こんな本読みました。

読んで感じて書き出して、そして忘れていく。備忘録ブログ。

スポンサー広告 > 『キシャツー』 小路幸也 著 
小路幸也 > 『キシャツー』 小路幸也 著 

スポンサーサイト

--/--/--(--) --:--:-- スポンサー広告 EDIT
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Comment (-)

『キシャツー』 小路幸也 著 

2012/07/22(日) 00:44:27 小路幸也 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT

 ふふ。ふふふ。いいお話www
 読んでいると、自分が笑ってるのがわかる。爆笑じゃなくて、可愛いとかキラキラしてるとか元気だねぇとか。自分の女子高生時代を思い出して、ちょっと思い出に浸る。涙が出そう。
 なんとなく、すまっぷの「夜空のムコウ」とか、ゆずの夏の曲とか、聴きたくなりました。
 いま、ものすごく疲れてる人に、お勧めです。




この作品に何回も出てくる、「ホーム」って言葉。
一両編成の電車が止まるだけの誰もが思い浮かべる田舎町の駅のちっちゃいプラットホームであり、
いずれ自分達が巣立つまでの揺り篭、故郷、ホームグラウンドであり、
ひとりひとりの家としてのホームでもあって、
そこにはお世話されてる猫たちもいて、
時間がゆったり流れる場所で。

高校生が、おぼろげながら自分たちの将来を設計していく、夏休み。

無条件に守られていて、それを当たり前だと思ってもいい、子ども時代の終わり頃。

大人の世界への好奇心と憧れと、自分の世界の狭さを同列にしていい時代の終わり。

高校時代なんてもうはるかはるか遠くに過ぎ去ったわたしですが、あの頃の自分がどんなだったか、思い出すとちょっと涙ぐむ。
学校は楽しいだけの場所じゃなかったはずで、でも楽しいことしか覚えていないのですよ。
通学路、チャリの大集団が、天下の国道を雪崩のようにザザーッと斜め横断するんです。それが楽しくてしょうがなかったの。
今なら言いますよええ、「お前ら、撥ねられたいんか?事故っても知らんぞ?」と。
途中のお店でお菓子やジュース買ったり、足を伸ばして商店街に繰り出したり、信号変わるーーー急げーーー!って無茶苦茶なスピードで幹線道路を駆け抜けたり。
キシャツーではなかったけど、あれがわたし達の通学風景で、楽しい思い出なんです。
そういうことを、少しずつ少しずつ、思い出した。

ノスタルジーじゃなくて、今も高校生達はこうして自分達の通学路でいろんなことを。そう思うと、世界が若返る気がする。キラキラしてくる。

若い子って、社会を明るく若くする光ですからね。

小路さんの作品に共通してることですが。
一人称なのは、登場人物の紹介をキャラクタの視点で描写するからで、ミステリじゃないんだからキャラ設定にミスリードも何もなくて、だからキャラ達はみんな聡明で、内面を見透かすだけの眼力と、それを押し出したり引っ込めたりできる器用さを持ってる。
なにより、みんな素直。
だから、読んでいて気持ちいいんですよ。
鬱屈した人間の内面なんて、リアルになんぼでも見てる分、小説の中のキャラクタはありえないくらい素直であってもいい。
大人が子どもに理想を重ねてるだけかもしれないけど、こういう子に育ってほしいというより、こういう一面をキミも持っているでしょう?と。そんな問いかけ。

夏休みの開放感と、よっしーくんたち受験生のカウントダウンと、光太郎くんの存在が一陣の風を連れてきた、そんないろんな化学反応の結果、ぐるぐる攪拌されたビーカーの中はどうなったか。
劇物取り扱いの心配のない小路さんですから、危険な毒はできません。
むしろ、怪力になったり超人になったり(カーラ教授の『笑う大天使』参照w)で、人生を決める薬になったりする。
ふふふ。
まだ何者にもなっていない、これから先何にだってなれる、という希望は、いいですよね。

紗絵姫がツボでしたwww
深窓のお姫様なのに、内面はクールで、でも女子力も高くて。

はるかちゃんのことを何もかも知っていて本当に兄のように見守るよっしーくんが男前すぎてきゅんきゅんしたwww

最後の夜の、浜辺のパーティになっていく顛末がサイコーでした!
都会じゃなかなかこうはいきませんよね。
良くも悪くも狭い地域でみんなが顔なじみな付き合い。

本当、小路さんの作品は、人間も町も、おおらかであたたかいなあ。

このひと夏の出来事を、大人になったはるかちゃんたちが全員そろって邂逅したり明日からまた頑張ろう!ってパワーに変えたりする姿が、エンドマークの後の書かれていないページに浮かび上がってくる。
この作品そのものが、あゆみちゃんが撮り続けた写真の一枚一枚を収めたアルバムのようでした。
そのアルバムに、はるかちゃん、紗絵姫、よっしーくん、光太郎くんがそれぞれキャプションをつけて。
アルバムが大げさなら、もしくは、「高校生版、夏休みの絵日記」とか(笑)

暑い夏の読書に気持ちいい一冊です。
ぜひ。

(2012.7 河出書房新社)
スポンサーサイト
Comment (-)

ページの最初に戻る

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。