こんな本読みました。

読んで感じて書き出して、そして忘れていく。備忘録ブログ。

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『ふしぎ探偵レミ 月光の少女ゆうかい事件』 村山早紀 著 

2012/04/29(日) 01:17:07 村山早紀 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 いまの小学生って、どんなお話が好きなんだろう。やっぱりRPGみたいな展開で、敵キャラは100%悪者でさくさくっと退治する勇者みたいなのが受けるんだろうか?
 分かりやすいし、勇者やヒーローの味方でいれば、自分は傷つくこともないからね。
 でも、ゲームのような世界は、そのうち自分の心が乾いてくると思うんです。悪者を切り裂いていればいいだけの、ルーチンワークだから。
 図書室で、こういう子ども向けに書かれたお話は年齢を問わず人の心を潤すためにあることに、たくさんの子ども達が気付いてくれるといいな。




生きていれば、後悔がセットで付いてくるもんですよね。
後悔しない、したことのない人なんて、生きてるって言わないでしょうってくらいワンセットになってて、物心ついた頃から、自分の記憶が始まった頃には既に、ちっちゃい後悔のカケラがあるもんですよ。

しぶとく生きて処世術を学ぶうちに、その後悔の石をいかに漬物石のように自分の人生に役立てられるようにするか、だんだん分かってくる。それが人生経験で。

子ども達の時間は長い。わたし達大人が生きるよりも、何倍も長く感じる、その時間。
そのなかなか進まない時間の中で、後悔の石を抱き続けるって、つらかったよね確か。
逃げたい、投げ出したい。なかったことにしたい。
まだ子どものうちは、それがどれだけ誰かを傷つけるかを知らない、無邪気な残酷さ。
大人は、基本的には子どもを許す。
ただ、傷つけた事実は消えないってことを、許された子どもは知らなきゃいけない。必ず。
その後悔の石を、まるで宝物のように大事にして、忘れないようにして、二度と同じ過ちを繰り返さないように。

レミちゃんと、炎の妖怪の子猫・ソラ。
ドジでオタクで人のいいお兄ちゃんにとって、妹のレミちゃん(とソラのコンビ)は、きっと両親と同じくらい頼りになる魔法使いなんでしょうね。
このお兄ちゃん、たくみくん。
読者である子ども達、何の特殊能力もないわたし達は、このたくみくんの気持ちが一番よく理解できるんじゃないかなあ。

物の怪や幽霊や妖精さんの見えない平凡な人生でよかったと言える大人の心情と、そんな特殊能力が欲しかったなぁとつい妄想してしまう子どもの気持ち、両方を実感できました。
よほどの早熟でリアリストな子でない限りは、大概の子どもはこんなことを想像しては、くふくふと自分の世界に浸るんですよね。
その、楽しくてわくわくして、何でもありの世界を、もっとよく知りたいし自分が御したいと思った人は博士や研究者になって、物語にして万華鏡のようにいくつもの世界を紡ぎ出してくれるのが作家さん。
わたしは、そんな博士や研究者さん、そして作家さんの夢を食べて、身体と心を潤しています。

魔物になってしまった心優しい人の、引き裂かれるような後悔と信じる心。優しかったぶんだけ絶望も深く暗い。その哀しみ。
天使になった心優しい女の子。
優しくてつよい心を持ったレミちゃんと、勇敢な子猫のソラ。
それから、千秋ちゃんも。
みんなそれぞれ、銀色の月の光を浴びて。
悲しみも苦い思いもつらいこともそこらじゅうにあって、でもそれだけじゃなく同じ量と幅と深さで楽しいことや嬉しいことや幸せな気持ちも満ちているこの世界。風早の街。

長い長い時間、銀の月の魔法にかかった世界。

月は、たまに鏡になって人の心を惑わせるけど、自分の気持ちに正直に。逃げないでいれば。

世界は綺麗なものに満ち満ちていることに気がつくよ。

目に見えるあらゆるものが、目に見えないものと隣り合わせで存在していることも。
心を込めて話しかければ、相手はきっと心を開いてくれるということも。
自分の未来と自分の夢は、自分で掴み取らないと意味がないこと、後悔することを怖がらない気持ちや失敗を怖れない気持ちを持って。

自分が嫌いな相手にも、相手なりの言い分や信じているものがあって、自分と同じくらいその相手のことも許してあげないといけないこと。
世界が喜びとかなしみの両方で出来ているように、人間の心も善と悪がひしめきあってバランスが取れていること。

そんな、村山先生のメッセージというかエールが零れ落ちそうなくらい、子ども達に向けて紡がれたRPG。

自分の生きる世界を、じっと見つめてほしい。
レミちゃんに託された大人から子ども達へのメッセージを、過たずに受け取って欲しい。
そんな風に思った、爽やかな一冊でした。

(ポプラ社)
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