こんな本読みました。

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『スウィート・ヒアアフター』 よしもとばなな 著

2012/01/11(水) 15:55:55 よしもとばなな THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 Twitterでばななさんを片想いフォローしてるんですけど、この新作について、東日本大震災のことを思うと書いてるときは苦しかった、と。歯を食いしばって書きました、と、そうツイートされていて、その苦しみの中から生まれた物語を読みたい!と素直に思いました。
 ということで、久しぶりのばななさん。『王国②』あたりから積んでますごめんなさい。
 前にも言ったけど、わたしが初めて作家さんの名前買いしたのはばななさんだったというのに、デビュー作の『サンクチュアリ』からずっと読んでたというのに、感想書くのがこれまた初めてとはどういうことですかわたし。



あうー……もう最初っから涙が止まらん!
という冒頭。
モロに一昨年の義弟のことをそっくりそのまま思い出すんですよ。
突然の事故は、亡くなった人も遺される人も、なにがなんだかなんですよ本当……。

という記憶があるためか、もう一気に読みました。涙も止まらんがページを捲る手も止まらん!

とにかく、ずーっと涙をためながら読んでるんです。
で、わたしがここで泣いたら小夜さんに失礼なのかなって思うんです。小夜さんはもう涙流しつくして今はそっと笑ってるのにって。
でも、アパートで再びおじいちゃんが出てきて、そして洋一さんも出てきて、もうダメだった…。はー。

じくじくするんですけどね、悲しい記憶がぶわっと甦るわ、小夜さんや洋一さんのご両親やあたるさんたちの気持ちを想像したらまた泣けてくるわ…。
んー…けれど。けれどもです。
心の底から、絶望感に覆いつくされて泣くしかないわけじゃなくて、石を流水にあて続けるような、玉ねぎのみじん切りを大量に作ってるときのような、丸く転がる粒を見るみたいに、泣いてもいい涙なんです。

生きることに、意味を持たせなくてもいい、ただ生きていればいい。
その、「生きる」ことを、微かな変化を、受け入れるだけでいい。
嬉しいことも、悲しいことも、別に遠い世界にあるわけじゃない。

付箋貼ったページがいっぱいあるんですけど(笑)、めっちゃ印象的だったものがこれ。
106ページの、おじいちゃんのセリフ。

「なにもないところから、火を起こして、それが燃えさかり、消えていくだろう。そして炭や灰になる。なににおきかえてもみんな同じ過程だ。その全部をなるべくねばれ。先を見たい気持ちでのめるな。ねばって一歩でも遅くためていくんだ。」

先を急ぐのはもったいない。
人より遅いくらいでちょうどいい。その分、いろんなものが見えて、いろんなことを感じて、いろんな自分になっていく。
人も、町も。急ぐな。
ねばれ。のめるな。ためていけ。
今のご時世、こんなことを言ってくれる人って、たぶんほとんどいない。

阪神淡路大震災のときもそうだった。
そして地球全体のネットワークが発達した現在、わたし達日本人だけじゃなく世界中の人々がまざまざと見せつけられた、東日本大震災という圧倒的なもの。
どうしても抗えない、圧倒的な死の力。
思えば、有史から人類は、ヒリヒリするような感覚で死を恐れてきたような気がする。
生きることも死ぬことも、そんなに違いはないのかもしれない、そして生きていることは有り難いことだと、ありえないほど多くのかたの魂をもっと教えられたかのように。
その、誰かの大切な人の分まで、生きているわたしはねばる。放棄しない。

きっちりじっくり生きていれば、たとえ突然の別れがきたとしても、みんなはそっと笑っていてくれる。いつまでも悲しんでいるのは、みんなつらい。
スウィート・ヒアアフター=甘い来世
一度死んで魂が離れて、また戻った、そこは来世。
まわりの人たちは連続してるのに、すぱーん!と切り離された世界に生きるって、どんななんだろう。
大震災後の世界に生きることが、甘い来世になればいい。何年かかっても、その時間は惜しみなく大切で、ひたすら泣くのも良くて、いつかいつか、先に旅立った大切な人にまた出会える日まで。
一秒ずつ、生きていこう。
そんな、ばななさんの祈りの声が聞こえたような、優しく甘い、虹色の飴みたいな小説でした。

今は無理でも、いつか、いつか、東北の皆様がこの小説を読める日が来ることを、心から願っています。


(2011.11 幻冬舎)
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