こんな本読みました。

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『Coffee Blues』 小路幸也 著

2012/02/07(火) 17:32:15 小路幸也 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 重っ!
 読んですぐの感想をひとことで言うなら、コレ。
 『東京バンドワゴン』のようにわりと明るく楽しく万事解決!という小路作品にしか馴染みのないかたには、かなり重い展開です。ですが逆に、小路さんのファンで全作品を読んでいれば、小路さんらしい作品だと思います。
 別にこの一冊だけ単体で読んでもぜんぜん大丈夫ですが、できれば『モーニング Mourning』を読んでおくと、ちょっとだけニマニマしますwww




ふー……小路流ハードボイルド。それも結構派手で危険です。
小路さんらしい、いい人のまわりにはいい人が集まる熱い仲間達の物語。

それでいて、小路さんには珍しく、主人公ダイさんがかなりヤバイ立ち位置にいるという、裏事情が最後の最後まで明かされない焦らした作品でもある、かな(笑)(残りページ数見て、これで本当に真相まで分かるの?とちょっと不安になったことは内緒w)

いや、主人公が過去に暗い影を背負って生きてるっていうのは小路さんの小説(大人向け)にはよくあるんですが。
ここまで怖い裏事情があったんだよ!という展開と、一件落着しても主人公には何の憂いもない平穏な日々はまだ遠いっていうラストがね。珍しいと思う。

だからこそ、一層ハードボイルドなんですが。

最後の最後まで、驚かせてくれました!
お姉ちゃんを捜してほしい、というそもそもの発端まで遡って、えらいどんでん返しです。

大学時代の、屋根から飛び降りたエピソードまでクライマックスで見事に使い切ってあって、なんかもうすごい。
やっぱり、これは一度、名探偵がさてと言い鮮やかに謎解きするガッチガチの本格ミステリ書いてくださいませね、小路さん!

確かに主人公のはずのダイさんの影薄いなー(苦笑)ていうか、一歩引いて大局を見るポジションのような、自分でもきっちり動くんだけどどこか冷静で。
でもダイさんが中心にいるからこその、このメンツなんですよね。うん。
特に、三栖さん!
最後はフルネーム名乗って大見得切った三栖さんチョーかっこいいwww
はいはい、三栖さんでスピンオフというか警察小説書けます!書いてください☆

あと、純也くんもね。どんな高校生ですか(笑)
純也くんと香世ちゃんもいい子たち。引くべきところと頑張るところをわきまえてる。
彼のひとことが、中学校の先生を瞠目させたシーン、好きです。
それとまりも先生が美しいなあ。
丹下さんも含めて、っていうか丹下さんは女性なんだか男性カテゴリの方がいいのかビミョーなんですけど(笑)、主要キャラの男女比2:1くらいですよね、その中で燦然と女性が可愛くて美しいのは小路作品の特徴、と言っていいかな。

小路さんの好きなものがいっぱい詰まってます。
コーヒー、タバコ、オヤジ(笑)、音楽、武道、子どもたち、凜とした女性。
それらを使って、いいことだけじゃない、嫌なことつらいこともいっぱいあるこの世の中の、たったひとつの人生を、頑張れと。
ズルく立ち回るのも自由、だけど、逃げないで立ち向かう勇気を。
ダイさんに託された、エールのような。

自分が居ることが、自分の存在が、それだけで誰かを傷つけている、ということが、どれだけつらいか。
それでも、自分は生きなきゃいけない。誰かを傷つけていても、その事実ごとひっくるめて生きていく、静かな覚悟。
ダイさんの佇まいは、五年間のうちにそんなふうに醸成されてしまったところがある気がします。
何かキナ臭いことが起これば、その人たちのことを真っ先に考えないといけない。しんどいよね。
ダイさんが不幸にも巻き込まれ背負わされてしまった重荷、それを分かち合いたいと、カフェの常連さんや丹下さんたちがいて。
三栖さんは三栖さんで自分を責めてる。秘めた思惑とは別の、心の深いところで。
夏乃さんの弱さと悲運はダイさんが四十代になるまで影を落としたことになるけど(『モーニング』参照)、でも夏乃さんの魂は、ダイさんとお父さんをもっと早くに解放したかっただろうなあ。


たぶん、人は、変わろうと思えばいくらでも変われる。
もちろん、変わらなくてもいいならそのままで。
どんな過去を背負っていても、今日と明日のことを考えればいい。
『東京BW』の藤島くんのケースと同じく、この作品も、ダイさんにつらく悲しい思いをさせた人物の影がちらちらしますが、この人が数年経って変わったのか変わらなかったのか、読者のハラハラ具合が肝ではないのかなあ。真紀さんGJ!
ダイさんの元上司さんの悲しみと心の真実が、こんなややこしい事態を招いたわけですが、…きっと、こういう風に友達思いが過ぎてとんでもないこと考える人も実際には多いんでしょうね。
それが、またどれだけの人を傷つけるか、そこまでは考えないというより、考えるのをわざとやめてるような。

子どもだったり、純粋一途だったりする人は、傷つきやすい。でも、早く修復するだけの回復力が見込める。
むしろ、どこかに冷めた人格を持っていたり、なかなか理解されにくい人の方が、傷は深く、かさぶたは消えない。
それでも、そうして生きていく。
なんかね、コーヒーとミートスパゲティがあれば、人生乗り切れそうな気がする(笑)

和解ではなくて、理解しあったダイさんとお父さん。そして三栖さんという、眼。
そう、眼の印象なんですよね、三栖さんって。「鋭い」とか「笑ってない」という描写だけじゃなくて、三栖さんが見てることで均衡が保たれてる。これからも。

ていうか、小路さんの作品ってどれも、眼の使い方がカッコイイんですよ。
細めたり眇めたり、大きく見開いたり、ウィンクしたり遠くを見たり。子どもを安心させるためにと柔らかく笑う、その努力まで。
眼の描写で、キャラクタの属性がわかるような、極端に偉そうに言うならそんな感じ。

ダイさんにはこの後、『モーニング』でまたしても旧友と過去のあれやこれやを邂逅することになるんですが。
この、事件を呼ぶ体質、は、もうちょっと神経太くなれれば名探偵としての資質に繋がるのにもったいない!と思ったりしましたよ(笑)
いや、『モーニング』では、ダイさんが頑張って考えて乗り切ったか。
広告代理店で働いてたときの同僚と話すダイさん、と、喫茶店のオーナーとしてのんびりまったり過ごしてるダイさんの、印象がほんの僅かに変えてあって、スイッチの切り替えというか、男の人にとって仕事ってすごいなあ、と思った。アイデンティティと言ってもいいかも。それは三栖さんにも言えることですけど。

なんかまた長々と書いてきましたけど。
つまり、わたしの中では、三栖さんが一番!てことですねこれだけ連呼してたら。なんとわかりやすい。えへへ。


ということで、今から『モーニング』再読します!
たぶん、以前とはダイさんの印象が変わるような気がするから。

小路さんご本人がツイートされたように、『Q.O.L.』や『HEART』シリーズ(私は特に第二作目の『HEARTBLUE』に近いと感じました)、あとこれも私の印象ですが『ホームタウン』と同じ、ビター路線。
ザンティピーさんと、『僕は長い昼と~』にもちょっとだけ似てる。事件の裏のこととか。
これらの作品がお好きなかたには、特にオススメ!

余談ですが、著者略歴。
『東京BW』でのブレイクとか映画『東京公園』の原作者であるとか、めっちゃピカピカしてません?(笑)嬉しいなあwww
ぜひ、本屋大賞のひとつやふたつ、ひょいと取っていただいて、さらに立派な著者略歴を見たいものです☆☆


(実業之日本社)
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