こんな本読みました。

読んで感じて書き出して、そして忘れていく。備忘録ブログ。

スポンサー広告 > 『スタンダップダブル!』 小路幸也 著 
小路幸也 > 『スタンダップダブル!』 小路幸也 著 

スポンサーサイト

--/--/--(--) --:--:-- スポンサー広告 EDIT
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Comment (-)

『スタンダップダブル!』 小路幸也 著 

2012/11/17(土) 17:55:29 小路幸也 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
スタンダップダブル!スタンダップダブル!
(2012/11/15)
小路 幸也

商品詳細を見る



 いいなあ青春って。ていうかいつだったかなあわたしのせいしゅん……(遠い目)
 野球少年なら誰もが目指す甲子園、そこに辿り着くまでに、どれほどの後悔と挫折と涙があったのか…。
 甲子園の開幕は、既に各都道府県大会のひとつに収束されたゴール地点でもあることを、改めて思う、汗と笑顔の物語でした。



小路さんがサイトというかFBであとがきみたいな自作紹介みたいなものをなさってるんですが、この『スタンダップダブル!』について、

「物語の中で高校野球の監督がいろいろと独自の野球理論を展開していますが、全部常日頃僕が考えていたことです。楽しかったですねー。やはり男と生まれたからには一度はやってみたいのが野球とサッカーの監督ではないでしょうか。」(まるっとコピペしました。小路さんすみません。)

と書かれてるんですけど、本当にそのとおりで、スポーツ観戦していると誰もが一度は自分ならこうするのになーとか何考えてんだこの監督ぶつぶつ…とか、そんな持論を展開しますよねえ。それをまんま小説で読んだような感じです。
スポーツがお好きな小路さんならではの緩急のとり方で。

その緩急は、第一に、キャラクタの書き分けというかバランスの良さなんですよね。それともうひとつ、キャラ達の動機付けのヘヴィーさと、未来への希望やポジティブな思考とのバランス。

高校野球という光る汗と青春真っ只中の煌く眩しさや無邪気に信じる心、その中にある涙と絶望とハングリーさ。
野球少年達を取り巻く大人の世界の深さや重みや壁の高さ、その底にある良識と自己実現と愛情と。

分かりやすい悪人がいなくても、誰だって誰かの支えになったり裏切るような言動をしたりしてるものなんです。
それを思い知らせてくれるのが、小路さんの物語。いい人ばかりが出てくるお話じゃなくて、人間はみんな影や闇を内包した存在なんですよ。それが普通なんですよね。そういうこと。

既刊の作品の中でも、悪意の塊である存在は姿を書き込まずにさらりと流してあるものがありましたけど、今回も。
悪意の存在そのものより、誰かの悪意や敵意を認めたとき、どうやってそれと対峙するか克服するかの方が主眼なのが小路作品。

シンジくんやケンイチくんコーイチくんの双子やめぐみちゃんたち高校生ナインの絆の強さを、ただ野球少年にとどめるんじゃなくて甲子園に出て優勝するんだ!というレベルの高さにまで昇華させるために設定された、この過去はつらすぎるものですが…ケンイチくんの透徹な眼が見て告げた事件の思惑がやりきれなさをより強調させてどーにもこーにもなんですが…。
小路さんは高校生達に試練と聡明さをセットにして与えてくれます。みんなめっちゃいい子!
この子達を食い潰そうという大人の都合と欲求から、なんとかして守らなければいけないという良識と良心を持つ少数の大人が持てる力をすべて使って奔走します。

この、自分にできる限りのことをしてやろうという気持ちを持つ大人の活躍を、読者であるわたし達は眼をそらさずに読めますか?

わたしはいつも、小路さんの作品は一種の心理テストみたいなところがあるなあ、と思って読んでる気がします。

マジカル高校野球の謎を、大人の知識の範囲内で理屈っぽく説明してみようというのはやっぱりどこか野暮だなあ(笑)
ミラクルマジカル野球でいいじゃないですかw
で、それはいつか終わる魔法なんでしょう、きっと。
終わるなら、終わるまではそのまま、魔法を見せてほしいな。

この表紙カバーのイラスト、読み終わってみて中折りの部分の隅々まで見て。
ひとり、顔を見せていない男性。
名乗れない人。
続編では、ぜひ顔を描いてほしいです。

その続編では、アノ人が問題の中心にどっかり居座ることになるのでしょうか。
きっともっと大変なことが、甲子園に乗り込んでいく彼らに降りかかることでしょうけど、タムリンのつよく明るくあたたかい視線と絵里さんたち良識ある人たちに見守られてきっともっと強くなる。
楽しみに待ってますよ~!


(2012.11 角川春樹事務所)
スポンサーサイト
Comment (-)

ページの最初に戻る

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。