こんな本読みました。

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『山田風太郎少年小説コレクション1 夜光珠の怪盗』 山田風太郎 著/日下三蔵 編

2012/07/22(日) 00:28:18 山田風太郎 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 もともと山風作品の、特に茨木歓喜ものは大好きで、このタイトルを知ったときにチェックはしてたんですが。
 有栖川先生が巻末にエッセイを寄稿されていると知って即取り寄せ。
 そしてほぼ一気に読みました。くあーーーっ!面白いよう♪♪



初っ端からなんですが、…高いよね…2,400円+税……(苦笑)
いやでもね、ずっと手元において、自分の子どもに(いや子どもいないけど)読ませたいと思うくらい楽しい探偵小説なので、時間で換算すればモトは取れると思います!コスパがいいって、こういうこと?
当時の挿絵がまた雰囲気あって、江戸川乱歩の少年探偵団シリーズに夢中になった人なら、この本もお気に召すはず!

……といっても、有栖川先生も書かれているように、今の出版社サイドからはストップがかかりそうな展開のものもあります。
山風先生の時代が鷹揚だったのか、今がヒステリックすぎるのか…。
でもさー、当時の子ども達はこれ、きっと何の違和感もなく読んでたんでしょうねえ。
今の子ども達は屈託がありすぎるのかも。もしくは、狡賢くて人生ナメてるのかも。

最終話の「ねむり人形座」を除いて表題作も短編です。するする読めます。
で、どれもこれも、少年少女が大活躍の、どきどきわくわくハラハラの物語。特に「夜光珠の怪盗」と「ねむり人形座」のスリルとサスペンスと主役の子ども達の機転の良さといったらもう!
ジュヴナイルのホームズやルパン、また乱歩の少年探偵団シリーズを読み尽くした小中学生諸君、次はコレを読むといいよ!

漢字にルビがふってあるわけじゃないので商業的には大人向けに出されたものでしょうね、だから読書習慣のある中学生でもちょっと難しいところもある気がするけど、ストーリーは少年少女向けなんですよね。
今の小中学生の読解レベルを知らないものでよく分からないんですが…、お父さんお母さんの部屋の本棚にこの本があったら、ぜひ頑張って読んで~~☆

そして子ども達はこの本のお話を楽しんだらそのままミステリでもSFでもいいから他の小説もいっぱい読んで、読書の楽しさを知って、そして大人になった時に再びこの本を手にとってほしいなと思う。
子どもの心で読むのと、ミステリに慣れた大人の目線で読むのと、ぜんぜん読み心地が違うんじゃないかな。
そして大人になったら、有栖川先生のエッセイと日下さんの解題をじっくり読むといいです。きっと、子どもの頃に読んだのとは別の、山風先生の魂のような何かが、するりと心に染み込んできます。
(大人にはミステリ的なネタは謎解きシーンの前にだいたい分かります(笑)。トリックは子ども向けだから。ま、それは野暮ですね)

その意味で、この本は「本の形をしたタイムマシン」みたいだなあ、と思いました。

わたし個人的には、茨木歓喜ものの未収録作が、子ども向けとはいえ三作も読めて嬉しいったらもうもうもうwww
山風作品は忍法帖シリーズがひろく読まれてますが、わたしは茨木歓喜シリーズの本格ミステリが大好きで。
どきどきしましたよ♪

「さばくのひみつ」だけがちょいと異色ですが、スリリングでそれでいてめでたしめでたしで終わらない不条理さもあって。

現代の無菌状態の社会とは違う、混沌と雑駁と鷹揚とが交じり合った当時の社会を少しデフォルメした描写、人間へのシビアな目線と愛惜。
国内・海外問わず古典ミステリを読むかたなら、ぜひ。お勧めです。

今月末には第二巻『神変不知火城』が出るそうですよー☆こちらも楽しみ♪♪


(2012.6 論創社)
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