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『深泥丘奇談』 綾辻行人 著

2008/09/04(木) 08:05:38 綾辻行人 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
怪談専門誌『幽』の創刊号、2004年6月から掲載されていた短編などがやっと纏まったものですが、ホラーではなく怪談、というだけあって心理的にぞわぞわとするお話ばかりです。



主人公である本格ミステリ作家の「私」とその妻、そして「深泥丘病院」の関係者たち。
「私」が散歩中に酷い眩暈に襲われて身動きがとれなくなった時に、偶然駆け込んだ病院が「深泥丘病院」。でも、何か何処かがおかしい……。

読まれたかたには今さらですし、未読のかたにはこのじわじわと不気味な愉しみの興を削ぐので、どんな「怪談」なのかをいちいち書くことは控えますね。

ただ、これは……。
怖い。
心理的に、怖い。

だんだんと薄れていく記憶、私たち読者には自明の出来事も「私」にはもはや曖昧で、妻を始め周囲の人間は怪異を当たり前に受け止める、というのは、………おかしいのは、何処かが狂っているのは、何か得体の知れないモノに憑依されているかもしれないのは、果たして「私」なのか妻と周囲の人たちなのか、それとも私たち読者が煙に巻かれている、のか…?

まして私は京都人です。
馴染み深い地名や行事が、少しずつもじってあるのです。
まず「深泥丘」は「深泥池」から。
「黒鷺川」はおそらく「鴨川」から。(多分、「賀茂川」のほうじゃないと思う。鴨川はその昔、何度も氾濫していて、時の権力者には難治の川だった)
また「紅叡山」→「比叡山」から。
そして、「人文字の送り火」って言ったら、「大文字の送り火」のもじり。
まだ他にもありますが、なまじよく知る地名や行事だけに、現実感がいっそう増すのかそれとも本当に、密やかに語り継がれる名前なのか……。
自信がなくなりましたよ。「人文字の送り火」の色々な文字や形が妙にリアルで、パラレルワールドではそんな形に護摩を焚いて送り火をしてるのかも…?

中の一編、【悪霊憑き】は『ミステリーズ!』の掲載分だった所為か、唯一ミステリ感の漂うお話ですが、でもこれも主眼はそこじゃなくて、「私」には全く発音出来ない「*****」と「*******」なんですよね。これは実際、なんて読むんだろう?うー、知りたいー!でも、正確に発音してはイケナイんですよね……怖。

綾辻先生ご自身は確か、一乗寺にお住まいと聞き及んでますが、そうですね、あの辺りの描写はそのままですね。曼殊院通と白川通の交差点とかをすぐに思い浮かべたし、比叡山に向かって行く地形は確かに最終話【声】のまんまです。何が生息していてもおかしくない鬱蒼とした森や人家との距離感、またその傾斜。
京都でも一等地なんですよ、あのあたりって。

そして、第一話の【顔】から最終話の【声】で、ぐるっとまわって「私」が見ているものが再び登場するともう、ぞぞぞーっと……。おまけにそれが一体何なのか、「私」の見えているモノ聴こえているモノが本当なのか幻なのか、全ては曖昧なまま。言ってみれば読者の想像にお任せされちゃったよう、っていうのか、丸投げかい!というツッコミどころなのか…。

個人的には、歯医者さんに通っている身としてはもうどうしようもなく気持ち悪かった【サムザムシ】と、あまりに壮絶な描写が印象的な【丘の向こう】。
ああトリハダ………さむっ!

でも全体を通して楽しい読書でした。
綾辻先生、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

(2008.03.10)
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