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『若き検死官の肖像』 椹野道流 著 

2012/10/30(火) 16:57:19 その他一般 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT

 あまりこういうレーベルにはご縁がないんですけれどもね…、ほら村山先生の『竜宮ホテル 迷い猫』でf-Clan文庫というレーベルが三笠書房から立ち上がったことを知って、そして立ち上げから一年経つか経たないかで突然終了という経緯をたどる、やるせないレーベルさんなのですよf-Clan文庫。
 たぶんもう版元に在庫がなくなれば書店にも並ばないしネットでも購入不可になるとかで、在庫がある今のうちに読みたい作品は買っとけ!という御触れが出たので買ったものの積んでましたごめんなさい。やっと読んだ。
 ラノベなのか少女小説レーベルなのか、わたしには区別がつかないんですが、そういうのに抵抗のないかたは、どぞ。





イギリスをモデルにしたっぽい、架空の街と架空の村。
都会っ子のサイラス・クレイトンは晴れて検死官となり、そして鄙びた村に派遣される。
その村には、「ネクロマンサー」という人物がいて、検死官の出る幕はどこにもない。

てことで、サイラスは、「ネクロマンサー」であるヴィンセントをライバル視しているわけですが。

このヴィンセント様が。

ド天然。
ただし、後天的に備わった部分も。

で、実はサイラスくんも、イタイくらいの天然。
ただし、めんどくさい御仁。

いやでも、このキャラの書き分けこそがラノベといえばそうだし、村の人達や刑事さんも含めて個性豊かで読みやすいです。

ていうか、サイラスくんが、物語を牽引…というよりやっぱり加速装置。
サイラスくんの言動がまわりを巻き込んでぶっちぎって、そして運を味方につけるんですよね。こういうひとは。
融通きかない頑固者で短気で怒りっぽいので、なかなか手のかかるお子ちゃまのような感じなんですが。
根が善良で正義感が強くて教えや常識には忠実で、でも心は柔軟で、なにより誠実。
サイラスくんを真正面から見つめることの出来る人は、彼を認め受け入れる。
逆に彼の瞳の色や金髪さえ記憶しない人は、彼の才能や怒涛の運を見極められない。

最初は超合金のように曲がらない人だねえ、と思ったんですけど、超合金というよりは、ダイヤモンドのような人なんですね。
原石を磨いていけば、サイラスくんも経験を積んで臨機応変を学んでいけば、人々を魅了する存在になれる。

彼の存在が、くすんだ景色を吹き飛ばし旧弊をなぎ倒して、人々の心に輝きをもたらす。

というわけで、彼の不安や苦悩や葛藤は、かなりさらりとしていてこんな奴おらんやろ!とツッこみたくなるくらい超ポジティブなんですけど。
この葛藤や懊悩を深くしていけば、ラノベじゃなくて一般文芸になるのかな。
いやもう、スピードの塊みたいなもので、視野狭いし、ある意味急ぎすぎというか力技。
たぶん続編が出れば、それぞれの内側を掘り下げることもできるのかもしれないですね。
てことでシリーズ化希望。

f-Clan文庫なくなるけどな。しくしく。

この、ネクマロマンサー・ヴィンセント様のやってることは、ミステリ読みからすればミステリの体を成さなくなるんですよね。
死者の魂を呼び戻して、お前の死は誰に責任があるのか?と訊くなんて、探偵いらんやん。
ただ、ゾンビとか甦りとか、そういう本格ミステリは、既にあります。登場人物のほとんどが死者の『アレ』だったり、七回死んでみた『アレ』だったり(←伏せてない)。
サイラスくんの仕事がまっとうされれば警察小説かミステリなんですが、そのミステリ要素をとっぱらったら、残るはヴィンセント様の存在になるわけで。
ミステリ的なのは、中盤でのサイラスくんの見せ場でしたね。うん。

とにかく、サイラスくんの誠実さと超ポジティブさにまわりが巻き込まれてあれよあれよで味方は増えるしかなりあっさり容疑者らしいのが出てくるし、ラノベ仕様はスピード感重視ってことでいいですか?

そして、一番キャラの立ち加減を狙って書かれたのは実は執事さんじゃないかと邪推(苦笑)

もちろん、サイラスくんは面倒くさいし厄介な青年なんですが彼の青い瞳と同様に心の透明さと潔癖さと熱意は、きっと読む人を惹きつけるでしょうね。
関わったら疲れるだろうけど、嫌いにはなれない、いいひとです。見習うべきところもたくさん。

涎の出てくる豪勢な料理の描写もあるし、とにかくサイラスくんの勢いに読者も呑まれて、楽しく一気読みできると思います。

ちょっと気分転換に違うジャンルのものが読みたくなったときなどにオススメ。

繰り返しますが、続編希望。シリーズ化熱望。

サイラスくんとヴィンセント様とエイステンの友情や、それぞれのプロフェッショナルな部分と、愛すべき村人達の活躍も含めて、続きが読みたいです。


(f-Clan文庫)
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