こんな本読みました。

読んで感じて書き出して、そして忘れていく。備忘録ブログ。

スポンサー広告 > 『幽女の如き怨むもの』 三津田信三 著 
三津田信三 > 『幽女の如き怨むもの』 三津田信三 著 

スポンサーサイト

--/--/--(--) --:--:-- スポンサー広告 EDIT
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Comment (-)

『幽女の如き怨むもの』 三津田信三 著 

2012/05/15(火) 17:41:58 三津田信三 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 今までだいたい一年に一作のペースで刊行されてきた刀城言耶シリーズですが、この新作はスケジュールの都合だったのかそれとも難産だったのか、ちょいズレましたね。半年くらい遅かったのかな。
 すみません、今回は軽-くあっさりな感想です。






本格ミステリとホラーの融合、というのがこのシリーズの謳い文句ではあるのですが。

めっちゃホラー色が強かったのが『厭魅』とか『凶鳥』とか?で、本格ミステリとして一級だったのが『首無』とか『密室』とかだというのがわたしの分類。
『山魔』『水魑』は…どうかなあ、わたしはミステリ寄りな気がするけど、人によってはホラー寄りかも。

で、今回のこの『幽女』なんですけどね。
面白かったですよ。けっこうなページ数ですが、止まらなくてぐいぐい読まされましたよ。

わたし、綾辻先生の『Another』を読んだときの印象に似てるなあ、とずっと思ってました。
事件の真相が謎の焦点になってなくて、『Another』でいえば「死者は、誰?」というのが最終的な謎だったように、この作品は「花魁の祟りは有るのか?無いのか?」というところ。「身を投げた花魁は、殺されたのか?殺人であれば犯人は誰か?」というフーダニットは副次的に近い。ひたすら「祟りなの?違うの?」という無気味さを感じつつ、ミステリ好きとしてドキドキしながら刀城言耶さんを待つわたし。

ツイッターでは「素晴らしい」とか「読まなきゃ損!」みたいな声も多数ありましたが…うーん、どうやろ。評価はまちまち、てのが本当のところじゃないだろうか…。

はじめに、と、第四部と、最後の追記の部分。
言耶さんの推理はさすがに本格ミステリとしてばっちり。
怪異が実体を持っていたというロジックのための伏線が随所に埋め込まれていたことと回収の鮮やかさは、綺麗だった。

ただ、…ただ、なんですよねえ、わたしは。
これ、いっそ推理部分は端折るかもっと前に持ってきて、第三部の佐古荘介の原稿で終わってもよかったような気がする。
これが見事に決まったのが『Another』だったわけですが。

なんかねー、言耶さんの推理が蛇足みたいな感じがしてしまったのですよ…。

謎がフーダニット一本ではなかったために、インパクトが弱いといえばそうだし、もっとヒネたシリーズ読者だったら、この構成だと「三人の緋桜」の真相もあっさり看破してそう。わたしは無理でしたけどね。

ひたすらに、遊郭の花魁という女の悲しさとしたたかさを川の流れのように読み続けて、救いのない女性たちの涙に飲み込まれてきたから、遊女のひとりやふたりの怨みなんてそこらじゅうに凝り固まってるだろうという読者の気持ちが、真相に気付かせないでっかい煙幕みたいなものになってるのかな。でもちょっとアンバランスな感じが…。

謎が解明されると真相は大どんでん返しだった!というのも素晴らしい本格ミステリで、それの頂点に『首無』があると思うのですが、あれはホラー色と謎解きのバランスがすこぶるよかったわけで、だからオールタイムベストな作品なのですよ。うん。

ああ、第四部の謎解きの中で、わたしが引っかかったのが、周作氏に関してのこと。
これ、わたしの読み方がどこかで穴あいてたのかな。
周作さんの去就を一番知ってるはずの妹の優子さんの態度がねえ…。ん?そんな話出てきた?ていうか言耶さんに隠してたの?って。第二部のどこかに言及ありましたっけ?

あまり褒めてないですが、決して駄作じゃありません。
今年の新作ミステリの中でもトップクラスの出来です。そんなにたくさん読んでないけど…。
謎解き部分は綺麗だし、ホラーとしてもぐいぐい読まされたし、偲さんもほぼ出てこなかったしあぶくま先輩は影すらなかったし(爆)
本ミスのランキングにもきっと上位にくると思います。
わたしの期待が高すぎたのか、ちょっとインパクトが弱いな…と感じた、というのがつまるところなわけでして。

時間がとれたら、要再読ですね。
そしたら評価も変わるんじゃないかな…。


(2012.4 原書房)
スポンサーサイト
Comment (-)

ページの最初に戻る

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。