こんな本読みました。

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『鍋奉行犯科帳』 田中啓文 著 

2013/01/06(日) 18:04:04 田中啓文 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
鍋奉行犯科帳 (集英社文庫)鍋奉行犯科帳 (集英社文庫)
(2012/12/14)
田中 啓文

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 わーはっはっは!これは楽しい楽しい♪
 謎解きの捕物帳であり、グルメ小説でもあり、ちょびっとだけ駆け引きもあり、まさしく寄せ鍋みたいな連作短編集。
 ひとつだけ。お腹すいてるときに、これ読んじゃいけません。お財布の中身を度外視してでも美食に走りたくなりますからwww




主人公は同心の村越勇太郎さん。真面目で朴念仁ながら実はかなり柔軟な思考のおひと。

で、鍋奉行こと、大邉久右衛門釜祐さんと用人の佐々木喜内さんのコンビ。このふたりのやりとり(主にプライベート部分)はもはや漫才w

勇太郎さんの家族も、同僚や上司も大坂人らしい善人さと食道楽とのバランスがよくて、読んでて気持ちがいいです。

ほんまに“食いだおれ時代小説”(笑)、ありそうでなかったジャンルかも。

解説で有栖川先生が書いておられるように、江戸時代の捕物帳(ミステリー)って、たぶんほぼ八割九割がお江戸を舞台にしてると思います。
商人の町・大阪では捕物帳(警察小説)は馴染まないんだよ、とでもいうかのようです。
いやいや、こうして書けるじゃないですか!それも、ミステリでありながらしっかり大坂を描きこんだ、人情話を。
問題があるとしたら、関西人でない読者、関西弁ネイティブ以外の読者は、読み進めるのがけっこう大変かもしれない…ということでしょうか。
関西人にはまったく自然にイントネーションそのままで読めますが、聞き慣れない人やぶっちゃけ関西弁嫌いな人には大阪弁の部分はつっかえるんじゃないかなあ。
上方落語で耳慣らしをしてから読むといいかもです。昨今テレビのバラエティでわいわいやってる関西芸人じゃなく、落ち着いてまぁるい言葉で聴かせる上方落語、あの世界です。

一話一話、ミステリとしてもきっちり伏線回収してあるし、勇太郎さんと大鍋食う衛門さん&喜内さんの事件を看破する眼も鋭いし、満足満足w
二話目〈ウナギとりめせ〉の犯人はすぐわかったけど、ウナギとの絡みをどうするのかとおもったらまあ上手いこと引っ掛けはったなあ。
一話目の〈フグは食いたし〉のホワイダニットが印象深いです。

グルメ探偵ネロ・ウルフさんを思い出したんですが、なんでしょうね、美食家で大食漢だとどうしても巨体で変人で駄々っ子みたいになるんですかね(苦笑)
この大鍋食う衛門さんの場合は、食以外はドケチでアレなんですが食べることに関しては一切の妥協がないし筋が通ってるし博識だしで、食い倒れの町に住む大坂人さんには反発心が少ないというか、早い話がええ上司なんでしょう。
で、もともと大坂人であるお奉行様もそこらへんがよく分かってるから、美味いものの前に上司も部下もなくただ人間として、生きる喜びが仕事と明日への活力になるという信念をもって、無礼講でいいという豪放さ。器が大きくて(胃袋も大きいけど)、物の道理が分かってるひとが組織のトップというのは、幸せなことですよね。美味しいもののためには何でも都合よく解釈することや子どもみたいな八つ当たりも、そんな魅力的な人となりで帳消しです(笑)

差し迫った緊迫感や闇の黒幕の存在や江戸・朝廷からの無理難題やそういう難しく手に汗握るサスペンスタッチはほぼ皆無www
ただただ楽しく涎を飲み込みつつ、食べることと生きることの輝かしさを受け止めながら読むのがよろし。
透き通った綺麗な、コクのあるお出汁を取りたくなりましたワタクシ。真昆布と利尻・羅臼昆布の使い分けくらいはできますよわたしでも。
あと、

和菓子食べたいいぃぃぃぃ!!(笑)

京都の生菓子と大坂のお菓子が、隣接してるのにかなり雰囲気ちがうこととかも納得の、和菓子トリビア。
あれでお気に入りの生菓子や和菓子を思い浮かべない甘いもの好きはいないでしょう。
ちなみに我が家では、「お菓子」だったり「お茶うけ」だったり「あもおまっせ(甘うおまっせ)」だったり、いろんな言い方をしますw


大坂と京都の張り合いとプライド、大坂と江戸との違いと温度差、いい意味でのお節介焼きなお話が多い江戸ものと、噂や物見高い町人の目線の鋭さが文化を形作る大坂、うん、こういう大坂が舞台の時代小説ってシニカルでドライに見えて優しいですね。


キャラクタも立ってて主要キャラの言動も楽しいし、わたしとしては勇太郎さんと女性二人がどうなっていくのかも気になるので、ぜひ続編書いてください。


(2012.12 集英社文庫)
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