社会常識や国際情勢(フランスとの戦争)、逮捕要件の無茶苦茶さと人の命の軽さ。一握りの貴族階級と大多数の不衛生な暮らしに埋没する一般市民。税制度も裁判制度もアンフェア。
そういものをうまく織り込んで、楽しい謎解きミステリでした。(たぶん、フーダニットとしては簡単な方だと思う。サプライズもほぼ無し。一番のサプライズは、だから小さい王様www)

そうそう、「小夜鳴鳥の廊下」ってこれ、二条城の鴬張りの廊下みたいなもんか?と思ってたら。
解説に書いてありましたね。まんまか!(笑)
この作品の発表当時1991年のイギリスでは、江戸時代までの日本の文化や技術をアレンジしても十分使えるって……そりゃ未だにサムライだのハラキリだのニンジャだのを夢見るわけですよ向こうのお人が☆

このアセルスタン修道士シリーズって、邦訳はこの作品だけなんですね(短編がぽつぽつ収録されてはいますが)。
もう二桁の作品数があるんですから、どんどん邦訳していってほしいです!

(創元推理文庫)
スポンサーサイト
Comment (-)

ページの最初に戻る

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。