こんな本読みました。

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『ワイルドピッチ』 蓮見恭子 著

2012/10/24(水) 19:58:41 蓮見恭子 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 発売前から気になっててすぐに読みたかったんですけど、アレとかコレとかの兼ね合いでようやく今頃読了。たはー。
 高校野球とミステリー。
 高校野球にあまり詳しくないんですけど、ほら蓮見さんといえば前の『無名騎手』なんてわたし競馬のケの字も知らなくても面白く読めたし!てことで、ぜんぜん心配せずに読み進めました。
 こうして、苦手だった女性ミステリ作家さんの作品も、少しずつ克服していこうと思います。はい。
 今回はがっつりネタばれってるので、先入観なく読みたいかたは読了後にお付き合いください。





夏の高校野球。甲子園。
光る汗、金属バットにボールが当たる音。青い空と白い雲。

8月の暑い夏が戻ってきたようでした。

主人公は…武蔵くんでいいのかな。刑事さんも、真奈美さんも、視点人物なのですが、武蔵くんの存在がこの両者を結びつけているので。

甲子園を目指す武蔵くんのパートももちろん不穏というかちょいときな臭いけど、まあ「明」のパートだと思う。

で、プロローグの人物がどこに絡むのかなーっと思いつつ読んでたら、途中で気づいたけど。……でもこれって、母とも娘の方とも取れるよね?
このプロローグがいきなり「暗」で。期待が高まりますw

この明暗がじわじわと交わっていくサスペンス。
が、高校生達はあくまでも野球のことだけに集中させてもらっていて(一人、そうじゃない子もいますが…)、この明暗のほどよい距離感が私は好きです。

土佐の言葉でかっとばす武蔵くんや関西弁の木下くんや関東出身の大樹くんたちの眩しいばかりの青春にも、苛めとか対立とかめんどくさいことはあるもののやっぱり爽やか。木下くんがオトコマエの心意気をもってて惚れたw

武蔵くんと、大樹くんのお母さんの真奈美さんがどういう繋がりかと思ったら、これは(特に真奈美さんにとっては)救いの手みたいなもので、武蔵くんの光というか高潔なオーラは温かかったと思う。そして息子と比較して嫉妬もしたと思う。
ので余計に、真奈美さんが巻き込まれていく展開が気の毒でした…。
真相が明かされたときは、ああよかったと思ってしまったですが、…それでいいんですよね?
あ、でも、苛めの密告メールの真相はやられました!わたしはてっきり…モゴモゴ

この事件の真相がまた気持ち悪いったらもう!
いや事件の首謀者たちの人格が!
病んでるっぽくふるまうくせに、肝心なことはめっちゃ正気やんか!と思わず殴りたくなった(苦笑)

キーワードをそれほど熱心には隠していないなあ、という印象で、被害者の身元や事件現場は早い段階で気付くと思う。回想シーンの文章でも、ああこの人は良くない人だってすぐに分かる書き方。むしろ、ラストで明かされたこの気持ち悪い人たちが実はどういう悪事を働いていたのか、真奈美さんの罪は重いのか軽いのか?そっちがメインな気が。
首謀者の蛇のような狡賢さと粘着度に鳥肌で…なんというか…育ちより以前に人間の質の部分が既におかしいのよこの人たち。いくら真奈美さんがセレブな生まれ育ちでハイソな生活をしているって言っても、それと相手のことを何一つ気遣えない無神経で品のない魂は、育ちとは関係ないでしょう。


とにかく、武蔵くんたちのパート、甲子園への道と大会のトーナメントや甲子園の満員のスタンドや各校のライバル関係と駆け引きも含めて、これらすべてが光。
その光の影で蠢く闇の部分は、世間に擦れたちっとも爽やかじゃない大人たちの澱んだ心。他人を羨み、自分を正当化して浮遊する、気持ち悪いけどでもどこにでもいる人間。

高校生達の人生を極力邪魔しないように、甲子園はあくまでも事件の流れの最終目的地に据えた展開が良いなあと思いました。

光に惹きつけられ吸い込まれていく真奈美さんやスカウトさんや刑事さんの確かな足取りと良心が、事件の陰湿さを中和しているような気がします。読後感は爽やかでした。
エピローグでの、武蔵くんと大樹くんのシーンは、本当にじんときた。ていうか、大樹くんが武蔵くんと一緒に高知に戻った本当の理由が大人びてて!
木下くんによる大樹くん評っていいですよねえwww武蔵くんにはない繊細さと開き直り加減。逆に、大樹くんにはまだ見られない武蔵くんの威圧感と実直で潔癖な人格。正反対のタイプの親に育てられて、それでも目指すものや場所が同じで、同じ世界に生きようとする真っ直ぐな心は重なってる。
この点が、菜穂とは違うのよね、うん。

高校野球・甲子園を素地にして、三組の親子関係を描いた作品でもあるのでした。

加齢臭のしない汗はいいなあ!←そこ?!



(2012. 光文社)
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