こんな本読みました。

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『密室蒐集家』 大山誠一郎 著 

2012/11/09(金) 23:13:52 大山誠一郎 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 キタキタキターーーーーーーーーーー!きたよこれ!今年の本格ミステリのトップクラス!
 待った甲斐がありました……もうじんじん痺れておりますwww
 これぞ本格ミステリ!という五編。どれもロジック炸裂のド本格!
 ミステリ好きならとにかく読んで!えー自分は社会派ミステリの方が好きだという人は、コレ読んで本格ミステリに開眼してくださいな☆
 ああ楽しかった!密室を堪能いたしました♪





連作短編集です。
五編、収録されてます。
そのどれもが素晴らしい。

密室状況にある現場で起こった殺人事件、捜査陣が密室を認定して頭を悩ませているところにふいに現れる、「密室蒐集家」。

この謎の人物が解き明かす、密室の謎。

警察もいいところまでは推理したり、容疑者を絞り込むところまではしたりしてるんですけどね。犯人が誰か、どんなトリックだったのか、を解き明かすのは必ず密室蒐集家。絶対安心の名探偵です。

で、一話目が1937年の事件、二話目が1953年、次が1965年、そして1985年、2001年という時系列。

なのに密室蒐集家の容貌は一貫して変わらず。同一人物です。

わたしはこの“密室蒐集家”は、「本格ミステリを愛好するファンの存在」の具現化じゃないかと思いましたよ。
時代が移ろっても、社会が変貌しても、消滅することはない、本格ミステリの愛好家。もちろん密室も大好きで。
不可能犯罪モノを愛読するファンの意識が、名探偵になって刑事さんたちを前にして華麗に謎解きしてみたいという稚気が、“密室蒐集家”という姿になったのかと。
わたしの個人的イメージですけどね。


二話目の『少年と少女の密室』と、最終話の『佳也子の屋根に雪ふりつむ』はもちろん既読。
なんですが、書き下ろしの三編と見事に溶け込んでいて、それどころか、先行の二作品のバラバラな時代設定を「密室蒐集家」というキャラクタで串刺しにするために書き下ろされたそれぞれの作品がまた絶品で。
大山さんの脳みそっていったいどうなってるんでしょうか(笑)

改めて収録作順に

『柳の園』
『少年と少女の密室』
『死者はなぜ落ちる』
『理由ありの密室』
『佳也子の屋根に雪ふりつむ』

で、『柳の園』と『理由ありの密室』のリンクのさせ方が!なんだこれ!(←絶賛)
いやーーーもう見事にやられました!途中まで、まさかまさか……と思いつつ読んでてもうなんか冷や汗までかいてしまいましたよw
密室蒐集家で全作品が貫かれているという設定と、この二作品のリンクを巧く絡めて、もう見事なミスリーディング!あはははははは♪♪でオチがコレってどうよもう!捻くれた様相と、思わず「は?」と口から出たくらいのDMの稚気が(苦笑)。
ということで、私が一番好きなのはこの『理由ありの密室』です。超ロジカルな謎解きに酔いしれましたわワタクシ。

他のももちろん、ロジック炸裂しまくってますよw
密室のトリックは、ロジックのための装置です。でもどれも凝ってます。トリッキーなミステリの方が好きという人には…どうやろう、ロジカルなミステリもいいもんだって言うと思うけどな。

とにかく、本格ミステリ、それも「新本格」が大好物の人は間違いなくお気に召すはず。

最終話のタイトル、『佳也子の屋根に雪ふりつむ』って、詩的な意味と事件の真相から運命は冷酷なものだという意味と、二重になってて、これはタイトル賞ものでしょう。

先日、リアルで密室殺人事件が起きましたよね。刑事ドラマばりの。
現場の違和感を感じ取って、他殺の線を捨てなかった刑事さんのお手柄でした。密室トリックも、まるで小説(ただし初歩中の初歩)みたいで。
なので実は、ミステリ小説が反社会的とか見なされて発禁とか娯楽としての追放とか社会から抹殺とか、そんな風潮になったらどうしてくれる!?という危惧もあったりするんですが(このご時勢、何が「意識の高い人」や「モンスター何とか」に目の敵にされるか分かったもんじゃないからさ……)、

いやいや娯楽としての本格ミステリ、フィクションの密室はこうでないと!

テグスを使って密室を作る人が現実にいるとしても、警察はそこまでバカじゃないからね。そんな「推理小説みたいなアホなこと」、「完全犯罪」なんてそれこそフィクションの世界の話。
ココに出てくるトリックを実行しようというおバカさんが居たとしても、現実にこんな条件が揃うわけもなし。無理無理。

そう、密室って、不可能犯罪って、「条件」が揃って初めて出来るものですよね。うん。

はー…それにしても楽しかったあ!
どれが伏線だろうと思いながら読むのも、そして謎解きのシーンで見落としてた伏線が出てきて笑いながら「やられたなあ!」と感心するのも、本格ミステリならではです。
年末の本ミスベスト10、これは間違いなく上位に来るでしょう♪ていうか、ベスト10の締切日、まだですよね?ね?(入っててほしい☆)


どこで聞きつけてくるのか突然捜査陣の前に現れて、安楽椅子探偵のように話を聴くだけで謎を解いて、そして煙のように消えている。
何十年も変わらない容姿で、ただ密室の謎を解き続ける。
密室蒐集家は、
そしてまた「密室」というものは、

ただ、フィクションであり、ファンタジーなんですよね。

極端な話、贅肉とも言える「小説」部分を削ぎ落とし、ただパズラーであればいい。だからこそ、過度に感情移入することもなく、こうして100%の絵空事を楽しめる。
痺れました。堪能しました。
いいもの読みました。

あー楽しかった!


(2012.10 原書房)
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