こんな本読みました。

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『HEARTBEAT』 小路幸也 著 

2012/09/26(水) 14:49:20 小路幸也 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 何度も書いてますが、わたしが小路さんの作品と初めて出会ったのはこの作品です。もちろんミステリ・フロンティアの単行本。
 が。
 過去記事を何回見直しても、感想書いてないし!
 このブログを始める前に読んだから、ついうっかり書きそびれ……。シリーズ2作目の『HEARTBLUE』の感想はがっつり書いてますよええ。
 文庫化が実現するのに7年もかかったというのはもう、「大物は遅れてやってくる」的に捉えることにしますw
 そうしてせっかく文庫化されたことだし、もっともっとたくさんの人にこの作品を読んで欲しいので、今さら感満載ですが、わたしの迸る愛を書き殴ってみようと思いますッ!




さてさて。

著者である小路さんご本人は“HEARTシリーズ”と名付けてらっしゃいますが、わたしや、わたしの布教により同じポイントがツボったファンの皆様は“めぐりんシリーズ”と呼んでおりまして♪

めぐりんがもうもうもう、何度読んでもオトコマエすぎるーーー!イケメンという意味でも、漢気という意味でも、なんちゅーかもう、彼にトキメかない女性がいるでしょうかっ?!いや居ない居るわけがないッ!(反語)
男性読者も惚れ惚れしてほしいなあ!←

さてさてさて。

単行本の方をもう何度も何度も読み込んでて、数年前に小路さんが京都の書店にサイン本をつくりにいらした時には待ち伏せして(笑)この親本にサインをおねだりしたというもう宝物の一冊。
今回、文庫になったことで、ドキドキするというよりは感慨深い気持ちでぱらりとしたんですよね。
そしたらば。
登場人物一覧がないものの、雰囲気が翻訳モノっぽくないですか?わたしは妙にそんな感じがして。
単行本のカバーの写真の摩天楼が印象的なので、その刷り込みかなあ、と思ったんですが、やっぱり違う気がする。
目次があんな風で(EQみたいじゃないですか?)、タイトルの次のページの英文二行やその次の引用とかの流れ方が、文庫になるとぐっと海外作品っぽいですよ。

で、解説にもあるように、小路さんの作品群ではかなり初期のものなので、確かに最近のような肩の力が抜けた軽やかさは薄いかもですが、この作品で小路作品に出会ったわたしは逆にこの作品が基本なもんだから、ひたすら懐かしいです。

テーマは「約束」。
約束を守ろうとする意志、破ろうとする気持ち、自分の中の約束を曲げない潔癖な心。

約束という言葉は、人間の精神の強さを試すのですね。

委員長の意志の剛毅なことと弱さのギャップ、ヤオの弱さ、巡矢の繊細さと大胆さ、ユーリの品のよさからくる純粋な強さと優しさ、ユーリを中心にエミィとハンマの友情もまた強い。

人間だからみんな弱いところも強い部分もあって、強さが基本の生き方と、弱さ(優しさ)が基本の生き方があって、どっちも間違ってないし、むしろこのふたつの生き方が臨機応変にできる人なんか超能力者(笑)
弱い自分を認めて、つよくあろうと努力して生きていくのに年齢が早いも遅いもないんだなあって、小路さんの作品を読むといつも思うけど、この作品はとりわけ「約束」というものを目標に据えて生きてきた委員長とヤオ、「約束」に向かって生きていく子ども達がみんな真摯で健気。そして、それを見守るポジションのめぐりんはもうどこかに落ちてませんかこんな人www

めぐりんが、神の視点ぽいのです。まあ、だから探偵役なキャラというわけですけど。
でも推理する機械じゃなくて、熱くて優しい心をもった素敵な人間です。悩みもします。

委員長の過去、行方不明だったときの事情は、何度読んでも涙がにじんでくるんですよね……本当にシビアというか、不運というか…。

その委員長のつらく悲しい事情を、よくあるミステリーのせっかちな探偵のように性急に話せと無神経にせっついたり、挑発したり誘導したりしない。
ただ、委員長と一緒に行動するだけで、委員長自らに告白させてしまう器の大きい人ですが。

そういうのもぜーんぶ計算され尽した物語なので、未読のかたはご油断めさるなw

委員長パートとユーリパート、Boy's SIDEとGirl's SIDEの視点切り替えの早さの中に、めぐりんの存在がずっと貫かれていて、そしてLast Man's SIDE……(涙)
この作品は、初読は驚き、再読してその伏線を拾い集めてみると、めぐりんの揺れを実感できるんです。

わたしがこのシリーズを「めぐりんシリーズ」と呼ぶのは、彼のこの揺れ方が切なくて一途で堪らないから。
ある意味、委員長の方がもっと暢気というか後ろ向きというか行き当たりばったり(苦笑)。いや委員長もヤオとの約束のためにと一途なんですけどね。

小路さんの作品の中で、一番大掛かりな仕掛けのある「本格ミステリ」だと、わたしは思っています。

で、この作品のラストは、二作目の『HEARTBLUE』には繋がってません(苦笑)。急遽、めぐりんが主役に抜擢された(時系列では『HEARTBEAT』の後の)お話で、おそらく今回のラストは第三作目に繋がるのではないかと。

ということで。

第二作目の『HEARTBLUE』もちゃっちゃと文庫化してもらって、第三弾のシリーズ完結編を早く書いていただいて、小路さんの構想にあるという委員長とめぐりんを相棒にしたスピンオフも是非とも実現してほしいのです。

なので、まずはこの文庫化された『HEARTBEAT』が大ヒットして勢いがつくように、ファンを増やさねば☆

とにかく読んでください、そしてこの世界にどっぷりハマってくださいませ~~!



(2012.8 創元推理文庫)
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