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『聴き屋の芸術学部祭』 市井 豊 著

2012/03/14(水) 18:34:20 市井 豊 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 ぱちぱちぱちぱちーーーー!拍手喝采。
 ミステリ・フロンティアという叢書の、ど真ん中ですよ王道の本格ミステリですよwww
 ミステリーズ!に短編が掲載されたときもチェックして二編ばかり読んでましたが、こうして連作短編集として一冊にまとまったものを読んだいま、この興奮は格別でした!ぜひぜひ読んでほしい!ミステリがそれほど好きじゃない人でも、こんなに読みやすくて面白いストーリーならきっと大丈夫!
 (※少し、真相に触れる箇所があるかもしれないので、事前情報というか先入観をもちたくないかたは、ここで回れ右した方がいいと思います。)





思えばねえ、あの超大型新人と大絶賛された『叫びと祈り』の梓崎優さんと同時デビューというのが…、梓崎さんがドカーン!と鳴り物入りでデビューしてそれがまた各ミステリベスト本のランキング上位に入ってしまうという太陽のような強烈な光を発したのとまったく同じときにデビューというタイミングのちょっとだけ残念だった市井さん。ベスト本しか読まない人には地味にうつるのかもしれない市井さんですが。

いやーすごいすごい!梓崎さんに負けてない!
むしろ、読みやすさにおいては、市井さんの方が上かも。
それでいて、ミステリとしても高レベルなんですよ!ロジックがね、とにかくすごい!
ミステリーズ新人賞、梓崎さんが大賞になったから、市井さんのこの表題作は佳作となったわけですが。
いや佳作よりは上だと思う。

芸術学部という変わり者がうじゃうじゃ闊歩する(というか変わり者しかいないかも…)キャンパス内外で、大学生たちの大騒ぎなストーリー。なんと楽しそうなんだ!そしてわたしには無理な世界だ!(笑)
いくらリアルで「変わってんなぁアンタ」と言われるわたしでも、こんな中には入れないわ…すごすぎる。けどめっちゃくちゃ楽しそう♪♪リアルで、大学の芸術関係の学部ってこんなん?

そういう、一風どころか台風くらい変わった人達ばかりのお話を、笑いながらするする読めて、そのするするの中に伏線がばっちり仕込んであって謎解きの部分で全部回収されていてミスディレクションだって読ませてくれて、いやーお見事www

学生さんたちの日常の中で発生する事件や謎なだけに、理不尽な人生の仕返しとか逆恨みとかいう世知辛いことは出てきません。
ただひたすら、モラトリアムな空間と時間のなか、ぽこぽこと湧き上がる無理難題に、聴き屋の柏木くんが、淡々と、クールなツッコミも交えながら解決していくのです。
警察沙汰の事件もありますが、刑事さんの姿そのものは出てきません。
それだけに、柏木くんの推理はマイペースというかぽんぽんと進みまして、それがリーダビリティのよさに繋がってる感じ。

わたしは表題作の【聴き屋の芸術学部祭】と【からくりツィスカの余命】が既読、続く【濡れ衣トワイライト】は未読で、書き下ろしの【泥棒たちの挽歌】はもちろん初読(当たり前だ)
一番好きなのは【濡れ衣トワイライト】かな。
最初の【聴き屋の芸術学部祭】で、柏木くんが所属する「ザ・フール」を中心に、学内がどれだけ変人の集団であるかを描写した上で(笑)、事件が起こって柏木くんが巻き込まれるというパターンを呈示。
この表題作で感心した記憶がありますよ。
時系列の整理の仕方、フーダニットとハウダニットとホワイダニットのバランスのよさ、学生さんらしいライトでクールな会話の中に、伏線がこれでもかと。
あと、何と言っても、先輩!
この先輩の存在が、この短編集での潤滑油というか和むシーンというか、先輩があんな極端な人なのに不思議なんですが(笑)
そんなわけで、名探偵びいきのわたしの一番お気に入りのキャラクタは、先輩なのでございますよwww
どんな先輩か?書かない書かないwwwぜひ読んでくださいまし♪♪

【からくりツィスカ】がミステリーズに掲載されたとき、たしか「巧い!」というレビューをあちこちで見たような記憶があるんですが。
うん、確かに。
それと、「結」にあたる部分、事件だとすれば謎解きの部分を、こういうふうに仕立てた斬新さ。
一部で、言葉が適切なのかどうかの問題が再燃している「日常の謎系ミステリ」というにもちょっとはみ出してて、月子さんがとんでもないサドで(笑)楽しかったですよこれも。
月子さんは北島マヤですか!というツッコミをした読者のみなさん、お友達です(笑)

で、【濡れ衣~】これねー、ロジックの波状攻撃というか。外堀を埋めていって、出てきた伏線全部使ったらこんな隙の無いロジックになりましたけどー、ってw
柏木くんが、慣れない推理、なんていうもんだから頼りないなあと思ってるうちに、読者が詰んでました(笑)
細かいものからすぐにピンとくる伏線まで、とにかく全てを回収し終えてみたら、小道具どころか部室棟までもが柏木くんのお腹の中に吸い込まれたかのように、とにかく草木一本も生えてない更地になったよー、というイメージ(←褒めてますむしろめっちゃ喜んでます♪)。ロジックだけで、ここまで徹底した謎解きは久しぶりに読んだですよwww


書き下ろしのラスト一編は、…キーパーソンは梅ちゃんか?(笑)
小者感満載の泥棒コンビもいい味出してるんですけど、どうにも川瀬くんと柏木くんの掛け合い漫才の前では、小学生みたいでねえ(苦笑)
【聴き屋の~】で読者の度肝を抜く登場の仕方、そしてミステリ好きなら痛いほど共感できる川瀬くんは、先輩と共に柏木くんの相棒として十二分に存在感があるので、きっと続編でも大活躍してくれるでしょう♪♪

大掛かりにトリックがあるわけではないですが、普通の感性とはまったく違う持ち主ばかりの大学生が走ったり叫んだり倒れたり女風呂覗こうとしたり(笑)死体を発見したり、クールでリアリスト(今のところ)な柏木くんを中心にテレビのバラエティのコントよりも楽しいミステリを、堪能させていただきましたwww
続編、超期待しておりますー☆☆☆

(東京創元社ミステリ・フロンティア)
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