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『彼の個人的な運命』 フレッド・ヴァルガス 著 

2012/10/24(水) 19:59:03 フレッド・ヴァルガス THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 おンもしれーーーー!一気読みでしたよwww
 ヴァルガスの作品については確か、翻訳された作品は全部読んで感想書いてるはず。今回は〈三聖人〉シリーズの新刊。が、本国フランスではもうかなり前に刊行されていたようで、できればちゃっちゃと翻訳ペースを上げて日本で読めるようにしてほしいものです。



ヴァルガスの特徴として、やっぱりこの独特の文体でしょうか。あと、キャラクタの造形。
多くの海外ミステリは日本のミステリとは違って、(どれだけ翻訳者がバラバラだとは言っても共通して)もってまわった言い回しや日本とは違う警察機構やエキセントリックなキャラクタなど、読みにくいと思えば読みにくいものですが。

ヴァルガスに関しては、

「まあ、騙されたと思って読んでみ。損はしないから!」

と言いますね、わたし。

特に、その「エキセントリックなキャラ造形」がもう素晴らしくて!
実際、こんな人がいたら近づきたくないし。ていうか、「こんな奴おらんやろ」というキャラばっかりですが(笑)
アダムスベルグ・シリーズでも、この〈三聖人〉シリーズにも言えますが、物語の母体というのか母性というか、キャラクタの「要」になる人物がものすごくあたたかくていい人なので、この人が出てくるとなんとなく安心するんですよね。
それと、その要の人物とは逆のタイプ、大丈夫かいなこの人…とハラハラするほど危なっかしいのに、実は芯の部分が聡明でピュアな、透き通ったキャラクタも出てきます。そのキャラを見守るうちに、物語に惹きこまれてます。

今回のお話は、今までのシリーズ二作品とは違って、元々が不利でヤバイ状況なんです。そのスレスレの状況をどうやって打破するのか?真犯人は誰かというミステリではあるけど、より以上にサスペンスフル。前作までの、序盤がえらいのんびりしてるイメージのまま読むと、一気にストレスたまります(笑)

で、さっきも書いたように、要・母体となるキャラクタと、エキセントリックであぶなっかしくてハラハラするキャラクタ、そしてシリーズキャラである三聖人&マルコの伯父さん&ルイさんの噛み合ってるんだか合ってないんだか、チームワークいいんだか悪いんだかの連係プレーを正とするなら、事件の関係者や容疑者の歪みようがまた気持ち悪いったらもう!
この対比、マルコたちの偏ってはいるけれども健全で潔癖な精神と、生理的に気持ち悪くさえある精神の持ち主との対話が、それでも自然なんですよね。見るべきものを見て、相手の内面まで見通すマルコの目があるからかな。
一応、主たる探偵役はルイさんなんですが、これまでと同様、読者も知っている情報をもって真犯人に辿り着くマルコが本当の探偵役なような気がするんですが。いかがですか?(既読のかたにしかわからない)

それと、フランスが舞台ということもあるでしょうが、(ああでもこれはイギリスミステリでも言えることかな切り裂きジャックとかあったから)、女性の職業として、OLとか上流階級の婦人よりもどちらかというと体を商売道具にしている女性達の方により愛情をそそぐような、そういう作者の視線を感じますねえなんとなく。
事件に巻き込まれやすい環境にいるということもあるし、警察官や刑事さんと良くも悪くも顔馴染みで絡んでも物語が自然に進むという一面もあるし、また職業に貴賎なしというのか、たとえ学歴がなくても人として賢くて鷹揚な女性がいないわけじゃないでしょう?ということか。
女性のしたたかさや陰険さも含めて女性という存在を大切に考えているような、そんな気がします。

あと、会話スキルもひっくるめて知性や知識というものは、いくらあっても多すぎることはないらしいです。
真摯に、純粋に、学習に励みなさい、マルトばあさんの言葉や存在そのものが、そんな光を放っているみたいでした。
事件そのものは陰惨だし、全容が解明されたらもっと悲惨なんですけど、読後感が爽やかなのはマルトばあさんのおかげです。そう思います。

読み終えて、このタイトル「彼の個人的な運命」にニンマリするのもいいし、フレンチミステリらしいエスプリと本格ミステリの融合にたゆたうのもいい。

アダムスベルグ・シリーズは本国ではもう数作品は新しいのが出てるらしいし、お願いします東京創元社さん、どんどん翻訳して出してください!!
この〈三聖人〉シリーズも、新作が待ち遠しいです☆

(2012.8 創元推理文庫)
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