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『論理爆弾』 有栖川有栖 著 

2013/01/06(日) 18:11:43 有栖川有栖 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
論理爆弾論理爆弾
(2012/12/20)
有栖川 有栖

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 ゲットしたもののなかなか手を出せずに、でも有栖川先生が年内に三つのシリーズの新刊をそれぞれ出すんだ!という目標を果たされたのに年内に読まなくてどうする!と思いなおして、大晦日に徹夜しました(笑)
 ううんやっぱり有栖川先生のミステリはクールで、そして優しいなあ。
 いろいろあった一年の最後にこの作品にどっぷり浸れて、よかった。
 (あからさまなネタばらしはしてませんが、なんとなく雰囲気は漏れ出していますので、未読のかたは自己判断でお願いします)

 
 


ああなるほど。

リズールでのあの朗読・対談(トークショウ)のときに、有栖川先生が仰ってたことがよくわかりました。

曰く、ミステリ小説を書いてきて、初めて、キャラクタが勝手に動き出すという体験をした、と。いつもならプロットを立ててその通りに書くのに、今回はプロットなしで書ききった、と。

9月のあのときは、へぇ、と思っただけでしたが、本当にその意味がわかりました。

ソラちゃん、たぶん、先生の指を操ってたよね(笑)。
火村先生と作家アリスさん、江神さんと学生アリスくん、とは違う、疾走感というかドライブ感が凄かった。

ひと月にも満たない短時間に一気に何百枚も書き切ってしまって、了、と打った直後に気持ちよく倒れた、というようなことも本ミス作家クラブのコメントに寄せられていたのもさもありなんです。
楽しかったでしょうし、充実感もいっぱいだったでしょうねえ。

ガチガチの本格ミステリの書き手である有栖川先生が、プロットもなしに書くということが、キャラクタが勝手に物語を進めていくということが、どれだけ新鮮だったのかと。

たぶん、犯人特定の伏線、犯人当てとしてはまさしく「底が抜けた」歪みようの中でなんとか動機らしい動機をまぶした伏線が、犯人の自白のシーンでこんなふうに繋がるなんてもう、ソラちゃんもそりゃびっくりですよ(笑)、が、一方で、ソラちゃんが書き手である有栖川先生の手をすり抜けて暴走したからこそのこの結末なんですよねえ。

あのリズールで、アフタータイムというかプログラム終了後に先生とお話しさせていただいて、そのときに「犯人の名前バラしそうwww」とまで笑いながら仰ってたあのハイテンションは、こういうことかとニンマリしましたw

シリーズを貫く大きな謎、お母さんの朱鷺子さんの行方を追って九州入りしたソラちゃん。
同時進行で事態が動いてる、明神警視の視点。
どこで交わるんだろうと思ってたら。
あらあらまあまあwww
繰り返し書きますが、わたしは、明神警視は嫌いじゃないです。むしろ好き。
探偵の仲介業をしている人たちの方が、なんとなく冷酷な気がします。自分に火の粉がかからないようにという用心からきてるんだと思いますが。

深影村に乗り込む前に立ち寄った黒田夫人といい、深影村の女性といい、ソラちゃんはきっと、自分で思ってるよりはるかに幼くて怖いもの知らずで危なっかしいんでしょうね。
よくいえば、娘さんらしいお嬢さん。法を破るとか警察に楯突くとかいう大それた決意をソラちゃん自身が固めているというのが、どれほど子どもじみているか、そんな風に見えてるんじゃないかなと。
だから、ソラちゃんを案じて厳しいことをいう人たちの中に、ひょっとして北のスパイがいるのか、という展開は、心が痛かった…。

もうひとつ。
村の男性陣の、欲求不満。ありていにいえば、ソラちゃんという都会の雰囲気を纏った輝くばかりの女の子をどうにか手篭めにしてやろうという剥き出しの視線の粘っこさ。こっちの意味でもドキドキしちゃったよおばちゃんは。
弟的なあの子でさえ、暴発しかねなかったしね…。
まだ十七歳の女の子が、たった一人で探偵見習いみたいな立ち位置で知らない土地に乗り込むことの危険を、ソラちゃんもっと自覚したほうがいい。
でも、…もしそんなことになったら、案外。
明神警視が「風のように」(←シリーズ違うwww)飛んできて助けてくれそうな気もする…………すみません妄想が大暴走しました。

表紙カバーを外してみたら、小口だけじゃなくハードカバーも同じピンク。
テーマカラーだということですが、序盤を読んでてわかりました。ソラちゃんが相棒にしたスマホ「ワトソン」のイメージなんですね。
知らないことが出てくるたびにワトソンで検索してたソラちゃんが、その掌にぬくもりを感じ希望を繋いだように、読者のわたしはこの本を両手にしっかり持ってソラちゃんに命を感じ取れれば、そのイメージは成功してるのかな。


まよたんではあまり出てこなかったガンジスと景衣子ちゃんとソラちゃんの本当の気持ち、朱鷺子さんの娘であることを叫んで北の工作員にぶつかったことで得られた希望、もしかしたらこのシリーズは、北と中央の分断や統合のための工作員の暗躍やテロリズム、そんなわかりやすい善と悪から少し距離が出来つつあるのかな、いろんな人に出会ううちに積み重なっていく感情は国家の支配や都合といったものを凌駕していくような気がします。

わたしは、名探偵が大好きで、名探偵は警察よりもポジション的には上であってほしいし、また推理機械というか推理するための装置であってほしいし、そういうカラッとしたミステリが一番好きです。
なので、このソラシリーズは、息苦しいです。端から探偵は罪人なんですもん。逃げながら推理するなんてストレス、読むほうも胃が痛くなりますよ。
有栖川先生が作者でなかったら、手を出してませんこのシリーズ(笑)
でも。
科学と魔法が正反対の側からたったひとつの世界の真理に辿り着こうとしているように。
火村シリーズ、江神シリーズ、そしてこのソラシリーズは、三方向からともに有栖川先生が見据えておられる「天上の推理小説」を目指して、これからも続いていくのでしょう。

次回作がいつになるのか、さすがに予告は出ませんでしたが(苦笑)、次も書き下ろしなのかな♪楽しみにしてます☆


(2012.12 講談社)
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