こんな本読みました。

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『海馬亭通信2』 村山早紀 著

2012/03/14(水) 18:29:31 村山早紀 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 待ちに待った続刊ですーーwww
 いえほら書き下ろしおまけが前後編とか!この続編の由布ちゃんの書簡も初めて世に出るとか!
 お楽しみ要素がいっぱいで♪
 で、注意。
 泣きます。号泣か涙ぐむ程度かは人それぞれですが、とにかくきっと、泣きます。
 電車の中とか、カフェでもぐもぐ食べてるときとか、人目につく場所で読んではいけません。よろしいですね?





くはー…泣いた泣いた☆
いいお話なんですよ本当。
バスタオルを用意しておいてね、という村山先生のリプライをいただいて、ああまた泣くなぁと覚悟はしてたんですけどね。
いいよいいよこんなキラキラしたあたたかいお話ならいくらでも泣きましょうええwww

前作『海馬亭通信』と同じく、前半は由布ちゃんから山にいるお姉さんへの書簡という形で三編。
後半は、そうです、前作で書き下ろしおまけが途中で「後半に、続く」(キートンやまださん風に)になってた、景くんのお話。

で。
読み終えて。

何故、村山先生が、この物語を書き終えてしばらくあれほど虚脱状態になられたのか、海馬亭に帰りたいとホームシックにかかられたのか。

先生と由布ちゃんは、一心同体なんですよ。分身よりももっと。先生の魂が由布ちゃんになって、物語の中で風のように軽やかに生きていらしたんです。そりゃ、エンドマークを打つのは魂を引き裂かれる思いだったに違いないですよね。

そしてそれが一巻目で読者にもうっすらと感じ取れたから、二巻目をみんなが待ち望んで、そしてそのお気持ちを共有したいと思ったんです。
普通は、読者がキャラクタに感情移入して読むことが多いんですが、この由布ちゃんは先生だから。
由布ちゃんの大切な世界を、先生の宝物を、ファンがみんなで守って、磨いて、ぴかぴかと綺麗にしながら、未来の読者に引き継いでいく受け渡していく。そんな感じ。
海馬亭は、ずっとずっと未来まで、読み継がれていくのでしょう。
たとえ先生が、この世の生を全うされた後も、由布ちゃんになって、この世界に生き続けるんですよね。きっと。
十七年経って、大切な人達を見送る覚悟を決めた由布ちゃんは、作者の先生のことも、わたしをこの風早の街に生み出してくれてありがとう、って見送る存在なのだと思います。

この続編は。
守護天使、守護霊、神様、創造主という言い方がいいのかどうか、ともかく、ちっぽけな人間という存在が、生命の根源に問いかけるその寄る辺なさや淋しさや哀しみを、宗教ではなくて、人間への干渉ではなくて、ただ人間を信じて見守るしかできないという神様の孤独と永遠によって応えたような…。何書いてんのかわからなくなってますが。
とにかく。
見守る存在、というそのあたたかさと永遠の孤独をひしひしと感じたのです。
リチャードさんしかり、柳さんも、コックさんも。
由布ちゃんも含めて、ながい時を生きる存在は、だからこそわたし達のような瞬き程度の寿命の存在を、殊更に慈しんでくれるのかな。
リチャードさんと由布ちゃんの最初にすっとぼけから握手までに、いったいどれだけのシンパシーを感じ取ったのかなあ、とか。
柳さんが守るアンティークたちは、柳さんの家族なんだろうなあ、とか。
コックさんの果てしないほどの孤独は、いつかはるかな未来に地球人もたどる運命なのかなあ、とか。
いろいろ考えるうちに、時間の感覚が引き延ばされていく感じがしましたね。ブラックホールに吸い込まれていくとき時空がスパゲティ状になるといいますけど、それに似た、過去と未来が一緒に目の前にあるような。

柳さんといえば、風早の物語の別の作品にも出てきますが。
今回は「不可思議屋さん」というより、景くんのお話の、オルゴール(の呪い)に近い存在だけれどやっぱり普通の人間らしいです。
というか、千鶴先生や柳さんや、なにより景くんの悲しみの涙が、オルゴールを作った錬金術師が沈めたという街、その涙の海であるようでした。
ただ、錬金術師の伝承とは違って、藤沢景くんには安曇景ちゃんやおばあちゃんと鞠子様(猫又様になったのでね)や由布ちゃんという、仲間がいたから。
大切な友達の存在が、未来への希望になった。
これが、自分の正体を海馬亭のみんなにカミングアウトした由布ちゃんとリンクするのね。
景くんと由布ちゃんは、同じく家族のために強くなって、十七年という時を越えて、共鳴したんだと思う。

さて、ここで忘れちゃいけない、ねこのこと。
空も海も、豆太も!
鞠子様ののこした三毛の毛束に至るまで。
可愛くて健気で優しくて、涙なしには読めませんでしたよ!
何せ、海ちゃんがまだ小さいのに病気で死んじゃったのというくだりで泣き、空ちゃんが由布ちゃんの背中を駆け上ってナサニエルの顔にねこパンチして逃げてって怒ったナサニエルが空ちゃんを追いかけていくシーンで膝打ちながら大笑いし(ウチでも同じ光景が…!ねこ対ねこですが)、豆太がオルゴールをなんとか景くんから引き離して我が身を賭して打ち砕こうとしたところはもう一緒に叫ぼうかと思いましたよ。豆太ーーーー!!えらいぞ豆太!
なんかもう、ねこが幸せになるって素晴らしい!

由布ちゃんのおばあ様がごっつオトコマエで惚れましたwww
リチャードさんがツボでしたwww
由布ちゃんは、二百年の時をずっと、星野くんを待ってると思うwww
桜子姫も出てきた!ありがとうずっと風早の街を守ってくれて☆
おばあちゃんの大事なマフラー、きっと豆太がもみちゅぱするかクッションにして絡まってしまうか爪でピーッとやってしまうので、気をつけてね景くん!←めっちゃ現実的…

海馬亭が、風早の街が、不思議なことや魔法使いや山の神様まで集うのは。
風早の街が大好きで、魂だけになっても留まっていたいと願う優しい人たちの安らげる場所、そしてそれを否定しないこの世の理の外、少し境界の曖昧な土地なんでしょうね。
もうUFOも隕石も宇宙ステーションも魔方陣も、なんでもこい!ですね(笑)

海馬亭のお話は、一応これで終わったことになるけれども、まだスピンオフとかOKですよねっ。
風早にはまだ、かもめ亭という素敵なカフェや、たそがれ堂という不思議なコンビニも健在ですしねw
それらの新しい風景の中にふっと、由布ちゃんや、景くんと豆太と景ちゃんが、横切ってくれるといいな☆


(2012.3 ポプラ文庫ピュアフル) 
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